事件番号平成25(行ウ)184
事件名政務調査費返還請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成26年9月3日
事案の概要本件は,杉並区議会議員であるA(以下「A議員」という。)が同区から交付を受けた平成23年4月1日から平成24年3月31日までの年度(以下「平成23年度」という。)の政務調査費につき行った支出のうち「事務所費」に充てたものの一部について,同区の住民である原告が,A議員が当該支出に相当する金額について法律上の原因なくして利益を受け,そのために同区に同額の損失を及ぼし,かつ,A議員は上記の利益を受けることに法律上の原因ないことについて悪意であったから,同区はA議員に対して不当利得返還の請求権及び民法704条の規定による法定利息の支払の請求権を有していると主張して,同区の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づき,A議員に不当利得返還の請求及びA議員が平成23年度分の政務調査費収支報告書を提出した日の後の日である平成24年4月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息の支払の請求をすることを求める事案である。
判示事項東京都の特別区の区議会議員が区から交付を受けた政務調査費につき行った支出のうち「事務所費」に充てたものの一部が違法な政務調査費の使用に該当するとされた事例
裁判要旨東京都の特別区の定める政務調査費の使途基準細目は,「事務所費」のうち事務所の賃料の支出については上限はその2分の1とする旨を定めているところ,同区の区議会議員(以下「本件議員」という。)は,同人の事務所(以下「本件事務所」という。)の平成23年度の12か月分の賃料として本件事務所の賃貸人に対して合計102万円を支払ったとし,その2分の1の金額である51万円に政務調査費を充てたが,実際には,本件事務所は,本件議員の後援会(以下「本件後援会」という。)がその従たる事務所としており,上記の賃貸人の承諾を得て本件議員と共に賃借人として本件事務所の月額の賃料である8万5000円の半額に当たる4万2500円の賃料をもって賃借し,上記の賃貸人との関係においては,本件議員がそれぞれの賃料を併せて賃貸借契約に定められた金額を支払い,後に本件後援会との間で清算していたもので,平成23年度に本件議員に対して交付された政務調査費を充てることができるのは,本件事務所の12か月分の賃料として本件議員が支払った102万円から本件後援会が本件事務所の賃料として負担した51万円を差し引いた金額の2分の1の金額である25万5000円であるから,本件議員が「事務所費」として政務調査費を充てた51万円のうち,上記の金額以外の25万5000円については,区の定める政務調査費の使途基準細目に従わない違法な政務調査費の使用に該当する。
事件番号平成25(行ウ)184
事件名政務調査費返還請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成26年9月3日
事案の概要
本件は,杉並区議会議員であるA(以下「A議員」という。)が同区から交付を受けた平成23年4月1日から平成24年3月31日までの年度(以下「平成23年度」という。)の政務調査費につき行った支出のうち「事務所費」に充てたものの一部について,同区の住民である原告が,A議員が当該支出に相当する金額について法律上の原因なくして利益を受け,そのために同区に同額の損失を及ぼし,かつ,A議員は上記の利益を受けることに法律上の原因ないことについて悪意であったから,同区はA議員に対して不当利得返還の請求権及び民法704条の規定による法定利息の支払の請求権を有していると主張して,同区の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号の規定に基づき,A議員に不当利得返還の請求及びA議員が平成23年度分の政務調査費収支報告書を提出した日の後の日である平成24年4月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息の支払の請求をすることを求める事案である。
判示事項
東京都の特別区の区議会議員が区から交付を受けた政務調査費につき行った支出のうち「事務所費」に充てたものの一部が違法な政務調査費の使用に該当するとされた事例
裁判要旨
東京都の特別区の定める政務調査費の使途基準細目は,「事務所費」のうち事務所の賃料の支出については上限はその2分の1とする旨を定めているところ,同区の区議会議員(以下「本件議員」という。)は,同人の事務所(以下「本件事務所」という。)の平成23年度の12か月分の賃料として本件事務所の賃貸人に対して合計102万円を支払ったとし,その2分の1の金額である51万円に政務調査費を充てたが,実際には,本件事務所は,本件議員の後援会(以下「本件後援会」という。)がその従たる事務所としており,上記の賃貸人の承諾を得て本件議員と共に賃借人として本件事務所の月額の賃料である8万5000円の半額に当たる4万2500円の賃料をもって賃借し,上記の賃貸人との関係においては,本件議員がそれぞれの賃料を併せて賃貸借契約に定められた金額を支払い,後に本件後援会との間で清算していたもので,平成23年度に本件議員に対して交付された政務調査費を充てることができるのは,本件事務所の12か月分の賃料として本件議員が支払った102万円から本件後援会が本件事務所の賃料として負担した51万円を差し引いた金額の2分の1の金額である25万5000円であるから,本件議員が「事務所費」として政務調査費を充てた51万円のうち,上記の金額以外の25万5000円については,区の定める政務調査費の使途基準細目に従わない違法な政務調査費の使用に該当する。
このエントリーをはてなブックマークに追加