事件番号平成25(行コ)185
事件名一般財団法人認可取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成23年(行ウ)第55号)
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成26年9月30日
事案の概要本件は,控訴人が,内閣総理大臣が財団法人Aに対してした一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団・財団法人法」という。)及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)45条の認可(以下「本件認可」という。)は整備法117条各号の要件を満たしておらず違法であると主張して,被控訴人に対し,本件認可の取消しを求める事案である。
判示事項1 包括宗教団体である宗教法人が,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人に対する同法45条に基づく一般財団法人への移行認可の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人に対する同法45条に基づく一般財団法人への移行認可が,同法117条各号の要件を満たすとして適法とされた事例
裁判要旨1 包括宗教団体である宗教法人は,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人の申請時の寄附行為において,前記宗教法人に対する助成と納骨堂の経営のみが目的とされ,同財団法人は,その目的を達成するため,同宗教法人の本山の文化財の整備保存を援助するための事業や同本山の儀式行事の伝承保存を援助するための事業等を行うものとされていたところ,移行認可の際の定款案では,同宗教法人に対する助成,援助等に関する事業が含まれていないという判示の事情の下では,前記宗教法人は,前記特例財団法人の定款変更の効力完成により,前記一般財団法人から助成を受けられる唯一の対象たる地位を失うという不利益を直接被ることになり,前記認可の本来的効果として自己の権利利益を侵害される関係にある上に,同法119条2項1号ハは,移行認可後も公益目的支出計画において従来の公益事業のための支出を継続することを認め,同法117条2号は,公益目的支出計画が「適正」であることを要求しているから,「適正な」公益目的支出計画によって特例財団法人から公益事業のための支出を継続されることは,同法によって保護された利益であると解されるなどとして,同財団法人に対してされた同法45条に基づく一般財団法人への移行認可の取消訴訟の原告適格を有するとした事例
2 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人に対する同法45条に基づく一般財団法人への移行認可につき,同法94条1項が,評議員設置特例財団法人を除く特例財団法人については,定款変更に一定の制限を認めた一般社団・財団法人法200条の規定を適用しないものとしているのは,前記整備法の施行の日から起算して5年を経過する日までの期間(移行期間)内に,移行認可を受けて,一般財団法人となることができなければ,原則として,移行期間の満了の日に解散したものとみなされることを前提として,一般社団・財団法人法200条の定める目的又は評議員の選任及び解任の方法に係る定款の定めに現れた財団法人の設立者の意思の尊重のための制限を適用せず,これらの定款の定めについても移行認可の基準に適合するものに変更することを当然に許容しているものと解されるとした上で,前記特例財団法人の設立当時の寄附行為の目的条項及び残余財産条項はいずれも前記改正前の民法に基づく財団法人の寄附行為として合理的なものであるとはいい難く,前記移行認可申請時の寄附行為も目的条項についてはなお公益目的として問題が残されてはいたものの,前記認可の申請書に添付した定款の変更案においては,いわゆる公益法人関連三法の趣旨及び手続に沿って,いずれも前記改正前の民法に基づく財団法人の寄附行為としても本来合理的な内容のものに変更されたものとみることができ,また,設立者は,前記改正前の民法における公益財団法人として前記特例財団法人を設立する意思を有していたものであるから,その活動により不特定多数人が「宗教」に関する利益を受けることを目的とするものと理解し,その範囲で設立者の意思を尊重すべきであって,前記定款変更は,その範囲内における変更であると認められるから,設立者の意思との関係で無効であるとは認められず,前記整備法117条各号の要件を満たすとして,前記認可を適法とした事例
事件番号平成25(行コ)185
事件名一般財団法人認可取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成23年(行ウ)第55号)
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成26年9月30日
事案の概要
本件は,控訴人が,内閣総理大臣が財団法人Aに対してした一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団・財団法人法」という。)及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という。)45条の認可(以下「本件認可」という。)は整備法117条各号の要件を満たしておらず違法であると主張して,被控訴人に対し,本件認可の取消しを求める事案である。
判示事項
1 包括宗教団体である宗教法人が,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人に対する同法45条に基づく一般財団法人への移行認可の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人に対する同法45条に基づく一般財団法人への移行認可が,同法117条各号の要件を満たすとして適法とされた事例
裁判要旨
1 包括宗教団体である宗教法人は,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人の申請時の寄附行為において,前記宗教法人に対する助成と納骨堂の経営のみが目的とされ,同財団法人は,その目的を達成するため,同宗教法人の本山の文化財の整備保存を援助するための事業や同本山の儀式行事の伝承保存を援助するための事業等を行うものとされていたところ,移行認可の際の定款案では,同宗教法人に対する助成,援助等に関する事業が含まれていないという判示の事情の下では,前記宗教法人は,前記特例財団法人の定款変更の効力完成により,前記一般財団法人から助成を受けられる唯一の対象たる地位を失うという不利益を直接被ることになり,前記認可の本来的効果として自己の権利利益を侵害される関係にある上に,同法119条2項1号ハは,移行認可後も公益目的支出計画において従来の公益事業のための支出を継続することを認め,同法117条2号は,公益目的支出計画が「適正」であることを要求しているから,「適正な」公益目的支出計画によって特例財団法人から公益事業のための支出を継続されることは,同法によって保護された利益であると解されるなどとして,同財団法人に対してされた同法45条に基づく一般財団法人への移行認可の取消訴訟の原告適格を有するとした事例
2 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人に対する同法45条に基づく一般財団法人への移行認可につき,同法94条1項が,評議員設置特例財団法人を除く特例財団法人については,定款変更に一定の制限を認めた一般社団・財団法人法200条の規定を適用しないものとしているのは,前記整備法の施行の日から起算して5年を経過する日までの期間(移行期間)内に,移行認可を受けて,一般財団法人となることができなければ,原則として,移行期間の満了の日に解散したものとみなされることを前提として,一般社団・財団法人法200条の定める目的又は評議員の選任及び解任の方法に係る定款の定めに現れた財団法人の設立者の意思の尊重のための制限を適用せず,これらの定款の定めについても移行認可の基準に適合するものに変更することを当然に許容しているものと解されるとした上で,前記特例財団法人の設立当時の寄附行為の目的条項及び残余財産条項はいずれも前記改正前の民法に基づく財団法人の寄附行為として合理的なものであるとはいい難く,前記移行認可申請時の寄附行為も目的条項についてはなお公益目的として問題が残されてはいたものの,前記認可の申請書に添付した定款の変更案においては,いわゆる公益法人関連三法の趣旨及び手続に沿って,いずれも前記改正前の民法に基づく財団法人の寄附行為としても本来合理的な内容のものに変更されたものとみることができ,また,設立者は,前記改正前の民法における公益財団法人として前記特例財団法人を設立する意思を有していたものであるから,その活動により不特定多数人が「宗教」に関する利益を受けることを目的とするものと理解し,その範囲で設立者の意思を尊重すべきであって,前記定款変更は,その範囲内における変更であると認められるから,設立者の意思との関係で無効であるとは認められず,前記整備法117条各号の要件を満たすとして,前記認可を適法とした事例
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