事件番号平成23(ワ)1238
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日平成29年2月14日
事案の概要本件は,自身又はその被相続人が建築作業に従事して石綿肺,肺がん又は中皮腫に罹患したと主張する原告らが, 上記疾病は建築作業に従事した際に石綿粉じんに曝露したことによって発症したものであるところ,被告国は,石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に鑑みて,石綿を含有する建築材料(以下「石綿含有建材」という。)の製造販売を禁止するか,又は建築作業従事者の石綿粉じんへの曝露(以下「石綿曝露」ともいう。)を防止するため,建築作業従事者の使用者に対して建築現場における防じんマスクや除じん装置付き電動工具等の使用を義務付け,若しくは石綿含有建材を製造販売する事業者に対して石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に関する警告表示を義務付けるなど,適時にかつ適切にその規制権限を行使すべきであったのにこれを怠り,また,石綿含有建材の建築基準法上の指定,認定を取り消し,又は何らかの条件を付して新たな指定,認定をするなど,適時にかつ適切にその規制権限を行使すべきであったのにこれを怠った等と主張して,被告国に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,被告国以外の被告ら(以下「被告企業ら」という。)と連帯して総額9億6250万円(建築作業従事者であった原告又は原告の建築作業従事者であった被相続人(以下,これらの建築作業従事者を併せて「本件被災者ら」といい,個々の建築作業従事者をそれぞれ「被災者」ともいう。)1名につき一律に慰謝料3500万円及び弁護士費用350万円)並びにこれに対する違法行為後の日である本件被災者らの労災療養開始日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うように求めるとともに, 被告企業らは,石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に鑑みて,石綿含有建材の製造販売を中止するか,又は石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に関する警告表示をすべきであったのにこれを怠った等と主張して,被告企業らに対し,民法719条1項前段若しくは同項後段又は製造物責任法3条に基づく損害賠償として,被告国及び自身以外の被告企業らと連帯して上記金員を支払うように求める事案である。
判示事項の要旨1 建築作業に従事した際に石綿粉じんに曝露したことによって石綿肺,肺がん又は中皮腫に罹患した建築作業従事者及びその相続人による国家賠償請求について,被告国が,労働安全衛生法その他の労働関係法令に基づき,建築作業従事者を雇用する事業者に対して建築作業従事者に防じんマスクを使用させる義務を課す等の石綿曝露防止策を講じなかったことは,昭和56年1月1日以降,国家賠償法1条1項の適用上違法となるとした事例
2 上記1の建築作業従事者及びその相続人による石綿含有建材の製造販売企業らに対する共同不法行為に基づく損害賠償請求について,民法719条1項前段の共同不法行為の要件としては,複数人による個々の加害行為と損害の全部との間にそれぞれ独自に相当因果関係があることを要し,同項後段の共同不法行為の要件としては,共同行為者以外の者による加害行為はないか,又は共同行為者以外の者による加害行為と損害との間には相当因果関係がないことを要するとし,共同不法行為責任を否定した事例
事件番号平成23(ワ)1238
事件名損害賠償請求事件
裁判所札幌地方裁判所
裁判年月日平成29年2月14日
事案の概要
本件は,自身又はその被相続人が建築作業に従事して石綿肺,肺がん又は中皮腫に罹患したと主張する原告らが, 上記疾病は建築作業に従事した際に石綿粉じんに曝露したことによって発症したものであるところ,被告国は,石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に鑑みて,石綿を含有する建築材料(以下「石綿含有建材」という。)の製造販売を禁止するか,又は建築作業従事者の石綿粉じんへの曝露(以下「石綿曝露」ともいう。)を防止するため,建築作業従事者の使用者に対して建築現場における防じんマスクや除じん装置付き電動工具等の使用を義務付け,若しくは石綿含有建材を製造販売する事業者に対して石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に関する警告表示を義務付けるなど,適時にかつ適切にその規制権限を行使すべきであったのにこれを怠り,また,石綿含有建材の建築基準法上の指定,認定を取り消し,又は何らかの条件を付して新たな指定,認定をするなど,適時にかつ適切にその規制権限を行使すべきであったのにこれを怠った等と主張して,被告国に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として,被告国以外の被告ら(以下「被告企業ら」という。)と連帯して総額9億6250万円(建築作業従事者であった原告又は原告の建築作業従事者であった被相続人(以下,これらの建築作業従事者を併せて「本件被災者ら」といい,個々の建築作業従事者をそれぞれ「被災者」ともいう。)1名につき一律に慰謝料3500万円及び弁護士費用350万円)並びにこれに対する違法行為後の日である本件被災者らの労災療養開始日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うように求めるとともに, 被告企業らは,石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に鑑みて,石綿含有建材の製造販売を中止するか,又は石綿の有する発がん性その他の生命身体に対する危険性に関する警告表示をすべきであったのにこれを怠った等と主張して,被告企業らに対し,民法719条1項前段若しくは同項後段又は製造物責任法3条に基づく損害賠償として,被告国及び自身以外の被告企業らと連帯して上記金員を支払うように求める事案である。
判示事項の要旨
1 建築作業に従事した際に石綿粉じんに曝露したことによって石綿肺,肺がん又は中皮腫に罹患した建築作業従事者及びその相続人による国家賠償請求について,被告国が,労働安全衛生法その他の労働関係法令に基づき,建築作業従事者を雇用する事業者に対して建築作業従事者に防じんマスクを使用させる義務を課す等の石綿曝露防止策を講じなかったことは,昭和56年1月1日以降,国家賠償法1条1項の適用上違法となるとした事例
2 上記1の建築作業従事者及びその相続人による石綿含有建材の製造販売企業らに対する共同不法行為に基づく損害賠償請求について,民法719条1項前段の共同不法行為の要件としては,複数人による個々の加害行為と損害の全部との間にそれぞれ独自に相当因果関係があることを要し,同項後段の共同不法行為の要件としては,共同行為者以外の者による加害行為はないか,又は共同行為者以外の者による加害行為と損害との間には相当因果関係がないことを要するとし,共同不法行為責任を否定した事例
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