事件番号平成27(行コ)380
事件名所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第799号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成28年5月25日
事案の概要本件は,アメリカ合衆国法人であるP6(以下「P6社」という。)の関連会社に勤務する控訴人らほか5名が,P6社の報奨報酬(インセンティブ賞与)制度に基づき,所定の転換日にP6社の普通株式(以下「P6株式」という。)に転換される「ストック・ユニット」の付与を受けた後,平成20年9月8日に転換日が到来して所定のP6株式をそれぞれ取得したことから(以下,これにより控訴人らほか5名がそれぞれ取得したP6株式を「本件各P6株式」という。),平成20年分の所得税に係る確定申告をするに当たり,本件各P6株式の取得による経済的利益(以下「本件各株式報酬」という。)を給与等の収入金額の一部として評価するための基準日について,社内規則に基づくP6株式の譲渡制限が解除された同月18日とし,同日の株式市場におけるP6株式の高値と安値の単純平均値に基づいて算定した金額を給与等の収入金額としてそれぞれ申告したところ,各処分行政庁が,上記基準日について,いずれも転換日である同月8日とし,同日の株式市場におけるP6株式の終値に基づく評価額により金額を算定すべきであるとして,控訴人らほか5名に対し,同年分の所得税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたことから,控訴人らほか5名が,本件各更正処分等は,本件各株式報酬に係る給与等の収入金額を不当に算定した違法な処分であると主張して,被控訴人に対し,本件各更正処分のうち一定額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しをそれぞれ求めた事案である。
判示事項米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,その経済的利益に係る給与等の収入すべき日は転換日であるとされた事例。
裁判要旨米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,ストック・ユニットが米国法人に対してその株式の支払を求めることのできる権利であり,当該権利は転換日が到来した以降は取り消されることがなくなり,従業員らは転換日以降その履行を求め得ることになったなど判示の事情の下では,証券会社等が不正防止等を目的として別途定めた有価証券取引制限期間内であったために従業員らの転換日における上記株式の他への譲渡が制限された状況にあったとしても,当該経済的利益については,転換日に収入の原因となる権利が確定したというべきであり,その給与等の収入すべき日は転換日である。
事件番号平成27(行コ)380
事件名所得税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成24年(行ウ)第799号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成28年5月25日
事案の概要
本件は,アメリカ合衆国法人であるP6(以下「P6社」という。)の関連会社に勤務する控訴人らほか5名が,P6社の報奨報酬(インセンティブ賞与)制度に基づき,所定の転換日にP6社の普通株式(以下「P6株式」という。)に転換される「ストック・ユニット」の付与を受けた後,平成20年9月8日に転換日が到来して所定のP6株式をそれぞれ取得したことから(以下,これにより控訴人らほか5名がそれぞれ取得したP6株式を「本件各P6株式」という。),平成20年分の所得税に係る確定申告をするに当たり,本件各P6株式の取得による経済的利益(以下「本件各株式報酬」という。)を給与等の収入金額の一部として評価するための基準日について,社内規則に基づくP6株式の譲渡制限が解除された同月18日とし,同日の株式市場におけるP6株式の高値と安値の単純平均値に基づいて算定した金額を給与等の収入金額としてそれぞれ申告したところ,各処分行政庁が,上記基準日について,いずれも転換日である同月8日とし,同日の株式市場におけるP6株式の終値に基づく評価額により金額を算定すべきであるとして,控訴人らほか5名に対し,同年分の所得税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたことから,控訴人らほか5名が,本件各更正処分等は,本件各株式報酬に係る給与等の収入金額を不当に算定した違法な処分であると主張して,被控訴人に対し,本件各更正処分のうち一定額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しをそれぞれ求めた事案である。
判示事項
米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,その経済的利益に係る給与等の収入すべき日は転換日であるとされた事例。
裁判要旨
米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,ストック・ユニットが米国法人に対してその株式の支払を求めることのできる権利であり,当該権利は転換日が到来した以降は取り消されることがなくなり,従業員らは転換日以降その履行を求め得ることになったなど判示の事情の下では,証券会社等が不正防止等を目的として別途定めた有価証券取引制限期間内であったために従業員らの転換日における上記株式の他への譲渡が制限された状況にあったとしても,当該経済的利益については,転換日に収入の原因となる権利が確定したというべきであり,その給与等の収入すべき日は転換日である。
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