事件番号平成17(行コ)310
事件名公務外認定処分取消請求控訴事件(通称 地公災基金神奈川県支部長公務外認定処分取消)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成18年10月25日
結果その他
原審裁判所横浜地方裁判所
原審事件番号平成14(行ウ)80
原審結果棄却
判示事項の要旨頸椎椎間板の変性がある県立養護学校の教諭が重症心身障害の脳性麻痺児に行った介助と同教諭の頸椎椎間板ヘルニアの発症との間に相当因果関係があり,当該頸椎椎間板ヘルニアが公務上の疾病に当たるとされた事例
裁判要旨加齢及び日常的な公務の負荷による微小外傷の蓄積のために頸椎椎間板の変性がある県立養護学校の教諭が,公務として重症心身障害の脳性麻痺児を抱きかかえて頸肩腕に大きな負荷のかかる姿勢で水分補給の介助を行い,頸椎椎間板ヘルニアを発症した場合につき,(1) 介助の対象となった小学生の児童が首の据わっていない肢体不自由児であり,上記教諭は,膝の上に上記児童を乗せてその首に負担がかからないように,その頭部,頸部及び体幹を強い力で抱きかかえ,自分の頸部をねじ曲げて上記児童の表情をのぞき込んで話しかけながら,左腕で頭部を包み込むようにして上記児童の上半身の姿勢を安定させ,左示指及び中指により口唇の開閉動作を介助し,右手に持ったスプーンで少量ずつ口元に水分を運んでいたこと,介助を開始後,上記児童が,急激に,ふだんより強い力で全身を大きく反り返らせたため,上記教諭は,膝の上から落ちないように左腕に強く力を入れて上記児童の上体を支えるとともに,右手に持ったスプーンの水が上記児童にかからないように頸部をねじ曲げたまま上体に力を入れて上記児童を保護する姿勢を保ち,頸部に強い痛みと左手の甲にしびれを感じながら約20分間介助を続け,この間,上記児童が同様の大きな反り返りの動きを3,4回強い力で繰り返し,介助を終えたときには,上記教諭に頸部の痛み及び左頸肩腕のしびれが残ったこと,(2) 上記教諭は,その数か月後にも別の小学生の児童で首の据わっていない肢体不自由児を抱きかかえて上記と同様の姿勢で右手でミニコップにより水分を補給中,上記児童が,急激に,全身を硬直させて強い力で突っ張らせる動きをしたため,上記教諭は,頭部を保護するとともに上記児童の緊張を解いて関節の屈曲を保つため,頸部をねじ曲げたまま左上肢に強く力を入れ,水を誤嚥しないように左腕に強く力を入れて上記児童を支える姿勢をとり,頸部に強い痛みを覚え,左肩腕から左手の甲にかけて痛み及びしびれを感じながら約20分間介助を続け,この間,上記児童が同様の動作を何回も繰り返し,介助を終えたときには,上記教諭に頸部及び左頸肩腕に強い痛み,しびれ及びこりが残ったことなど,判示の事実関係の下では,上記教諭が行った上記各介助は,頸椎椎間板の変性を加齢及び長年の微小外傷の蓄積に基づく自然の経過を超えて増悪させ,その結果として頸椎椎間板ヘルニアを発症させたもので,頸椎椎間板ヘルニアの発症との間に相当因果関係があり,当該頸椎椎間板ヘルニアは公務上の疾病に当たる。
事件番号平成17(行コ)310
事件名公務外認定処分取消請求控訴事件(通称 地公災基金神奈川県支部長公務外認定処分取消)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成18年10月25日
結果その他
原審裁判所横浜地方裁判所
原審事件番号平成14(行ウ)80
原審結果棄却
判示事項の要旨
頸椎椎間板の変性がある県立養護学校の教諭が重症心身障害の脳性麻痺児に行った介助と同教諭の頸椎椎間板ヘルニアの発症との間に相当因果関係があり,当該頸椎椎間板ヘルニアが公務上の疾病に当たるとされた事例
裁判要旨
加齢及び日常的な公務の負荷による微小外傷の蓄積のために頸椎椎間板の変性がある県立養護学校の教諭が,公務として重症心身障害の脳性麻痺児を抱きかかえて頸肩腕に大きな負荷のかかる姿勢で水分補給の介助を行い,頸椎椎間板ヘルニアを発症した場合につき,(1) 介助の対象となった小学生の児童が首の据わっていない肢体不自由児であり,上記教諭は,膝の上に上記児童を乗せてその首に負担がかからないように,その頭部,頸部及び体幹を強い力で抱きかかえ,自分の頸部をねじ曲げて上記児童の表情をのぞき込んで話しかけながら,左腕で頭部を包み込むようにして上記児童の上半身の姿勢を安定させ,左示指及び中指により口唇の開閉動作を介助し,右手に持ったスプーンで少量ずつ口元に水分を運んでいたこと,介助を開始後,上記児童が,急激に,ふだんより強い力で全身を大きく反り返らせたため,上記教諭は,膝の上から落ちないように左腕に強く力を入れて上記児童の上体を支えるとともに,右手に持ったスプーンの水が上記児童にかからないように頸部をねじ曲げたまま上体に力を入れて上記児童を保護する姿勢を保ち,頸部に強い痛みと左手の甲にしびれを感じながら約20分間介助を続け,この間,上記児童が同様の大きな反り返りの動きを3,4回強い力で繰り返し,介助を終えたときには,上記教諭に頸部の痛み及び左頸肩腕のしびれが残ったこと,(2) 上記教諭は,その数か月後にも別の小学生の児童で首の据わっていない肢体不自由児を抱きかかえて上記と同様の姿勢で右手でミニコップにより水分を補給中,上記児童が,急激に,全身を硬直させて強い力で突っ張らせる動きをしたため,上記教諭は,頭部を保護するとともに上記児童の緊張を解いて関節の屈曲を保つため,頸部をねじ曲げたまま左上肢に強く力を入れ,水を誤嚥しないように左腕に強く力を入れて上記児童を支える姿勢をとり,頸部に強い痛みを覚え,左肩腕から左手の甲にかけて痛み及びしびれを感じながら約20分間介助を続け,この間,上記児童が同様の動作を何回も繰り返し,介助を終えたときには,上記教諭に頸部及び左頸肩腕に強い痛み,しびれ及びこりが残ったことなど,判示の事実関係の下では,上記教諭が行った上記各介助は,頸椎椎間板の変性を加齢及び長年の微小外傷の蓄積に基づく自然の経過を超えて増悪させ,その結果として頸椎椎間板ヘルニアを発症させたもので,頸椎椎間板ヘルニアの発症との間に相当因果関係があり,当該頸椎椎間板ヘルニアは公務上の疾病に当たる。
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