事件番号平成18(行ウ)37
事件名更正処分の義務付け等請求事件
裁判所広島地方裁判所 民事第1部
裁判年月日平成19年10月26日
事案の概要本件は,平成5年分から平成7年分までの各所得税に係る更正等の処分(以下「本件更正等の処分」という。)の取消等請求訴訟(以下「前件取消等請求訴訟」という。)を提起し,その一部を認容する確定判決を取得した原告が,(1) 本件更正等の処分は同業者比準法に基づき行われたが,ア 広島西税務署長においては,本件更正等の処分を行うに当たり,適切な比準業者を選定すべき義務を怠り,業種,業態及び規模の異なる比準業者を選定したイ 被告においては,別の国税不服審判所の裁決で比準業者の選定が不合理である旨指摘されていたのに,前件取消等請求訴訟を継続したとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,本件更正等の処分に係る所得税等を納付するために銀行から借り入れた金銭の利息379万3440円,前件取消等請求訴訟の訴訟追行に費やした弁護士費用等1380万6683円,慰謝料500万円及び本件訴訟の弁護士費用300万円,並びにこれらに対する上記各不法行為の後の日である平成19年1月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,(2) 前件取消等請求訴訟の確定判決後,本件更正等の処分の趣旨に沿って修正申告していた平成8年分の所得税について,国税通則法71条に基づき増額更正処分を申し立てるとともに,平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の各修正申告の撤回を申し立て,もって,平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の減額更正処分を申し立てたところ,広島西税務署長においては,違法な本件更正等の処分により原告に損害が生ずることを防止すべき条理上の義務があるのに,原告の平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の減額更正処分を行わないとして,この不作為の違法確認を,(3) 原告の平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の減額更正処分がなされないことにより,納税のためにした多額の借金の利払い及び返済に追われるなど負担は増すばかりの原告には,重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,前件取消等請求訴訟の判決の確定時点で採ることのできた唯一の手段として国税通則法71条に基づく職権の発動を促したが,広島西税務署長が職権を発動しないため,原告には,その損害を避けるため他に適当な方法がないところ,広島西税務署長が上記減額更正処分をしないことは明らかに違法であり又は裁量権を逸脱ないし濫用するものであるとして,広島西税務署長に対し,上記減額更正処分を義務付けることを,それぞれ求めている事案である。
判示事項の要旨過去分の所得税に係る更正等の処分の取消等請求訴訟でその一部を認容する確定判決を得ていた原告が,この確定判決に伴って変動する後の年度の所得税等の減額更正処分を行うよう税務署長に義務付けることを求めるなどしたが,更正の請求をすることのできる期間が制限されている趣旨から,その期間を経過した後は,義務付け訴訟を提起することは不適法であるとした事例
事件番号平成18(行ウ)37
事件名更正処分の義務付け等請求事件
裁判所広島地方裁判所 民事第1部
裁判年月日平成19年10月26日
事案の概要
本件は,平成5年分から平成7年分までの各所得税に係る更正等の処分(以下「本件更正等の処分」という。)の取消等請求訴訟(以下「前件取消等請求訴訟」という。)を提起し,その一部を認容する確定判決を取得した原告が,(1) 本件更正等の処分は同業者比準法に基づき行われたが,ア 広島西税務署長においては,本件更正等の処分を行うに当たり,適切な比準業者を選定すべき義務を怠り,業種,業態及び規模の異なる比準業者を選定したイ 被告においては,別の国税不服審判所の裁決で比準業者の選定が不合理である旨指摘されていたのに,前件取消等請求訴訟を継続したとして,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,本件更正等の処分に係る所得税等を納付するために銀行から借り入れた金銭の利息379万3440円,前件取消等請求訴訟の訴訟追行に費やした弁護士費用等1380万6683円,慰謝料500万円及び本件訴訟の弁護士費用300万円,並びにこれらに対する上記各不法行為の後の日である平成19年1月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,(2) 前件取消等請求訴訟の確定判決後,本件更正等の処分の趣旨に沿って修正申告していた平成8年分の所得税について,国税通則法71条に基づき増額更正処分を申し立てるとともに,平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の各修正申告の撤回を申し立て,もって,平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の減額更正処分を申し立てたところ,広島西税務署長においては,違法な本件更正等の処分により原告に損害が生ずることを防止すべき条理上の義務があるのに,原告の平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の減額更正処分を行わないとして,この不作為の違法確認を,(3) 原告の平成8年分の所得税及び平成6年ないし平成8年の各課税期間の消費税の減額更正処分がなされないことにより,納税のためにした多額の借金の利払い及び返済に追われるなど負担は増すばかりの原告には,重大な損害を生ずるおそれがあり,かつ,前件取消等請求訴訟の判決の確定時点で採ることのできた唯一の手段として国税通則法71条に基づく職権の発動を促したが,広島西税務署長が職権を発動しないため,原告には,その損害を避けるため他に適当な方法がないところ,広島西税務署長が上記減額更正処分をしないことは明らかに違法であり又は裁量権を逸脱ないし濫用するものであるとして,広島西税務署長に対し,上記減額更正処分を義務付けることを,それぞれ求めている事案である。
判示事項の要旨
過去分の所得税に係る更正等の処分の取消等請求訴訟でその一部を認容する確定判決を得ていた原告が,この確定判決に伴って変動する後の年度の所得税等の減額更正処分を行うよう税務署長に義務付けることを求めるなどしたが,更正の請求をすることのできる期間が制限されている趣旨から,その期間を経過した後は,義務付け訴訟を提起することは不適法であるとした事例
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