事件番号平成25(行ウ)561
事件名税理士懲戒処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成26年9月30日
事案の概要本件は,税理士であった原告が,平成25年6月5日付けで,①関与先の平成18年分及び平成19年分の所得税の期限後申告並びに平成20年分の所得税の確定申告に当たり,所得金額を不正に計算した申告書を作成した行為又は事実が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)45条1項の規定に該当すると認められること,②同法41条に規定されている帳簿を作成していなかった行為又は事実が同法46条の規定に該当すると認められることを理由として,税理士業務の禁止の処分(以下「本件処分」という。)を受けたことから,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項1 税理士であった原告が委嘱者である納税者の所得税の期限後申告並びに確定申告に当たり所得金額を不正に計算した確定申告書等を作成した行為が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為に当たると認められた事例
2 税理士であった原告が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為をしたとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分が適法とされた事例
裁判要旨1 税理士であった原告が,委嘱者の3年分の所得税の期限後申告及び確定申告に当たり,委嘱者である納税者から提出を受けた不十分な資料に記載された売上金額よりも実際の売上金額が多額である可能性があり,また,3年分の納税額が合計1000万円以下になることはないと思っていたにもかかわらず,委嘱者の依頼により合計1000万円以下となるように当該資料に記載された売上金額の5割相当額を申告上の売上金額とし,その3割相当額を所得金額として各確定申告書及び各収支内訳書に記載したことなど判示の事情の下においては,「故意に,真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をした」(税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項)と認められる。
2 税理士であった原告が作成した委嘱者である納税者の3年分の所得税に係る確定申告書の中には,委嘱者から提出を受けた資料に記載された所得金額が1億0505万4984円であったのに対し,所得金額を2075万6247円として申告したものがあること,原告は,委嘱者の依頼により3年分の納税額が合計1000万円以下となるように当該資料に記載された売上金額の5割相当額を申告上の売上金額とし,その3割相当額を所得金額として各確定申告書及び各収支内訳書を作成し,数千万円もの納税を委嘱者に免れさせたことからすれば,懲戒処分歴がないこと,各確定申告に際して自身の特別の利益を得ようとしたというような内心が存在することはうかがわれないことを考慮したとしても,原告が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為をしたとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分は,社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとは認められず,適法である。
事件番号平成25(行ウ)561
事件名税理士懲戒処分取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成26年9月30日
事案の概要
本件は,税理士であった原告が,平成25年6月5日付けで,①関与先の平成18年分及び平成19年分の所得税の期限後申告並びに平成20年分の所得税の確定申告に当たり,所得金額を不正に計算した申告書を作成した行為又は事実が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)45条1項の規定に該当すると認められること,②同法41条に規定されている帳簿を作成していなかった行為又は事実が同法46条の規定に該当すると認められることを理由として,税理士業務の禁止の処分(以下「本件処分」という。)を受けたことから,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項
1 税理士であった原告が委嘱者である納税者の所得税の期限後申告並びに確定申告に当たり所得金額を不正に計算した確定申告書等を作成した行為が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為に当たると認められた事例
2 税理士であった原告が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為をしたとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分が適法とされた事例
裁判要旨
1 税理士であった原告が,委嘱者の3年分の所得税の期限後申告及び確定申告に当たり,委嘱者である納税者から提出を受けた不十分な資料に記載された売上金額よりも実際の売上金額が多額である可能性があり,また,3年分の納税額が合計1000万円以下になることはないと思っていたにもかかわらず,委嘱者の依頼により合計1000万円以下となるように当該資料に記載された売上金額の5割相当額を申告上の売上金額とし,その3割相当額を所得金額として各確定申告書及び各収支内訳書に記載したことなど判示の事情の下においては,「故意に,真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をした」(税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項)と認められる。
2 税理士であった原告が作成した委嘱者である納税者の3年分の所得税に係る確定申告書の中には,委嘱者から提出を受けた資料に記載された所得金額が1億0505万4984円であったのに対し,所得金額を2075万6247円として申告したものがあること,原告は,委嘱者の依頼により3年分の納税額が合計1000万円以下となるように当該資料に記載された売上金額の5割相当額を申告上の売上金額とし,その3割相当額を所得金額として各確定申告書及び各収支内訳書を作成し,数千万円もの納税を委嘱者に免れさせたことからすれば,懲戒処分歴がないこと,各確定申告に際して自身の特別の利益を得ようとしたというような内心が存在することはうかがわれないことを考慮したとしても,原告が税理士法(平成26年法律第10号による改正前のもの)45条1項に定める違反行為をしたとしてされた税理士業務の禁止の懲戒処分は,社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとは認められず,適法である。
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