事件番号平成27(う)70
事件名詐欺被告事件
裁判所大阪高等裁判所 第3刑事部
裁判年月日平成27年7月30日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成25(わ)5085
事案の概要本件は,太陽光発電設備の販売等を業とする株式会社の代表取締役である被告人と,同社の資金調達業務を実質的に担当していたBとが共謀の上,同社の売上を水増ししたり,他行からも3億円の融資を受けている旨偽装したり,あるいは,返済の原資となる売掛債権の存在を偽装したりして,大手都市銀行であるC銀行から融資金名下に約2億円をだまし取ったという大型詐欺の事案である。
判示事項の要旨(判示事項)
1 訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪に関する記載が必要な場合において,第1審裁判所として,余罪事実に関する当事者の主張や立証を許容し,判決で余罪事実を認定することが許される範囲
2 訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪に関する記載が必要な事案において,第1審の訴訟手続には,余罪を実質的に処罰する趣旨で量刑資料に用いて被告人を重く処罰した法令違反があるとされた事例
(裁判要旨)
1 訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪に関する記載が必要な場合において,第1審裁判所として,余罪事実に関する当事者の主張や立証を許容し,判決で余罪事実を認定することが許されるのは,罪となるべき事実を具体的に特定明示し,犯罪事実の社会的実体を明らかにする上で必要な範囲に限られる。
2 銀行からの融資詐欺事件において,訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪である先行融資に関する記載が必要な場合であっても,第1審裁判所が,犯行に至る経緯として先行融資の事実を不必要に具体的かつ詳細に認定判示している上,先行融資を実質的に処罰させようとする意図のうかがわれる検察官の主張立証活動を容認し,その主張立証による結果を判決にも大きく反映させ,量刑判断に際し先行融資を含む融資詐欺を反復継続した点を特に重視したとうかがわれるなどの判示の事実関係の下では,第1審の訴訟手続には,起訴されていない先行融資を余罪として認定し,これを実質的に処罰する趣旨で量刑資料に用い被告人を重く処罰した法令違反がある。
事件番号平成27(う)70
事件名詐欺被告事件
裁判所大阪高等裁判所 第3刑事部
裁判年月日平成27年7月30日
結果破棄自判
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成25(わ)5085
事案の概要
本件は,太陽光発電設備の販売等を業とする株式会社の代表取締役である被告人と,同社の資金調達業務を実質的に担当していたBとが共謀の上,同社の売上を水増ししたり,他行からも3億円の融資を受けている旨偽装したり,あるいは,返済の原資となる売掛債権の存在を偽装したりして,大手都市銀行であるC銀行から融資金名下に約2億円をだまし取ったという大型詐欺の事案である。
判示事項の要旨
(判示事項)
1 訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪に関する記載が必要な場合において,第1審裁判所として,余罪事実に関する当事者の主張や立証を許容し,判決で余罪事実を認定することが許される範囲
2 訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪に関する記載が必要な事案において,第1審の訴訟手続には,余罪を実質的に処罰する趣旨で量刑資料に用いて被告人を重く処罰した法令違反があるとされた事例
(裁判要旨)
1 訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪に関する記載が必要な場合において,第1審裁判所として,余罪事実に関する当事者の主張や立証を許容し,判決で余罪事実を認定することが許されるのは,罪となるべき事実を具体的に特定明示し,犯罪事実の社会的実体を明らかにする上で必要な範囲に限られる。
2 銀行からの融資詐欺事件において,訴因を明示する上で公訴事実に起訴されていない余罪である先行融資に関する記載が必要な場合であっても,第1審裁判所が,犯行に至る経緯として先行融資の事実を不必要に具体的かつ詳細に認定判示している上,先行融資を実質的に処罰させようとする意図のうかがわれる検察官の主張立証活動を容認し,その主張立証による結果を判決にも大きく反映させ,量刑判断に際し先行融資を含む融資詐欺を反復継続した点を特に重視したとうかがわれるなどの判示の事実関係の下では,第1審の訴訟手続には,起訴されていない先行融資を余罪として認定し,これを実質的に処罰する趣旨で量刑資料に用い被告人を重く処罰した法令違反がある。
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