事件番号平成24(行ウ)160等
事件名法人税更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成27年3月27日
判示事項1 資産の低額譲受けにつき受贈益相当額が法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)22条2項の「収益」に該当するか否か(積極)
2 法人税の課税につき上場有価証券等以外の出資持分の評価額を算定するに当たり,当該出資持分は財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17(例規)による国税庁長官通達)188(法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)による国税庁長官通達)がその例によって算定するとしているもの)が定める「同族株主以外の株主等が取得した株式」には該当しないとされた事例
3 受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額の算定において,確定申告時に選択したのと異なる計算方法に変更することの可否(消極)
4 受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額の算定において,負債利子控除割合が1を超える場合や,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合の取扱い
5 青色申告の場合における法人税の更正処分について,その除斥期間の経過後に更正通知書に附記されていない理由を更正処分の根拠として主張することができるとされた事例
裁判要旨1 適正な額より低い対価をもってする資産の譲受けの場合も,当該資産の譲受けに係る対価の額と当該資産の譲受時における適正な価額との差額(受贈益)が,無償による資産の譲受けに類するものとして,法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)22条2項の「収益」に該当する。
2 法人税の課税につき上場有価証券等以外の出資持分の評価額を算定するに当たり,判示の事情の下においては,当該出資持分の取得者は,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17(例規)による国税庁長官通達)188(法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)による国税庁長官通達)がその例によって算定するとしているもの)が定める「同族株主」及び「中心的な同族株主」に該当することから,当該出資持分は,同通達188が定める「同族株主以外の株主等が取得した株式」には該当しない。
3 法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)23条6項は,納税者である法人が,確定申告においていわゆる原則法により受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額を計算することを選択した上で受取配当等の益金不算入額を計算した場合には,後になってこれを覆していわゆる簡便法による計算に変更することを原則として許さないこととした趣旨であると解され,判示の事情の下においては,例外的に簡便法による計算に変更することを認めるべき特段の事情があるということもできない。
4 法人税法施行令(平成18年政令第125号による改正前のもの)22条1項及び2項に従って,受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額を計算した結果,負債利子控除割合が1を超える場合や,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合において,計算上の控除負債利子額の合計額を,そのまま益金不算入額の額から控除することは予定されていないことに照らせば,そのような例外的な場合においては,負債利子控除割合を1として計算するほかはなく,また,現実支払利子額をもって益金不算入額から控除する金額の上限とすると解するほかはない。
5 青色申告の場合における法人税の更正処分について,判示の事情の下においては,当該更正処分に係る更正通知書の附記理由と訴訟において被告が主張する理由との間に,基本的な課税要件事実の同一性があり,更正通知書に附記されていない理由を被告に新たに主張させても,原告の手続的権利に格別の支障がないと認められるから,当該更正処分に係る除斥期間の経過後に,更正通知書に附記されていない理由を更正処分の根拠として主張することができる。
事件番号平成24(行ウ)160等
事件名法人税更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成27年3月27日
判示事項
1 資産の低額譲受けにつき受贈益相当額が法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)22条2項の「収益」に該当するか否か(積極)
2 法人税の課税につき上場有価証券等以外の出資持分の評価額を算定するに当たり,当該出資持分は財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17(例規)による国税庁長官通達)188(法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)による国税庁長官通達)がその例によって算定するとしているもの)が定める「同族株主以外の株主等が取得した株式」には該当しないとされた事例
3 受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額の算定において,確定申告時に選択したのと異なる計算方法に変更することの可否(消極)
4 受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額の算定において,負債利子控除割合が1を超える場合や,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合の取扱い
5 青色申告の場合における法人税の更正処分について,その除斥期間の経過後に更正通知書に附記されていない理由を更正処分の根拠として主張することができるとされた事例
裁判要旨
1 適正な額より低い対価をもってする資産の譲受けの場合も,当該資産の譲受けに係る対価の額と当該資産の譲受時における適正な価額との差額(受贈益)が,無償による資産の譲受けに類するものとして,法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)22条2項の「収益」に該当する。
2 法人税の課税につき上場有価証券等以外の出資持分の評価額を算定するに当たり,判示の事情の下においては,当該出資持分の取得者は,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56,直審(資)17(例規)による国税庁長官通達)188(法人税基本通達(昭和44年5月1日付け直審(法)25(例規)による国税庁長官通達)がその例によって算定するとしているもの)が定める「同族株主」及び「中心的な同族株主」に該当することから,当該出資持分は,同通達188が定める「同族株主以外の株主等が取得した株式」には該当しない。
3 法人税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)23条6項は,納税者である法人が,確定申告においていわゆる原則法により受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額を計算することを選択した上で受取配当等の益金不算入額を計算した場合には,後になってこれを覆していわゆる簡便法による計算に変更することを原則として許さないこととした趣旨であると解され,判示の事情の下においては,例外的に簡便法による計算に変更することを認めるべき特段の事情があるということもできない。
4 法人税法施行令(平成18年政令第125号による改正前のもの)22条1項及び2項に従って,受取配当等の益金不算入額に係る控除負債利子額を計算した結果,負債利子控除割合が1を超える場合や,控除負債利子額の合計額が現実支払利子額を超える場合において,計算上の控除負債利子額の合計額を,そのまま益金不算入額の額から控除することは予定されていないことに照らせば,そのような例外的な場合においては,負債利子控除割合を1として計算するほかはなく,また,現実支払利子額をもって益金不算入額から控除する金額の上限とすると解するほかはない。
5 青色申告の場合における法人税の更正処分について,判示の事情の下においては,当該更正処分に係る更正通知書の附記理由と訴訟において被告が主張する理由との間に,基本的な課税要件事実の同一性があり,更正通知書に附記されていない理由を被告に新たに主張させても,原告の手続的権利に格別の支障がないと認められるから,当該更正処分に係る除斥期間の経過後に,更正通知書に附記されていない理由を更正処分の根拠として主張することができる。
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