事件番号平成25(行ヒ)533
事件名鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
裁判所最高裁判所第二小法廷
裁判年月日平成28年7月15日
裁判種別判決
結果その他
原審裁判所高松高等裁判所
原審事件番号平成25(行コ)5
原審裁判年月日平成25年8月29日
事案の概要本件の事実関係の概要等1 本件は,鳴門競艇従事員共済会(以下「共済会」という。)から鳴門競艇臨時従事員(以下「臨時従事員」という。)に支給される離職せん別金に充てるため,鳴門市(以下「市」という。)が平成22年7月に共済会に対して補助金を交付したことが,給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法,無効な財務会計上の行為であるなどとして,市の住民である上告人らが,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被上告人市長を相手に,当時の市長の職にあった者に対する損害賠償請求をすることを求めるとともに,被上告人市公営企業管理者企業局長を相手に,当時の市の企業局長及び企業局次長の各職にあった者らに対する損害賠償請求,当時の市企業局競艇企画管理課長の職にあった者に対する賠償命令並びに共済会に対する不当利得返還請求をすることを,それぞれ求める住民訴訟である。
判示事項市の経営する競艇事業の臨時従事員等により組織される共済会から臨時従事員に対して支給される離職せん別金に充てるため,市が共済会に対してした補助金の交付が,地方自治法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例
裁判要旨市の経営する競艇事業の臨時従事員等により組織される共済会から臨時従事員に対して支給される離職せん別金に充てるため,市が共済会に対してした補助金の交付は,次の⑴~⑶など判示の事情の下においては,地方自治法204条の2及び地方公営企業法38条4項の定める給与条例主義を潜脱するものであり,地方自治法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法である。
⑴ 離職せん別金は,離職又は死亡による登録名簿からの抹消を支給原因とし,その支給額は離職時の基本賃金(日額賃金)に在籍年数及びこれを基準とする支給率を乗じるなどして算出され,実際の支給額も相当高額に及んでおり,課税実務上も退職手当等に該当するものとして取り扱われていた。
⑵ 市が共済会に対し離職せん別金に要する経費を補助の対象として交付していた補助金の額は,離職せん別金に係る計算式と連動した計算式により算出された金額の範囲内とされ,離職せん別金の原資に占める補助金の割合は約97%に及んでいた。
⑶上記補助金の交付当時,臨時従事員に対して離職せん別金又は退職手当を支給する旨を定めた条例の規定はなく,臨時従事員の賃金規程においても臨時従事員の賃金の種類に退職手当は含まれておらず,また,臨時従事員は企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の定める退職手当の支給要件を満たしていなかった。
事件番号平成25(行ヒ)533
事件名鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
裁判所最高裁判所第二小法廷
裁判年月日平成28年7月15日
裁判種別判決
結果その他
原審裁判所高松高等裁判所
原審事件番号平成25(行コ)5
原審裁判年月日平成25年8月29日
事案の概要
本件の事実関係の概要等1 本件は,鳴門競艇従事員共済会(以下「共済会」という。)から鳴門競艇臨時従事員(以下「臨時従事員」という。)に支給される離職せん別金に充てるため,鳴門市(以下「市」という。)が平成22年7月に共済会に対して補助金を交付したことが,給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法,無効な財務会計上の行為であるなどとして,市の住民である上告人らが,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,被上告人市長を相手に,当時の市長の職にあった者に対する損害賠償請求をすることを求めるとともに,被上告人市公営企業管理者企業局長を相手に,当時の市の企業局長及び企業局次長の各職にあった者らに対する損害賠償請求,当時の市企業局競艇企画管理課長の職にあった者に対する賠償命令並びに共済会に対する不当利得返還請求をすることを,それぞれ求める住民訴訟である。
判示事項
市の経営する競艇事業の臨時従事員等により組織される共済会から臨時従事員に対して支給される離職せん別金に充てるため,市が共済会に対してした補助金の交付が,地方自治法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例
裁判要旨
市の経営する競艇事業の臨時従事員等により組織される共済会から臨時従事員に対して支給される離職せん別金に充てるため,市が共済会に対してした補助金の交付は,次の⑴~⑶など判示の事情の下においては,地方自治法204条の2及び地方公営企業法38条4項の定める給与条例主義を潜脱するものであり,地方自治法232条の2所定の公益上の必要性の判断に関する裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法である。
⑴ 離職せん別金は,離職又は死亡による登録名簿からの抹消を支給原因とし,その支給額は離職時の基本賃金(日額賃金)に在籍年数及びこれを基準とする支給率を乗じるなどして算出され,実際の支給額も相当高額に及んでおり,課税実務上も退職手当等に該当するものとして取り扱われていた。
⑵ 市が共済会に対し離職せん別金に要する経費を補助の対象として交付していた補助金の額は,離職せん別金に係る計算式と連動した計算式により算出された金額の範囲内とされ,離職せん別金の原資に占める補助金の割合は約97%に及んでいた。
⑶上記補助金の交付当時,臨時従事員に対して離職せん別金又は退職手当を支給する旨を定めた条例の規定はなく,臨時従事員の賃金規程においても臨時従事員の賃金の種類に退職手当は含まれておらず,また,臨時従事員は企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の定める退職手当の支給要件を満たしていなかった。
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