事件番号平成26(行コ)99
事件名更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第854号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年10月30日
事案の概要本件は,控訴人が父である被相続人A(平成16年 ▲ 月 ▲ 日死亡。以下「亡A」という。)の相続に際し,その相続財産にB株式会社(以下「B」という。)の株式(以下「本件株式」という。)が含まれており,その価額が1株当たり1083円であることを前提とした内容の相続税の申告をしたが,その後,控訴人と株式会社C(以下「C」という。)等との間で本件株式の譲渡をめぐって争われた訴訟において言い渡された判決(以下「別訴判決」という。)により,亡Aの相続財産に含まれていたのは本件株式ではなく本件株式を1株当たり642円でCに譲渡したことによる売買代金請求権であったことが確定したなどとして,別訴判決が国税通則法(平成23年法律第114号による改正前のもの。以下「通則法」という。)23条2項1号の「判決」に当たるとして同号に基づき,平成23年1月18日付けで更正すべき請求(以下「本件更正請求」という。)をしたところ,同年5月31日付けで渋谷税務署長から更正をすべき理由がない旨の通知(以下「本件通知処分」という。)を受けたため,その取消しを求めた事案である。
判示事項相続財産に株式が含まれるとして相続税の申告をした相続人が,別件民事訴訟の判決において当該株式は相続財産に含まれていなかったことが確定したなどとしてした相続税に係る更正の請求に対し,税務署長がした更正をすべき理由がない旨の通知処分が適法であるとされた事例
裁判要旨相続財産に株式が含まれるとして相続税の申告をした相続人が,別件民事訴訟の判決において当該株式は相続財産に含まれていなかったことが確定したなどとしてした相続税に係る更正の請求に対し,税務署長がした更正をすべき理由がない旨の通知処分につき,国税通則法23条2項1号の文言及び趣旨に鑑みれば,「判決により,その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき」とは,その申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実と異なる事実を前提とする法律関係が判決の主文で確定されたとき又はこれと同視できるような場合をいうものと解するのが相当であるところ,前記民事訴訟の請求は不法行為による損害賠償請求及び不当利得返還請求であり,当該判決の主文はこれらの請求をいずれも棄却するというものであって,相続開始当時第三者が当該株式を有していたことその他の相続開始当時当該株式が被相続人に帰属していなかったことを意味する権利状態を判決の主文で確定したと同視できるような場合に該当しないなどとして,前記通知処分を適法とした事例
事件番号平成26(行コ)99
事件名更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第854号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年10月30日
事案の概要
本件は,控訴人が父である被相続人A(平成16年 ▲ 月 ▲ 日死亡。以下「亡A」という。)の相続に際し,その相続財産にB株式会社(以下「B」という。)の株式(以下「本件株式」という。)が含まれており,その価額が1株当たり1083円であることを前提とした内容の相続税の申告をしたが,その後,控訴人と株式会社C(以下「C」という。)等との間で本件株式の譲渡をめぐって争われた訴訟において言い渡された判決(以下「別訴判決」という。)により,亡Aの相続財産に含まれていたのは本件株式ではなく本件株式を1株当たり642円でCに譲渡したことによる売買代金請求権であったことが確定したなどとして,別訴判決が国税通則法(平成23年法律第114号による改正前のもの。以下「通則法」という。)23条2項1号の「判決」に当たるとして同号に基づき,平成23年1月18日付けで更正すべき請求(以下「本件更正請求」という。)をしたところ,同年5月31日付けで渋谷税務署長から更正をすべき理由がない旨の通知(以下「本件通知処分」という。)を受けたため,その取消しを求めた事案である。
判示事項
相続財産に株式が含まれるとして相続税の申告をした相続人が,別件民事訴訟の判決において当該株式は相続財産に含まれていなかったことが確定したなどとしてした相続税に係る更正の請求に対し,税務署長がした更正をすべき理由がない旨の通知処分が適法であるとされた事例
裁判要旨
相続財産に株式が含まれるとして相続税の申告をした相続人が,別件民事訴訟の判決において当該株式は相続財産に含まれていなかったことが確定したなどとしてした相続税に係る更正の請求に対し,税務署長がした更正をすべき理由がない旨の通知処分につき,国税通則法23条2項1号の文言及び趣旨に鑑みれば,「判決により,その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき」とは,その申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実と異なる事実を前提とする法律関係が判決の主文で確定されたとき又はこれと同視できるような場合をいうものと解するのが相当であるところ,前記民事訴訟の請求は不法行為による損害賠償請求及び不当利得返還請求であり,当該判決の主文はこれらの請求をいずれも棄却するというものであって,相続開始当時第三者が当該株式を有していたことその他の相続開始当時当該株式が被相続人に帰属していなかったことを意味する権利状態を判決の主文で確定したと同視できるような場合に該当しないなどとして,前記通知処分を適法とした事例
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