事件番号平成27(行ヒ)512
事件名各航空機運航差止等請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日平成28年12月8日
裁判種別判決
結果その他
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号平成26(行コ)284
原審裁判年月日平成27年7月30日
事案の概要本件の事実関係等の概要1 本件は,神奈川県内に所在し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍(以下「米海軍」という。)が使用する施設である厚木海軍飛行場(以下「厚木基地」という。)の周辺に居住する平成27年(行ヒ)第512号上告人ら・同第513号被上告人ら(以下「第1審原告ら」という。)が,自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)の使用する航空機(以下,それぞれ「自衛隊機」,「米軍機」という。)の発する騒音により精神的及び身体的被害を受けていると主張して,平成27年(行ヒ)第512号被上告人・同第513号上告人(以下「第1審被告」という。)に対し,行政事件訴訟法に基づき,主位的には厚木基地における一定の態様による自衛隊機及び米軍機の運航の差止めを,予備的にはこれらの運航による一定の騒音を第1審原告らの居住地に到達させないこと等を求めている事案である。
判示事項1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として自衛隊の使用する航空機の運航の差止めを求める訴えについて,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえないとされた事例
裁判要旨1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺に居住する住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等の差止めを求める訴えについて,①上記住民は,当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住し,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,その程度は軽視し難いこと,②このような被害の発生に自衛隊の使用する航空機の運航が一定程度寄与していること,③上記騒音は,当該飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり,上記被害もそれに応じてその都度発生し,これを反復継続的に受けることにより蓄積していくおそれのあるものであることなど判示の事情の下においては,当該飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航の内容,性質を勘案しても,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等に係る防衛大臣の権限の行使は,①上記運航等が我が国の平和と安全,国民の生命,身体,財産等の保護の観点から極めて重要な役割を果たしており,高度の公共性,公益性があること,②当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住する住民は,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,このような被害は軽視することができないものの,これを軽減するため,自衛隊の使用する航空機の運航については一定の自主規制が行われるとともに,住宅防音工事等に対する助成,移転補償,買入れ等に係る措置等の周辺対策事業が実施されるなど相応の対策措置が講じられていることなど判示の事情の下においては,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえない。
(1,2につき補足意見がある。)
事件番号平成27(行ヒ)512
事件名各航空機運航差止等請求事件
裁判所最高裁判所第一小法廷
裁判年月日平成28年12月8日
裁判種別判決
結果その他
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号平成26(行コ)284
原審裁判年月日平成27年7月30日
事案の概要
本件の事実関係等の概要1 本件は,神奈川県内に所在し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍(以下「米海軍」という。)が使用する施設である厚木海軍飛行場(以下「厚木基地」という。)の周辺に居住する平成27年(行ヒ)第512号上告人ら・同第513号被上告人ら(以下「第1審原告ら」という。)が,自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)の使用する航空機(以下,それぞれ「自衛隊機」,「米軍機」という。)の発する騒音により精神的及び身体的被害を受けていると主張して,平成27年(行ヒ)第512号被上告人・同第513号上告人(以下「第1審被告」という。)に対し,行政事件訴訟法に基づき,主位的には厚木基地における一定の態様による自衛隊機及び米軍機の運航の差止めを,予備的にはこれらの運航による一定の騒音を第1審原告らの居住地に到達させないこと等を求めている事案である。
判示事項
1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として自衛隊の使用する航空機の運航の差止めを求める訴えについて,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえないとされた事例
裁判要旨
1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺に居住する住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等の差止めを求める訴えについて,①上記住民は,当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住し,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,その程度は軽視し難いこと,②このような被害の発生に自衛隊の使用する航空機の運航が一定程度寄与していること,③上記騒音は,当該飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり,上記被害もそれに応じてその都度発生し,これを反復継続的に受けることにより蓄積していくおそれのあるものであることなど判示の事情の下においては,当該飛行場における自衛隊の使用する航空機の運航の内容,性質を勘案しても,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められる。
2 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場における,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等に係る防衛大臣の権限の行使は,①上記運航等が我が国の平和と安全,国民の生命,身体,財産等の保護の観点から極めて重要な役割を果たしており,高度の公共性,公益性があること,②当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」4条所定の第一種区域内に居住する住民は,当該飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により,睡眠妨害,聴取妨害及び精神的作業の妨害や不快感等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており,このような被害は軽視することができないものの,これを軽減するため,自衛隊の使用する航空機の運航については一定の自主規制が行われるとともに,住宅防音工事等に対する助成,移転補償,買入れ等に係る措置等の周辺対策事業が実施されるなど相応の対策措置が講じられていることなど判示の事情の下においては,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるときに当たるとはいえない。
(1,2につき補足意見がある。)
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