事件番号平成27(行ウ)13
事件名北海道労働委員会労働者委員任命処分取消等請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日平成28年7月11日
事案の概要本件は,北海道労働委員会(以下「道労委」という。)第41期労働者委員の候補者の推薦をした労働組合及びその候補者である原告らが,北海道知事(以下「処分行政庁」という。)が平成26年12月1日付けでした上記労働者委員の任命処分(以下「本件任命処分」という。)は,我が国に2系統ある労働組合のうち日本労働組合総連合会(以下「連合」という。)の系統に属する日本労働組合総連合会北海道連合会(以下「連合北海道」という。)に加盟する労働組合の推薦を受けた候補者のみを労働者委員に任命しているところ,これは,もう1つの系統である全国労働組合総連合(以下「全労連」という。)の系統に属する原告北海道労働組合総連合(以下「原告道労連」という。)に加盟する労働組合の推薦を受けた候補者である原告Aらを排除し,原告道労連及びこれに加盟する労働組合とその組合員を差別するものであるなどと主張し,本件任命処分の取消しを求めるとともに,処分行政庁の違法な公権力の行使である本件任命処分によって社会的信用と名誉の毀損等の損害を被ったと主張し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害賠償請求として,被告に対し,それぞれ100万円及びこれに対する平成26年12月1日(本件任命処分の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨本件は,北海道労働委員会の労働者委員の候補者の推薦をした労働組合等及びその候補者である原告らが,北海道知事がした上記労働者委員の任命処分は,特定の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者のみを労働者委員に任命し,他の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を排除する差別的なものであり,違法であると主張し,上記任命処分の取消しを求めるとともに,上記任命処分によって社会的信用と名誉の毀損等の損害を被ったと主張し,国家賠償を求めた事案である。
 裁判所は,原告らは,いずれも,上記任命処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者に該当するということができず,上記任命処分の取消しの訴えについて原告適格を有するものではないとして,上記任命処分の取消しの訴えを却下し,また,上記任命処分は,特定の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を恣意的に選任し,他の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を実質的に審査の対象としていなかったことを否定できず,労組法上の推薦制度の趣旨を没却するものとして,裁量権の逸脱,濫用にあたるといわなければならないが,労組法に規定する労働者委員の推薦制度は,専ら労働者一般の利益という公益の保護として認められたものであって,原告らについて,国賠法上保護されるべき権利又は利益が侵害され,損害が生じたと認めることはできないとして,国家賠償請求を棄却した。
事件番号平成27(行ウ)13
事件名北海道労働委員会労働者委員任命処分取消等請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日平成28年7月11日
事案の概要
本件は,北海道労働委員会(以下「道労委」という。)第41期労働者委員の候補者の推薦をした労働組合及びその候補者である原告らが,北海道知事(以下「処分行政庁」という。)が平成26年12月1日付けでした上記労働者委員の任命処分(以下「本件任命処分」という。)は,我が国に2系統ある労働組合のうち日本労働組合総連合会(以下「連合」という。)の系統に属する日本労働組合総連合会北海道連合会(以下「連合北海道」という。)に加盟する労働組合の推薦を受けた候補者のみを労働者委員に任命しているところ,これは,もう1つの系統である全国労働組合総連合(以下「全労連」という。)の系統に属する原告北海道労働組合総連合(以下「原告道労連」という。)に加盟する労働組合の推薦を受けた候補者である原告Aらを排除し,原告道労連及びこれに加盟する労働組合とその組合員を差別するものであるなどと主張し,本件任命処分の取消しを求めるとともに,処分行政庁の違法な公権力の行使である本件任命処分によって社会的信用と名誉の毀損等の損害を被ったと主張し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害賠償請求として,被告に対し,それぞれ100万円及びこれに対する平成26年12月1日(本件任命処分の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨
本件は,北海道労働委員会の労働者委員の候補者の推薦をした労働組合等及びその候補者である原告らが,北海道知事がした上記労働者委員の任命処分は,特定の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者のみを労働者委員に任命し,他の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を排除する差別的なものであり,違法であると主張し,上記任命処分の取消しを求めるとともに,上記任命処分によって社会的信用と名誉の毀損等の損害を被ったと主張し,国家賠償を求めた事案である。
 裁判所は,原告らは,いずれも,上記任命処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者に該当するということができず,上記任命処分の取消しの訴えについて原告適格を有するものではないとして,上記任命処分の取消しの訴えを却下し,また,上記任命処分は,特定の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を恣意的に選任し,他の系統に属する労働組合の推薦を受けた候補者を実質的に審査の対象としていなかったことを否定できず,労組法上の推薦制度の趣旨を没却するものとして,裁量権の逸脱,濫用にあたるといわなければならないが,労組法に規定する労働者委員の推薦制度は,専ら労働者一般の利益という公益の保護として認められたものであって,原告らについて,国賠法上保護されるべき権利又は利益が侵害され,損害が生じたと認めることはできないとして,国家賠償請求を棄却した。
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