事件番号平成24(行ウ)229
事件名所得税更正処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成25年9月27日
事案の概要本件は,原告が,A株式会社(以下「A社」という。)の株式(以下「A社株式」という。)を,株式会社B(以下「B社」という。)に対し,1株当たり550円(以下「本件取引単価」という。)で,①平成21年3月2日に112万株,②同年11月24日に31万7550株を譲渡した(以下,①の譲渡を「本件3月譲渡」,②の譲渡を「本件11月譲渡」といい,これらを併せて「本件譲渡」という。また,A社株式を「本件株式」という。)として,平成21年分の所得税の確定申告をしたところ,四日市税務署長が,本件譲渡に係る収入金額と,A社株式のC市場における終値(①本件3月譲渡時は290円,②本件11月譲渡時は426円。以下,これらを「本件市場単価」という。)を基に算出した本件株式の評価額との差額合計3億3057万6200円(以下「本件差額」という。)は,B社から原告に贈与されたものであり,原告の一時所得に該当するとして,平成23年7月5日付けで更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をし,更に平成25年3月15日付けで再更正処分(以下「本件再更正処分」という。)をしたことから,原告が,四日市税務署長の所属する国を被告として,本件再更正処分のうち課税総所得金額2361万7000円,還付金の額に相当する税額182万8105円を超える部分及び本件賦課決定処分の各取消しを求める事案である。
判示事項個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,当該資産の譲渡の「対価」たる性質を有しない部分の金額が所得税法34条1項の一時所得に該当するとされた事例
裁判要旨個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,所得税法33条1項の譲渡所得として課税される対象は,当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有する金額であると解するのが相当であり,当該譲渡価額中に当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有しておらず,法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)としての性格を有する部分があると認められるときは,当該部分の金額は,同法34条1項の一時所得に係る収入金額として課税されるべきであり,当該資産が上場株式であるときは,当該株式の市場価格,当該取引の動機ないし目的,当該取引における価格の決定の経緯,当該価格の合理性などの諸点に照らして判断すべきであるとした上で,前記個人は自己の借入金の返済及び相続税の納付のために必要な一定規模の資金を調達する目的を達成するための手段として,上場株式の市場価格の水準をあえて無視して,その市場単価に一定の金額を上乗せして譲渡をしたと認めて,当該市場単価を超える部分の金額につき,一時所得に該当するとした事例
事件番号平成24(行ウ)229
事件名所得税更正処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成25年9月27日
事案の概要
本件は,原告が,A株式会社(以下「A社」という。)の株式(以下「A社株式」という。)を,株式会社B(以下「B社」という。)に対し,1株当たり550円(以下「本件取引単価」という。)で,①平成21年3月2日に112万株,②同年11月24日に31万7550株を譲渡した(以下,①の譲渡を「本件3月譲渡」,②の譲渡を「本件11月譲渡」といい,これらを併せて「本件譲渡」という。また,A社株式を「本件株式」という。)として,平成21年分の所得税の確定申告をしたところ,四日市税務署長が,本件譲渡に係る収入金額と,A社株式のC市場における終値(①本件3月譲渡時は290円,②本件11月譲渡時は426円。以下,これらを「本件市場単価」という。)を基に算出した本件株式の評価額との差額合計3億3057万6200円(以下「本件差額」という。)は,B社から原告に贈与されたものであり,原告の一時所得に該当するとして,平成23年7月5日付けで更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をし,更に平成25年3月15日付けで再更正処分(以下「本件再更正処分」という。)をしたことから,原告が,四日市税務署長の所属する国を被告として,本件再更正処分のうち課税総所得金額2361万7000円,還付金の額に相当する税額182万8105円を超える部分及び本件賦課決定処分の各取消しを求める事案である。
判示事項
個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,当該資産の譲渡の「対価」たる性質を有しない部分の金額が所得税法34条1項の一時所得に該当するとされた事例
裁判要旨
個人がその有する資産を法人に対し有償譲渡した場合において,所得税法33条1項の譲渡所得として課税される対象は,当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有する金額であると解するのが相当であり,当該譲渡価額中に当該資産の譲渡の「対価」たる性格を有しておらず,法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く。)としての性格を有する部分があると認められるときは,当該部分の金額は,同法34条1項の一時所得に係る収入金額として課税されるべきであり,当該資産が上場株式であるときは,当該株式の市場価格,当該取引の動機ないし目的,当該取引における価格の決定の経緯,当該価格の合理性などの諸点に照らして判断すべきであるとした上で,前記個人は自己の借入金の返済及び相続税の納付のために必要な一定規模の資金を調達する目的を達成するための手段として,上場株式の市場価格の水準をあえて無視して,その市場単価に一定の金額を上乗せして譲渡をしたと認めて,当該市場単価を超える部分の金額につき,一時所得に該当するとした事例
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