事件番号平成25(行ウ)65
事件名墓地経営不許可処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年11月16日
事案の概要本件は,宗教法人であり,東京都羽村市内の土地において墓地を設置することを計画していた原告が,「墓地,埋葬等に関する法律」(以下「墓埋法」という。)10条1項に基づき,申請当時の許可権限者であった東京都知事の権限の委任を受けた東京都西多摩保健所長に対して墓地経営許可の申請をしたところ,その後に法律の改正に伴ってその許可の権限を有することとなった羽村市長から,上記の申請について許可しない旨の処分(墓地経営不許可処分)を受けたことについて,ⅰ)主位的に,上記の処分には違法があるとしてその取消しを求めるとともに,上記の申請について許可する旨の処分をしないことは裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用となるとしてその義務付けを求める一方で,ⅱ)予備的に,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として,①被告が上記の申請について許可する旨の処分がされることを妨害する行為をしたために,原告は許可権限移譲前の東京都西多摩保健所長から同処分を受けられなかったことにより損害を生じたとして,被告に対し,損害金合計4億6308万円の内金1億円及びこれに対する上記の行為の後である平成24年4月1日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「予備的請求①」という。)とともに,これと選択的に,②被告が独自の審査基準を定めていたにもかかわらずこれを公表しなかったために,原告は上記の申請をして墓地経営不許可処分を受けたことにより損害を生じたとして,被告に対し,予備的請求①と同額の損害金及び遅延損害金の支払を求める(以下「予備的請求②」という。)事案である。
判示事項1 墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づいて宗教法人がした墓地経営許可の申請に対しこれを許可しない旨の市長の処分が違法ではないとされた事例
2 墓地の設置に係る事業を計画していた宗教法人が市長との事前協議をするよう求める行政指導に従う意思がないことを真摯かつ明確に表明した後においても上水道及び公共下水道に上記墓地の給排水設備を接続するのに必要な工事承認の申込み及び適合確認の申請についての審査を開始しなかった市の職員の行為が国家賠償法上違法とされた事例
裁判要旨1 墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づいて宗教法人がした墓地経営許可の申請に対しこれを許可しない旨の市長の処分は,市営墓地の拡張工事が計画されていて墓地の経営は地方公共団体が行うとの原則により難い事情が存在しないこと,当該墓地が工業専用地域の中に設置される計画であり都市計画と整合しないこと等の重要な点において相当の理由があるなどの判示の事情の下では,市長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法な処分ということはできない。
2 市が定める宅地開発等指導要綱の適用事業に該当する墓地の設置に係る事業を計画し,同指導要綱に定める市長との事前協議をするよう求める行政指導を受けていた宗教法人が,市が管理権限を有する上水道及び公共下水道に上記墓地の給排水設備を接続するのに必要な条例上の工事承認の申込み及び適合確認の申請に関して,当初は上記事前協議を行う意向を示していたものの,その後,上記行政指導に従う意思がないことを真摯かつ明確に表明し,上記申込み及び申請についての審査がされることを望むに至ったなどの判示の事情の下では,市の職員が,上記の意思表明が市に到達した後においても上記審査を開始しなかった行為は,国家賠償法1条1項の適用上違法である。
事件番号平成25(行ウ)65
事件名墓地経営不許可処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成28年11月16日
事案の概要
本件は,宗教法人であり,東京都羽村市内の土地において墓地を設置することを計画していた原告が,「墓地,埋葬等に関する法律」(以下「墓埋法」という。)10条1項に基づき,申請当時の許可権限者であった東京都知事の権限の委任を受けた東京都西多摩保健所長に対して墓地経営許可の申請をしたところ,その後に法律の改正に伴ってその許可の権限を有することとなった羽村市長から,上記の申請について許可しない旨の処分(墓地経営不許可処分)を受けたことについて,ⅰ)主位的に,上記の処分には違法があるとしてその取消しを求めるとともに,上記の申請について許可する旨の処分をしないことは裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用となるとしてその義務付けを求める一方で,ⅱ)予備的に,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として,①被告が上記の申請について許可する旨の処分がされることを妨害する行為をしたために,原告は許可権限移譲前の東京都西多摩保健所長から同処分を受けられなかったことにより損害を生じたとして,被告に対し,損害金合計4億6308万円の内金1億円及びこれに対する上記の行為の後である平成24年4月1日から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「予備的請求①」という。)とともに,これと選択的に,②被告が独自の審査基準を定めていたにもかかわらずこれを公表しなかったために,原告は上記の申請をして墓地経営不許可処分を受けたことにより損害を生じたとして,被告に対し,予備的請求①と同額の損害金及び遅延損害金の支払を求める(以下「予備的請求②」という。)事案である。
判示事項
1 墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づいて宗教法人がした墓地経営許可の申請に対しこれを許可しない旨の市長の処分が違法ではないとされた事例
2 墓地の設置に係る事業を計画していた宗教法人が市長との事前協議をするよう求める行政指導に従う意思がないことを真摯かつ明確に表明した後においても上水道及び公共下水道に上記墓地の給排水設備を接続するのに必要な工事承認の申込み及び適合確認の申請についての審査を開始しなかった市の職員の行為が国家賠償法上違法とされた事例
裁判要旨
1 墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づいて宗教法人がした墓地経営許可の申請に対しこれを許可しない旨の市長の処分は,市営墓地の拡張工事が計画されていて墓地の経営は地方公共団体が行うとの原則により難い事情が存在しないこと,当該墓地が工業専用地域の中に設置される計画であり都市計画と整合しないこと等の重要な点において相当の理由があるなどの判示の事情の下では,市長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法な処分ということはできない。
2 市が定める宅地開発等指導要綱の適用事業に該当する墓地の設置に係る事業を計画し,同指導要綱に定める市長との事前協議をするよう求める行政指導を受けていた宗教法人が,市が管理権限を有する上水道及び公共下水道に上記墓地の給排水設備を接続するのに必要な条例上の工事承認の申込み及び適合確認の申請に関して,当初は上記事前協議を行う意向を示していたものの,その後,上記行政指導に従う意思がないことを真摯かつ明確に表明し,上記申込み及び申請についての審査がされることを望むに至ったなどの判示の事情の下では,市の職員が,上記の意思表明が市に到達した後においても上記審査を開始しなかった行為は,国家賠償法1条1項の適用上違法である。
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