事件番号平成27(ネ)468
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所名古屋高等裁判所 民事第4部
裁判年月日平成28年5月25日
原審裁判所名古屋地方裁判所
原審事件番号平成25(ワ)487
原審結果棄却
事案の概要本件は,刑事事件の被疑者・被告人として,愛知県警察A警察署の留置施設に留置された後,名古屋拘置所に移送された控訴人が,①控訴人は,上記留置施設に留置中,施設外の病院で眼科の医師の診察を受け,糖尿病等の疑いがあり,場合によっては失明の可能性もあるので,大規模病院で診てもらった方がよい旨告げられたにもかかわらず,同行したA警察署の警察官には,控訴人に大規模病院での検査・治療を受けさせなかった過失があり,A警察署長には,拘置所の職員に上記施設外の病院での診察結果を正確に伝えなかった過失があるなどとし,②名古屋拘置所の職員たる医師には,控訴人が左眼の痛みを訴えるなどしていたにもかかわらず,控訴人に眼科の医師の診療を受けさせなかった過失があるなどとした上,これらの結果,控訴人が糖尿病網膜症により左眼を失明するなどした旨主張して,被控訴人らに対し,国家賠償法1条1項に基づき,連帯して損害賠償金6898万5298円及びこれに対する不法行為後の日である平成23年7月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うよう求めている事案である。
判示事項の要旨刑事事件の被疑者・被告人として,警察署の留置施設に留置された後,拘置所に移送され,同拘置所に収容中に糖尿病網膜症により左眼を失明するなどした控訴人が,被控訴人愛知県及び同国に対して国賠法1条1項に基づく損害賠償金等の連帯支払を請求したところ,上記留置施設に留置中,控訴人が施設外の病院で眼科医師の診察を受けた際,同医師から控訴人には糖尿病等の疑いがあり,場合によっては失明の可能性もあるので,大規模病院で診てもらった方がよい旨告げられていたにもかかわらず,その際同行していた警察官らは,これを上司に対し適切に報告しなかったばかりか,現時点で病状の進行はない旨虚偽の説明をするなどしたことにより,留置業務管理者たる同警察署の署長が控訴人に必要な医療上の措置を講じるのを適切に補助すべき注意義務を怠り,かつ,拘置所の職員や医師に対しても誤った情報を伝達させた過失により,拘置所の医師が控訴人を眼科専門医に診察させる判断を遅延させ,もって控訴人の左眼を失明させるなどした(後遺障害準用等級6級)として,被控訴人愛知県に対し損害賠償金5000万円余等の支払を命じる一方,拘置所の職員や医師には過失がないとして,被控訴人国に対する請求は棄却した事案。
事件番号平成27(ネ)468
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所名古屋高等裁判所 民事第4部
裁判年月日平成28年5月25日
原審裁判所名古屋地方裁判所
原審事件番号平成25(ワ)487
原審結果棄却
事案の概要
本件は,刑事事件の被疑者・被告人として,愛知県警察A警察署の留置施設に留置された後,名古屋拘置所に移送された控訴人が,①控訴人は,上記留置施設に留置中,施設外の病院で眼科の医師の診察を受け,糖尿病等の疑いがあり,場合によっては失明の可能性もあるので,大規模病院で診てもらった方がよい旨告げられたにもかかわらず,同行したA警察署の警察官には,控訴人に大規模病院での検査・治療を受けさせなかった過失があり,A警察署長には,拘置所の職員に上記施設外の病院での診察結果を正確に伝えなかった過失があるなどとし,②名古屋拘置所の職員たる医師には,控訴人が左眼の痛みを訴えるなどしていたにもかかわらず,控訴人に眼科の医師の診療を受けさせなかった過失があるなどとした上,これらの結果,控訴人が糖尿病網膜症により左眼を失明するなどした旨主張して,被控訴人らに対し,国家賠償法1条1項に基づき,連帯して損害賠償金6898万5298円及びこれに対する不法行為後の日である平成23年7月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うよう求めている事案である。
判示事項の要旨
刑事事件の被疑者・被告人として,警察署の留置施設に留置された後,拘置所に移送され,同拘置所に収容中に糖尿病網膜症により左眼を失明するなどした控訴人が,被控訴人愛知県及び同国に対して国賠法1条1項に基づく損害賠償金等の連帯支払を請求したところ,上記留置施設に留置中,控訴人が施設外の病院で眼科医師の診察を受けた際,同医師から控訴人には糖尿病等の疑いがあり,場合によっては失明の可能性もあるので,大規模病院で診てもらった方がよい旨告げられていたにもかかわらず,その際同行していた警察官らは,これを上司に対し適切に報告しなかったばかりか,現時点で病状の進行はない旨虚偽の説明をするなどしたことにより,留置業務管理者たる同警察署の署長が控訴人に必要な医療上の措置を講じるのを適切に補助すべき注意義務を怠り,かつ,拘置所の職員や医師に対しても誤った情報を伝達させた過失により,拘置所の医師が控訴人を眼科専門医に診察させる判断を遅延させ,もって控訴人の左眼を失明させるなどした(後遺障害準用等級6級)として,被控訴人愛知県に対し損害賠償金5000万円余等の支払を命じる一方,拘置所の職員や医師には過失がないとして,被控訴人国に対する請求は棄却した事案。
このエントリーをはてなブックマークに追加