事件番号平成26(ネ)5388
事件名損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(ワ)第40981号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成27年12月22日
事案の概要本件求償権を行使していないのは違法に財産の管理を怠る事実に該当するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,国立市長を被告として,本件求償権の行使を求める旨の住民訴訟(以下「前件住民訴訟」という。)を東京地方裁判所に提起し,平成22年12月22日,国立市長に対し,本件求償権に基づき,被控訴人に対して3123万9726円及びこれに対する本件損害賠償金の支払日の翌日である平成20年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求するよう命じる旨の判決(以下「前件住民訴訟判決」という。)が言い渡された。国立市長は,前件住民訴訟判決を不服として東京高等裁判所に控訴をしたが,被控訴人は,前件訴訟の被告である国立市長に補助参加していたものの,控訴をせず,平成23年5月30日,新たに就任した国立市長がこの控訴を取り下げたため,前件住民訴訟判決が確定した。(3) 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,前件住民訴訟判決で命じられた求償請求をしたものの,前件住民訴訟判決が確定した日から60日以内にその支払がされなかったとして,地方自治法242条の3第2項に基づき,求償金3123万9726円及びこれに対する法定利息又は遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項元市長に対する債権を放棄する旨の市議会における議決がその裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たらないとして,現市長が上記債権を放棄する旨の意思表示をしないのはその権限を濫用するものであり,市による上記債権の行使が信義則に反するとされた事例
裁判要旨地方自治法242条の2第1項4号本文の規定する訴訟において元市長に対して国家賠償法1条2項に基づいて求償金の支払を請求するように命じる旨の判決が確定したことを受けて提起された地方自治法242条の3第2項の規定する訴訟において,同訴訟係属中にされた上記求償金に係る債権を放棄する旨の市議会における議決がその裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たるとは認められないとして,現市長が,上記議決について同法176条の規定する再議に付する手続をとっていないにもかかわらず,元市長に対する上記債権の放棄の意思表示をしないことは,普通地方公共団体の長としての権限を濫用するものといわざるを得ず,市が元市長に対して上記債権を行使することは信義則に反するものとして許されないとされた事例
事件番号平成26(ネ)5388
事件名損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(ワ)第40981号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成27年12月22日
事案の概要
本件求償権を行使していないのは違法に財産の管理を怠る事実に該当するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,国立市長を被告として,本件求償権の行使を求める旨の住民訴訟(以下「前件住民訴訟」という。)を東京地方裁判所に提起し,平成22年12月22日,国立市長に対し,本件求償権に基づき,被控訴人に対して3123万9726円及びこれに対する本件損害賠償金の支払日の翌日である平成20年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求するよう命じる旨の判決(以下「前件住民訴訟判決」という。)が言い渡された。国立市長は,前件住民訴訟判決を不服として東京高等裁判所に控訴をしたが,被控訴人は,前件訴訟の被告である国立市長に補助参加していたものの,控訴をせず,平成23年5月30日,新たに就任した国立市長がこの控訴を取り下げたため,前件住民訴訟判決が確定した。(3) 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,前件住民訴訟判決で命じられた求償請求をしたものの,前件住民訴訟判決が確定した日から60日以内にその支払がされなかったとして,地方自治法242条の3第2項に基づき,求償金3123万9726円及びこれに対する法定利息又は遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項
元市長に対する債権を放棄する旨の市議会における議決がその裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たらないとして,現市長が上記債権を放棄する旨の意思表示をしないのはその権限を濫用するものであり,市による上記債権の行使が信義則に反するとされた事例
裁判要旨
地方自治法242条の2第1項4号本文の規定する訴訟において元市長に対して国家賠償法1条2項に基づいて求償金の支払を請求するように命じる旨の判決が確定したことを受けて提起された地方自治法242条の3第2項の規定する訴訟において,同訴訟係属中にされた上記求償金に係る債権を放棄する旨の市議会における議決がその裁量権の範囲の逸脱又は濫用に当たるとは認められないとして,現市長が,上記議決について同法176条の規定する再議に付する手続をとっていないにもかかわらず,元市長に対する上記債権の放棄の意思表示をしないことは,普通地方公共団体の長としての権限を濫用するものといわざるを得ず,市が元市長に対して上記債権を行使することは信義則に反するものとして許されないとされた事例
このエントリーをはてなブックマークに追加