事件番号 | 平成28(行コ)20 |
---|---|
事件名 | 療養給付不支給決定取消請求控訴事件 |
裁判所 | 東京高等裁判所 |
裁判年月日 | 平成28年5月25日 |
事案の概要 | 本件は,有限会社の代表取締役で健康保険の被保険者である控訴人が,当該会社が請け負った避難道路整備工事に従事した際に,道路外に転落して下顎骨骨折の傷害を負い,保険医療機関及び保険薬局において療養の給付を受けたところ,被控訴人から,上記事故による控訴人の負傷は,健康保険法1条(平成25年改正法による改正前のもの)の「業務外の事由による疾病,負傷」に該当するとは認められないとして,保険給付を支給しない旨の決定(本件不支給決定)を受けたため,被控訴人に対し,本件不支給決定は違法であると主張して,その取消しを求めた事案である。 |
判示事項 | 1 健康保険の被保険者である会社の代表者が負傷に関して療養の給付を受けた場合において,代表者に対してされた療養の給付の不支給決定に裁量逸脱の違法があるとはいえないとされた事例 2 健康保険法1条(平成25年法律第26号による改正前のもの)が法人の代表者等の業務上の事由による負傷等を保険給付の対象としていないことと憲法14条及び25条 |
裁判要旨 | 1 健康保険の被保険者である会社の代表者が負傷に関して療養の給付を受けた場合において,次の(1)から(3)など判示の事情の下では,代表者に対してされた療養の給付の不支給決定に裁量逸脱の違法があるとはいえない。 (1) 代表者の負傷は避難道路整備工事に従事していた際の事故によるものであり,健康保険法1条(平成25年法律第26号による改正前のもの)が規定する「業務外の事由」による負傷に該当しない。 (2) 「法人の代表者等に対する健康保険の適用について」と題する通知(平成15年7月1日保発第0701002号・厚生労働省保険局長通知)は,被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって,一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については,その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても,健康保険による保険給付の対象とする旨定めている。 (3) 本件会社の健康保険の被保険者は,事故当時,5人であった。 2 健康保険法1条(平成25年法律第26号による改正前のもの)が,法人の代表者等の業務上の事由による負傷等を保険給付の対象としていないことは,憲法14条及び25条に違反しない。 |
事件番号 | 平成28(行コ)20 |
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事件名 | 療養給付不支給決定取消請求控訴事件 |
裁判所 | 東京高等裁判所 |
裁判年月日 | 平成28年5月25日 |
事案の概要 |
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本件は,有限会社の代表取締役で健康保険の被保険者である控訴人が,当該会社が請け負った避難道路整備工事に従事した際に,道路外に転落して下顎骨骨折の傷害を負い,保険医療機関及び保険薬局において療養の給付を受けたところ,被控訴人から,上記事故による控訴人の負傷は,健康保険法1条(平成25年改正法による改正前のもの)の「業務外の事由による疾病,負傷」に該当するとは認められないとして,保険給付を支給しない旨の決定(本件不支給決定)を受けたため,被控訴人に対し,本件不支給決定は違法であると主張して,その取消しを求めた事案である。 |
判示事項 |
1 健康保険の被保険者である会社の代表者が負傷に関して療養の給付を受けた場合において,代表者に対してされた療養の給付の不支給決定に裁量逸脱の違法があるとはいえないとされた事例 2 健康保険法1条(平成25年法律第26号による改正前のもの)が法人の代表者等の業務上の事由による負傷等を保険給付の対象としていないことと憲法14条及び25条 |
裁判要旨 |
1 健康保険の被保険者である会社の代表者が負傷に関して療養の給付を受けた場合において,次の(1)から(3)など判示の事情の下では,代表者に対してされた療養の給付の不支給決定に裁量逸脱の違法があるとはいえない。 (1) 代表者の負傷は避難道路整備工事に従事していた際の事故によるものであり,健康保険法1条(平成25年法律第26号による改正前のもの)が規定する「業務外の事由」による負傷に該当しない。 (2) 「法人の代表者等に対する健康保険の適用について」と題する通知(平成15年7月1日保発第0701002号・厚生労働省保険局長通知)は,被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって,一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については,その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても,健康保険による保険給付の対象とする旨定めている。 (3) 本件会社の健康保険の被保険者は,事故当時,5人であった。 2 健康保険法1条(平成25年法律第26号による改正前のもの)が,法人の代表者等の業務上の事由による負傷等を保険給付の対象としていないことは,憲法14条及び25条に違反しない。 |