事件番号平成23(行ウ)29
事件名原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成27年1月30日
事案の概要本件は,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」という。)1条の被爆者である原告らが,それぞれ被爆者援護法11条1項の規定による認定(以下「原爆症認定」という。)の申請(以下,併せて「本件各申請」という。)をしたところ,厚生労働大臣から本件各申請を却下する旨の処分(以下,併せて「本件各却下処分」という。)を受けたことから,被告に対し,本件各却下処分が違法であると主張して,その取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項の規定により,慰謝料各200万円及び弁護士費用各100万円並びにこれらに対する不法行為後である訴状送達の日の各翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。
判示事項1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下する処分の全部又は一部が違法であるとして取り消された事例
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下する処分の全部又は一部が違法であるとはいえないとされた事例
3 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下したことが国家賠償法上違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請をした被爆者らが,健康に影響があり得る程度の線量の原子爆弾の放射線に被曝し,その申請疾病の全部又は一部(甲状腺機能低下症)について,投薬治療等が必要な状態が続いていたなど判示の事情の下においては,当該疾病については,放射線起因性及び要医療性が認められるから,上記各申請を却下する処分のうち当該疾病に係る部分は違法であり,同処分を取り消すのが相当である。
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請をした被爆者らが,その申請疾病の全部又は一部(火傷瘢痕,両白内障)について,治療を受けていたとは認められないなど判示の事情の下においては,当該疾病については,要医療性が認められず,また,同申請をした他の被爆者らの申請疾病(狭心症,心筋梗塞)について,放射線被曝以外の原因によって発症したものと見るのが合理的であるなど判示の事情の下においては,当該疾病については,放射線起因性が認められないから,上記各申請を却下する処分のうち上記各疾病に係る部分が違法であるとはいえない。
3 被爆者らがした原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請につき,疾病・障害認定審査会の意見に従って各申請を却下する処分がされたところ,上記各申請を却下する処分について,放射線起因性若しくは要医療性の要件の充足に関する判断を誤ったものであるとは認められず,又は上記審査会の意見が関係資料に照らし明らかに誤りであるなど,答申された意見を尊重すべきではない特段の事情が存在したとは認められないなど判示の事情の下においては,上記各申請を却下したことが国家賠償法上違法であるとはいえない。
事件番号平成23(行ウ)29
事件名原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成27年1月30日
事案の概要
本件は,原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」という。)1条の被爆者である原告らが,それぞれ被爆者援護法11条1項の規定による認定(以下「原爆症認定」という。)の申請(以下,併せて「本件各申請」という。)をしたところ,厚生労働大臣から本件各申請を却下する旨の処分(以下,併せて「本件各却下処分」という。)を受けたことから,被告に対し,本件各却下処分が違法であると主張して,その取消しを求めるとともに,国家賠償法1条1項の規定により,慰謝料各200万円及び弁護士費用各100万円並びにこれらに対する不法行為後である訴状送達の日の各翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。
判示事項
1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下する処分の全部又は一部が違法であるとして取り消された事例
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下する処分の全部又は一部が違法であるとはいえないとされた事例
3 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下したことが国家賠償法上違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨
1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請をした被爆者らが,健康に影響があり得る程度の線量の原子爆弾の放射線に被曝し,その申請疾病の全部又は一部(甲状腺機能低下症)について,投薬治療等が必要な状態が続いていたなど判示の事情の下においては,当該疾病については,放射線起因性及び要医療性が認められるから,上記各申請を却下する処分のうち当該疾病に係る部分は違法であり,同処分を取り消すのが相当である。
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請をした被爆者らが,その申請疾病の全部又は一部(火傷瘢痕,両白内障)について,治療を受けていたとは認められないなど判示の事情の下においては,当該疾病については,要医療性が認められず,また,同申請をした他の被爆者らの申請疾病(狭心症,心筋梗塞)について,放射線被曝以外の原因によって発症したものと見るのが合理的であるなど判示の事情の下においては,当該疾病については,放射線起因性が認められないから,上記各申請を却下する処分のうち上記各疾病に係る部分が違法であるとはいえない。
3 被爆者らがした原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請につき,疾病・障害認定審査会の意見に従って各申請を却下する処分がされたところ,上記各申請を却下する処分について,放射線起因性若しくは要医療性の要件の充足に関する判断を誤ったものであるとは認められず,又は上記審査会の意見が関係資料に照らし明らかに誤りであるなど,答申された意見を尊重すべきではない特段の事情が存在したとは認められないなど判示の事情の下においては,上記各申請を却下したことが国家賠償法上違法であるとはいえない。
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