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2017/03/30 13:00 更新

事件番号平成27(あ)1266
事件名犯人隠避,証拠隠滅被告事件
裁判所最高裁判所第二小法廷
裁判年月日平成29年3月27日
裁判種別決定
結果棄却
原審裁判所東京高等裁判所
原審事件番号平成26(う)1409
原審裁判年月日平成27年7月8日
事案の概要本件犯人隠避の事実関係は,次のとおりである。(1) Aは,平成23年9月18日午前3時25分頃,普通自動二輪車(カワサキZEPHYR。以下「A車」という。)を運転し,信号機により交通整理の行われている交差点の対面信号機の赤色表示を認めたにもかかわらず,停止せずに同交差点内に進入した過失により,右方から普通自動二輪車を運転進行してきたBを同車もろとも路上に転倒・滑走させ,同車をA車に衝突させ,よってBに外傷性脳損傷等の傷害を負わせる交通事故(以下「本件事故」という。)を起こし,その後Bを同傷害により死亡させたのに,所定の救護義務・報告義務を果たさなかった。(2) 被告人は,自ら率いる不良集団の構成員であったAから同人が本件事故を起こしたことを聞き,A車の破損状況から捜査機関が前記道路交通法違反及び自動車運転過失致死の各罪の犯人がAであることを突き止めるものと考え,Aの逮捕に先立ち,Aとの間で,A車は盗まれたことにする旨の話合いをした。(3) Aは,前記(1)に係る各被疑事実により,平成24年7月8日通常逮捕され,引き続き勾留された。被告人は,その参考人として取調べを受けるに当たり,警察官から,本件事故のことのほか,AがA車に乗っているかどうか,A車がどこにあるか知っているかについて質問を受け,A車が本件事故の加害車両であると特定されていることを認識したが,警察官に対し,「Aがゼファーという単車に実際に乗っているのを見たことはない。Aはゼファーという単車を盗まれたと言っていた。単車の事故があったことは知らないし,誰が起こした事故なのか知らない。」などのうそを言い,本件事故の当時,A車が盗難被害を受けていたことなどから前記各罪の犯人はAではなく別人であるとする虚偽の説明をした。2 前記の事実関係によれば,被告人は,前記道路交通法違反及び自動車運転過失致死の各罪の犯人がAであると知りながら,同人との間で,A車が盗まれたことにするという,Aを前記各罪の犯人として身柄の拘束を継続することに疑念を生じさせる内容の口裏合わせをした上,参考人として警察官に対して前記口裏合わせに基づいた虚偽の供述をしたものである。このような被告人の行為は,刑法103条にいう「罪を犯した者」をして現にされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為と認められるのであって,同条にいう「隠避させた」に当たると解するのが相当である(最高裁昭和63年(あ)第247号平成元年5月1日第一小法廷決定・刑集43巻5号405頁参照)。したがって,被告人について,犯人隠避罪の成立を認めた原判断は,是認できる。よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官小貫芳信の補足意見がある。裁判官小貫芳信の補足意見は,次のとおりである。私は,法廷意見に賛同するものであるが,本件被告人の行為が隠避に当たると考えた理由について,意見を補足して述べておきたい。1 隠避行為とは,法廷意見が説示するとおり,「犯人の身柄拘束を免れさせる性質の行為」をいうものと解するのが相当である。そして,虚偽供述がそのような行為に該当するというためには,客観的に刑事司法作用を誤らせる危険性を有するものであること,すなわち,当該虚偽供述が犯人の身柄拘束の継続に疑義を生じさせる性質のものであることを要するというべきである。2 まず,「犯人の身柄拘束を免れさせる性質の行為」といえるためには,単に身柄拘束の可否を判断することに何らかの関連を有する供述というだけでは広範なものが含まれ,処罰の範囲を画することができないので,その可否判断に直接ないし密接に関連した供述内容でなければならない。このような点から本件供述内容をみると,本件では,事故時に犯人がA車を使用することが可能であったことが必須の捜査事項であったところ,本件被告人の虚偽供述の内容は,「Aがゼファーという単車に実際に乗っているのを見たことはない。Aはゼファーという単車を盗まれたと言っていた。」というものであり,AはA車を使用することは不可能であり,結局Aが本件事故車の運転者ではあり得ないことを供述内容とするものであるから,Aの身柄拘束を免れさせることに直接関わる虚偽供述内容といえよう。3 次に,本件は,虚偽供述にとどまるものではなく,Aと口裏合わせをした上で,前記虚偽供述をした事案である。
裁判要旨参考人として警察官に対して犯人との間の口裏合わせに基づいた虚偽の供述をする行為が刑法(平成28年法律第54号による改正前のもの)103条にいう「隠避させた」に当たるとされた事例

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