事件番号平成25(行コ)60等
事件名一般乗用旅客自動車運送事業の乗務距離の最高限度を定める公示処分の取消等請求,事業用自動車の使用停止処分等差止請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成22年(行ウ)第29号〔甲事件〕,同第34号〔乙事件〕)
裁判所名古屋高等裁判所
裁判年月日平成26年5月30日
原審裁判所名古屋地方裁判所
原審事件番号平成22(行ウ)29
事案の概要本件は,一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー事業)を営む被控訴人が,(1)本件公示が違法である旨主張して,①主位的には本件公示が行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たることを前提に本件公示の取消しを(本件公示取消しの訴え),予備的には行政事件訴訟法4条にいう当事者訴訟として,本件公示に係る乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させることができる地位の確認を求めるとともに(本件確認の訴え),②本件公示に係る乗務距離の最高限度を超えたことを理由とする道路運送法(以下「法」という。)40条に基づく処分の差止めを求め(本件差止めの訴え)(甲事件),さらに,(2)中部運輸局長が平成22年6月7日付けで被控訴人に対してした事業用自動車の使用停止処分及び附帯命令(中運自監第145号。以下「本件処分」という。)が違法である旨主張して,本件処分の取消しを求めた(以下「本件処分取消しの訴え」という。)(乙事件)事案である。
判示事項1 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度を超えたことを理由とする道路運送法40条に基づく自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止,事業の停止又は許可の取消しの各処分の差止めの訴えが適法とされた事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業を営む者が旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める同事業における乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させることができる地位を有することの確認の利益があるとされた事例
3 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条と憲法22条1項
4 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づき,地方運輸局長が定めた一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度の公示が違法であるとされた事例
判示事項の要旨タクシー運転手の1乗務当たりの乗務距離を制限した国の規制を裁量権の濫用により違法と判断した事例
裁判要旨1 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度を超えたことを理由とする道路運送法40条に基づく自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止,事業の停止又は許可の取消しの各処分の差止めの訴えにつき,前記各処分が反復継続的かつ累積加重的にされる危険が現に存在するところ,このような一連の累次の処分がされることにより生ずる損害は処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができないから,前記各処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある上前記各処分の予防を目的とした事前救済の争訟方法として他に適当な方法があるとはいえないから,補充性の要件を満たすとして,前記差止めの訴えは行政事件訴訟法37条の4第1項所定の要件を満たす適法なものであるとした事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業を営む者が提起した旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める同事業における乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させることができる地位を有することの確認を求める訴えにつき,前記事業者には,前記乗務距離違反を理由として道路運送法40条に基づく処分や警告を受ける蓋然性が高く,これが反復継続的かつ累積加重的にされる危険が現に存するのであるから,前記訴えは,その不利益の予防を目的とする有効適切な争訟方法であって,確認の利益があるとした事例
3 一般常用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度を定める旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条は,輸送の安全の確保という立法目的に照らして必要かつ合理的なものといえるから,営業の自由を保障する憲法22条1項に違反しない。
4 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づき,地方運輸局長が定めた一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度の公示につき,同公示当時の当該交通圏においては,乗務距離規制の最高限度を設けるまでもなく乗務距離が減少していたのであるから,新たに当該交通圏を乗務距離の規制地域に指定する必要性が認められるとした前記地方運輸局長の判断は,その前提となる事実の基礎を欠き,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであり,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるとして,前記公示を違法とした事例
事件番号平成25(行コ)60等
事件名一般乗用旅客自動車運送事業の乗務距離の最高限度を定める公示処分の取消等請求,事業用自動車の使用停止処分等差止請求控訴事件,同附帯控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成22年(行ウ)第29号〔甲事件〕,同第34号〔乙事件〕)
裁判所名古屋高等裁判所
裁判年月日平成26年5月30日
原審裁判所名古屋地方裁判所
原審事件番号平成22(行ウ)29
事案の概要
本件は,一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー事業)を営む被控訴人が,(1)本件公示が違法である旨主張して,①主位的には本件公示が行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たることを前提に本件公示の取消しを(本件公示取消しの訴え),予備的には行政事件訴訟法4条にいう当事者訴訟として,本件公示に係る乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させることができる地位の確認を求めるとともに(本件確認の訴え),②本件公示に係る乗務距離の最高限度を超えたことを理由とする道路運送法(以下「法」という。)40条に基づく処分の差止めを求め(本件差止めの訴え)(甲事件),さらに,(2)中部運輸局長が平成22年6月7日付けで被控訴人に対してした事業用自動車の使用停止処分及び附帯命令(中運自監第145号。以下「本件処分」という。)が違法である旨主張して,本件処分の取消しを求めた(以下「本件処分取消しの訴え」という。)(乙事件)事案である。
判示事項
1 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度を超えたことを理由とする道路運送法40条に基づく自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止,事業の停止又は許可の取消しの各処分の差止めの訴えが適法とされた事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業を営む者が旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める同事業における乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させることができる地位を有することの確認の利益があるとされた事例
3 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条と憲法22条1項
4 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づき,地方運輸局長が定めた一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度の公示が違法であるとされた事例
判示事項の要旨
タクシー運転手の1乗務当たりの乗務距離を制限した国の規制を裁量権の濫用により違法と判断した事例
裁判要旨
1 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度を超えたことを理由とする道路運送法40条に基づく自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止,事業の停止又は許可の取消しの各処分の差止めの訴えにつき,前記各処分が反復継続的かつ累積加重的にされる危険が現に存在するところ,このような一連の累次の処分がされることにより生ずる損害は処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができないから,前記各処分がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある上前記各処分の予防を目的とした事前救済の争訟方法として他に適当な方法があるとはいえないから,補充性の要件を満たすとして,前記差止めの訴えは行政事件訴訟法37条の4第1項所定の要件を満たす適法なものであるとした事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業を営む者が提起した旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づく公示の定める同事業における乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させることができる地位を有することの確認を求める訴えにつき,前記事業者には,前記乗務距離違反を理由として道路運送法40条に基づく処分や警告を受ける蓋然性が高く,これが反復継続的かつ累積加重的にされる危険が現に存するのであるから,前記訴えは,その不利益の予防を目的とする有効適切な争訟方法であって,確認の利益があるとした事例
3 一般常用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度を定める旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条は,輸送の安全の確保という立法目的に照らして必要かつ合理的なものといえるから,営業の自由を保障する憲法22条1項に違反しない。
4 旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31年運輸省令第44号)22条に基づき,地方運輸局長が定めた一般乗用旅客自動車運送事業における乗務距離の最高限度の公示につき,同公示当時の当該交通圏においては,乗務距離規制の最高限度を設けるまでもなく乗務距離が減少していたのであるから,新たに当該交通圏を乗務距離の規制地域に指定する必要性が認められるとした前記地方運輸局長の判断は,その前提となる事実の基礎を欠き,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであり,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるとして,前記公示を違法とした事例
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