事件番号平成24(行ヒ)408
事件名所得税更正処分取消等請求事件
裁判所最高裁判所第二小法廷
裁判年月日平成27年6月12日
裁判種別判決
結果その他
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号平成22(行コ)403
原審裁判年月日平成24年7月19日
事案の概要本件は,匿名組合契約に基づき営業者の営む航空機のリース事業に出資をした匿名組合員である亡Aが,当該事業につき生じた損失のうち当該契約に基づく同人への損失の分配として計上された金額を所得税法26条1項に定める不動産所得に係る損失に該当するものとして平成15年分から同17年分までの所得税の各確定申告をしたところ,所轄税務署長から,上記の金額は不動産所得に係る損失に該当せず同法69条に定める損益通算の対象とならないとして,上記各年分の所得税につき更正及び過少申告加算税の賦課決定を受けたため,Aの訴訟承継人である上告人らが,被上告人を相手に,上記の各更正の一部,平成15年分及び同16年分に係る各賦課決定の一部並びに同17年分に係る賦課決定の全部の取消しを求める事案である。
判示事項1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が受ける利益の分配と所得区分の判断
2 匿名組合契約に基づき航空機のリース事業に出資をした匿名組合員が,当該契約に基づく損失の分配を不動産所得に係るものとして所得税の申告をしたことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例
裁判要旨1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が営業者から受ける利益の分配に係る所得は,①当該契約において,匿名組合員に営業者の営む事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限が付与されており,匿名組合員が実質的に営業者と共同して事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該事業の内容に従って事業所得又はその他の各種所得に該当し,②それ以外の場合には,当該事業の内容にかかわらず,その出資が匿名組合員自身の事業として行われているため事業所得となる場合を除き,雑所得に該当する。
2 匿名組合契約に基づき航空機のリース事業に出資をした匿名組合員が,当該事業につき生じた損失のうち当該契約に基づく同人への損失の分配として計上された金額を不動産所得に係る損失に該当するものとして所得税の申告をしたところ,これに該当しないとして更正がされた場合において,匿名組合契約に基づき匿名組合員が受ける利益の分配に係る所得区分に関する課税庁の公的見解が上記申告後の通達改正によって変更されたが,変更前の公的見解によれば上記の金額は不動産所得に係る損失に該当するとされるものであったなど判示の事情の下では,上記申告をしたことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。
事件番号平成24(行ヒ)408
事件名所得税更正処分取消等請求事件
裁判所最高裁判所第二小法廷
裁判年月日平成27年6月12日
裁判種別判決
結果その他
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号平成22(行コ)403
原審裁判年月日平成24年7月19日
事案の概要
本件は,匿名組合契約に基づき営業者の営む航空機のリース事業に出資をした匿名組合員である亡Aが,当該事業につき生じた損失のうち当該契約に基づく同人への損失の分配として計上された金額を所得税法26条1項に定める不動産所得に係る損失に該当するものとして平成15年分から同17年分までの所得税の各確定申告をしたところ,所轄税務署長から,上記の金額は不動産所得に係る損失に該当せず同法69条に定める損益通算の対象とならないとして,上記各年分の所得税につき更正及び過少申告加算税の賦課決定を受けたため,Aの訴訟承継人である上告人らが,被上告人を相手に,上記の各更正の一部,平成15年分及び同16年分に係る各賦課決定の一部並びに同17年分に係る賦課決定の全部の取消しを求める事案である。
判示事項
1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が受ける利益の分配と所得区分の判断
2 匿名組合契約に基づき航空機のリース事業に出資をした匿名組合員が,当該契約に基づく損失の分配を不動産所得に係るものとして所得税の申告をしたことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例
裁判要旨
1 匿名組合契約に基づき匿名組合員が営業者から受ける利益の分配に係る所得は,①当該契約において,匿名組合員に営業者の営む事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限が付与されており,匿名組合員が実質的に営業者と共同して事業を営む者としての地位を有するものと認められる場合には,当該事業の内容に従って事業所得又はその他の各種所得に該当し,②それ以外の場合には,当該事業の内容にかかわらず,その出資が匿名組合員自身の事業として行われているため事業所得となる場合を除き,雑所得に該当する。
2 匿名組合契約に基づき航空機のリース事業に出資をした匿名組合員が,当該事業につき生じた損失のうち当該契約に基づく同人への損失の分配として計上された金額を不動産所得に係る損失に該当するものとして所得税の申告をしたところ,これに該当しないとして更正がされた場合において,匿名組合契約に基づき匿名組合員が受ける利益の分配に係る所得区分に関する課税庁の公的見解が上記申告後の通達改正によって変更されたが,変更前の公的見解によれば上記の金額は不動産所得に係る損失に該当するとされるものであったなど判示の事情の下では,上記申告をしたことにつき,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある。
このエントリーをはてなブックマークに追加