事件番号平成25(行コ)279
事件名事業計画変更認可申請却下処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第327号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年1月23日
事案の概要本件は,一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む1審原告が,特定地域に指定されている東京都特別区,武蔵野市及び三鷹市の区域(以下「特別区・武三交通圏」という。)を営業区域として,営業所ごとに配置する事業用自動車(一般車両タクシー)を50台から80台に30台増車するため,処分行政庁に対し,特措法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,平成23年6月30日付けで事業計画変更認可申請(以下「本件申請」という。)をしたところ,処分行政庁から,本件申請は収支計画要件に適合しないとして,同年11月30日付けで本件申請を却下する旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,処分行政庁の所属する国に対し,(ア)主位的に,①措置認可基準自体又はその運用は違法であり,本件申請は道路運送法及び特措法の定める認可基準に適合すること,②仮に措置認可基準及びその運用が適法であるとしても,本件申請は措置認可基準の定める収支計画要件に適合することから,本件処分は違法であるとして,本件処分の取消しを求める(以下「本件取消しの訴え」という。)とともに,行政事件訴訟法37条の3第1項2号に基づき,本件申請に対し認可処分をすることの義務付けを求め(以下「本件義務付けの訴え」という。)(イ)予備的に,特別区・武三交通圏を特定地域と指定したこと(以下,この指定を「本件指定」という。)は違法無効であるとして,同法4条の当事者訴訟として,1審原告と1審被告の間で,1審原告が届出のみで本件申請に係る30台の増車をすることができる法的地位を有することの確認を求める(以下「本件確認の訴え」という。)事案である。
判示事項1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分が,適法とされた事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づき届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えが,適法とされた事例
裁判要旨1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分につき,特定地域に係る増車認可申請に対する認可の許否の判断,その審査基準の策定については国土交通大臣等の政策的な裁量判断に委ねられていると解するのが相当であるところ,前記特別措置法制定までの議論の経緯等を検討すると,国土交通大臣から委任を受けた運輸局長らの定めた措置認可基準(審査基準)が安易な供給拡大を抑制することを目的とすること自体は適法であると認められ,また,前記認可基準において,特定地域に係る増車認可申請を認めるためには,当該営業圏において新規の輸送需要が生ずる見込みがあることを必要とするとの収支計画要件を定めることは,安易な供給拡大を抑制するという観点からみて明らかに不合理な規制であるとまではいえないから,前記特別措置法上許容されているものと解されるところ,申請者が実際には立証することが困難な要件を課すことは,政府が供給を直接調整して増車を一律に禁止することと同視することができ,違法であって許されないから,収支計画要件への適合性は,当該営業圏において新規の輸送需要の発生が社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれることを申請者である事業者が立証することができれば足りると解されるが,前記処分時において,前記タクシー事業者の営業圏においてビジネスジェットに係る新規の輸送需要が発生することが社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれていたとは認められず,また,前記認可基準所定の,収支計画要件を満たさない場合でも増車申請を認可する「特別な事情」があるといえるために少なくとも必要な,増車しても特定地域における供給過剰状態の更なる悪化にはつながらないとの主張立証はないから,前記「特別な事情」があるとも認められず,運輸支局長が裁量権を逸脱し又はこれを濫用したとは認められないとして,前記処分を適法とした事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づく届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えにつき,前記区域を特定地域として指定したことが違法無効である場合には,同条3項に基づき,事前に届出をするのみで増車をすることができることになるから,前記処分の取消しを求めるまでもなく,同条1項の認可を得ることなく同条3項の届出のみで前記申請に係る増車をなし得る法的地位を有することの確認を求めることができ,確認の利益を肯定することができるとして,前記訴えを適法とした事例
事件番号平成25(行コ)279
事件名事業計画変更認可申請却下処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第327号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年1月23日
事案の概要
本件は,一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む1審原告が,特定地域に指定されている東京都特別区,武蔵野市及び三鷹市の区域(以下「特別区・武三交通圏」という。)を営業区域として,営業所ごとに配置する事業用自動車(一般車両タクシー)を50台から80台に30台増車するため,処分行政庁に対し,特措法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,平成23年6月30日付けで事業計画変更認可申請(以下「本件申請」という。)をしたところ,処分行政庁から,本件申請は収支計画要件に適合しないとして,同年11月30日付けで本件申請を却下する旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,処分行政庁の所属する国に対し,(ア)主位的に,①措置認可基準自体又はその運用は違法であり,本件申請は道路運送法及び特措法の定める認可基準に適合すること,②仮に措置認可基準及びその運用が適法であるとしても,本件申請は措置認可基準の定める収支計画要件に適合することから,本件処分は違法であるとして,本件処分の取消しを求める(以下「本件取消しの訴え」という。)とともに,行政事件訴訟法37条の3第1項2号に基づき,本件申請に対し認可処分をすることの義務付けを求め(以下「本件義務付けの訴え」という。)(イ)予備的に,特別区・武三交通圏を特定地域と指定したこと(以下,この指定を「本件指定」という。)は違法無効であるとして,同法4条の当事者訴訟として,1審原告と1審被告の間で,1審原告が届出のみで本件申請に係る30台の増車をすることができる法的地位を有することの確認を求める(以下「本件確認の訴え」という。)事案である。
判示事項
1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分が,適法とされた事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づき届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えが,適法とされた事例
裁判要旨
1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分につき,特定地域に係る増車認可申請に対する認可の許否の判断,その審査基準の策定については国土交通大臣等の政策的な裁量判断に委ねられていると解するのが相当であるところ,前記特別措置法制定までの議論の経緯等を検討すると,国土交通大臣から委任を受けた運輸局長らの定めた措置認可基準(審査基準)が安易な供給拡大を抑制することを目的とすること自体は適法であると認められ,また,前記認可基準において,特定地域に係る増車認可申請を認めるためには,当該営業圏において新規の輸送需要が生ずる見込みがあることを必要とするとの収支計画要件を定めることは,安易な供給拡大を抑制するという観点からみて明らかに不合理な規制であるとまではいえないから,前記特別措置法上許容されているものと解されるところ,申請者が実際には立証することが困難な要件を課すことは,政府が供給を直接調整して増車を一律に禁止することと同視することができ,違法であって許されないから,収支計画要件への適合性は,当該営業圏において新規の輸送需要の発生が社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれることを申請者である事業者が立証することができれば足りると解されるが,前記処分時において,前記タクシー事業者の営業圏においてビジネスジェットに係る新規の輸送需要が発生することが社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれていたとは認められず,また,前記認可基準所定の,収支計画要件を満たさない場合でも増車申請を認可する「特別な事情」があるといえるために少なくとも必要な,増車しても特定地域における供給過剰状態の更なる悪化にはつながらないとの主張立証はないから,前記「特別な事情」があるとも認められず,運輸支局長が裁量権を逸脱し又はこれを濫用したとは認められないとして,前記処分を適法とした事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づく届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えにつき,前記区域を特定地域として指定したことが違法無効である場合には,同条3項に基づき,事前に届出をするのみで増車をすることができることになるから,前記処分の取消しを求めるまでもなく,同条1項の認可を得ることなく同条3項の届出のみで前記申請に係る増車をなし得る法的地位を有することの確認を求めることができ,確認の利益を肯定することができるとして,前記訴えを適法とした事例
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