事件番号平成18(行コ)58
事件名原爆症認定申請却下処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成15年(行ウ)第53号,第69号,第96号〜第99号)
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成20年5月30日
結果棄却
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成15(行ウ)53
原審結果棄却
事案の概要本件各却下処分を行ったことにより1審原告らは精神的苦痛を被ったなどと主張して,1審被告国に対し,国家賠償法1条1項に基づき,各300万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(一部の者につき平成11年法律第160号による改正前)11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣(前記一部の者については厚生大臣)がした同申請を却下する旨の各処分は,各申請者の疾病の放射線起因性についての判断を誤り違法であるなどとしてされた前記各処分の取消請求が,いずれも認容された事例
裁判要旨原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(一部の者につき平成11年法律第160号による改正前)11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣(前記一部の者については厚生大臣)がした同申請を却下する旨の各処分は,各申請者の疾病の放射線起因性についての判断を誤り違法であるなどとしてされた前記各処分の取消請求につき,放射線起因性の判断に当たっては,放射線被曝の事実が疾病等の発生又は進行に影響を与えた関係を立証の対象とするのが相当であり,その立証方法は,疾病等が発生するに至った医学的,病理学的機序を直接証明することを求めるのではなく,被爆状況,急性症状の有無や経過,被爆後の行動やその後の生活状況,疾病等の具体的症状や発症に至る経緯,健康診断や検診の結果,治療状況等を全体的,総合的に把握し,これらの事実と,放射線被曝による人体への影響に関する統計学的,疫学的知見等を考慮した上で,原爆放射線被曝の事実が疾病等の発生又は進行に影響を与えた関係が合理的に是認できる場合は,放射線起因性の存在について高度の蓋然性をもって立証されたものと評価すべきであるとした上,被曝線量の算定において,疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会が作成した「原爆症認定に関する審査の指針」が依拠する被爆線量評価体系の計算値をそのまま機械的に適用すること,及び原因確率表を機械的に適用してそれのみによって放射線起因性を否定することは,いずれも相当ではなく,総合判断が必要であるところ,爆心地から約1.5キロメートルないし約3.3キロメートルの地点にあって屋内又は屋外で被爆した者,原爆投下の当日の夜又は翌日に入市した者らのそれぞれの疾病である白内障,甲状腺機能低下症,胃がん,指有棘細胞がん,咽頭腫瘍,椎骨脳底動脈循環不全等の循環器系疾患,貧血及び肺がんについて放射線起因性及び要医療性が認められるとして,前記各請求をいずれも認容した事例
事件番号平成18(行コ)58
事件名原爆症認定申請却下処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成15年(行ウ)第53号,第69号,第96号〜第99号)
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成20年5月30日
結果棄却
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成15(行ウ)53
原審結果棄却
事案の概要
本件各却下処分を行ったことにより1審原告らは精神的苦痛を被ったなどと主張して,1審被告国に対し,国家賠償法1条1項に基づき,各300万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(一部の者につき平成11年法律第160号による改正前)11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣(前記一部の者については厚生大臣)がした同申請を却下する旨の各処分は,各申請者の疾病の放射線起因性についての判断を誤り違法であるなどとしてされた前記各処分の取消請求が,いずれも認容された事例
裁判要旨
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(一部の者につき平成11年法律第160号による改正前)11条1項に基づく原爆症認定の各申請に対し,厚生労働大臣(前記一部の者については厚生大臣)がした同申請を却下する旨の各処分は,各申請者の疾病の放射線起因性についての判断を誤り違法であるなどとしてされた前記各処分の取消請求につき,放射線起因性の判断に当たっては,放射線被曝の事実が疾病等の発生又は進行に影響を与えた関係を立証の対象とするのが相当であり,その立証方法は,疾病等が発生するに至った医学的,病理学的機序を直接証明することを求めるのではなく,被爆状況,急性症状の有無や経過,被爆後の行動やその後の生活状況,疾病等の具体的症状や発症に至る経緯,健康診断や検診の結果,治療状況等を全体的,総合的に把握し,これらの事実と,放射線被曝による人体への影響に関する統計学的,疫学的知見等を考慮した上で,原爆放射線被曝の事実が疾病等の発生又は進行に影響を与えた関係が合理的に是認できる場合は,放射線起因性の存在について高度の蓋然性をもって立証されたものと評価すべきであるとした上,被曝線量の算定において,疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会が作成した「原爆症認定に関する審査の指針」が依拠する被爆線量評価体系の計算値をそのまま機械的に適用すること,及び原因確率表を機械的に適用してそれのみによって放射線起因性を否定することは,いずれも相当ではなく,総合判断が必要であるところ,爆心地から約1.5キロメートルないし約3.3キロメートルの地点にあって屋内又は屋外で被爆した者,原爆投下の当日の夜又は翌日に入市した者らのそれぞれの疾病である白内障,甲状腺機能低下症,胃がん,指有棘細胞がん,咽頭腫瘍,椎骨脳底動脈循環不全等の循環器系疾患,貧血及び肺がんについて放射線起因性及び要医療性が認められるとして,前記各請求をいずれも認容した事例
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