事件番号平成28(行コ)138
事件名α西地区第一種市街地再開発事業に係る資産価額請求控訴事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成28年12月15日
事案の概要本件は,α西地区第一種市街地再開発事業(以下「本件再開発事業」という。)に関し,裁決行政庁において,都市再開発法(以下「都再法」という。)85条3項,土地収用法94条8項に基づき,控訴人が本件再開発事業の施行地区(以下「本件施行地区」という。)内に所有する原判決別紙1-1「物件目録」記載1の土地(以下「本件土地」という。)並びに同目録記載2及び3の各建物の都再法73条1項3号に規定する価額を本件土地につき95億3998万6000円,上記各建物につき13億0143万5074円と定める裁決(以下「本件裁決」という。)をしたところ,このうち本件土地の価額に不服のある控訴人が,被控訴人に対し,① 都再法85条3項,土地収用法133条2項に基づき,本件裁決のうち本件土地の価額に関する部分を121億8255万円と変更(増額)することを求め(前記第1の2。行政事件訴訟法4条前段の当事者訴訟),② 施行者である被控訴人に対し,この変更(増額)に伴う清算金として,20億円及びこれに対する権利変換期日の翌日である平成24年12月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(前記第1の3。同条後段の当事者訴訟又は民事訴訟)事案である。
判示事項第一種市街地再開発事業の完成の期待と都市再開発法80条1項にいう「相当の価額」
裁判要旨第一種市街地再開発事業を起因とする施行地区内の宅地の価格の上昇は,再開発事業による市街地の活性化,利便性の向上等又はこれに対する期待に伴う価値の増分として,都市再開発法80条1項所定の評価基準日までに,施行地区内の同法73条1項3号にいう宅地のみならずその近隣周辺において同等に生じているときは,当該宅地の同法80条1項にいう「相当の価額」の算定において考慮されるべきものであると解されるが,上記価格の上昇が,当該宅地が再開発事業の施行される土地であることにより生じる同事業完成の期待に伴うものであるときは,同価値の増分は,評価基準日以降に生じる付加価値であり,個別的要因によって変動し得る不確定なものであって,施行地区内の土地全体に一般的,普遍的に及ぶ利益ではないから,当該宅地の同項にいう「相当の価額」の算定において考慮されるべきものではないと解するのが相当である。
事件番号平成28(行コ)138
事件名α西地区第一種市街地再開発事業に係る資産価額請求控訴事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成28年12月15日
事案の概要
本件は,α西地区第一種市街地再開発事業(以下「本件再開発事業」という。)に関し,裁決行政庁において,都市再開発法(以下「都再法」という。)85条3項,土地収用法94条8項に基づき,控訴人が本件再開発事業の施行地区(以下「本件施行地区」という。)内に所有する原判決別紙1-1「物件目録」記載1の土地(以下「本件土地」という。)並びに同目録記載2及び3の各建物の都再法73条1項3号に規定する価額を本件土地につき95億3998万6000円,上記各建物につき13億0143万5074円と定める裁決(以下「本件裁決」という。)をしたところ,このうち本件土地の価額に不服のある控訴人が,被控訴人に対し,① 都再法85条3項,土地収用法133条2項に基づき,本件裁決のうち本件土地の価額に関する部分を121億8255万円と変更(増額)することを求め(前記第1の2。行政事件訴訟法4条前段の当事者訴訟),② 施行者である被控訴人に対し,この変更(増額)に伴う清算金として,20億円及びこれに対する権利変換期日の翌日である平成24年12月15日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(前記第1の3。同条後段の当事者訴訟又は民事訴訟)事案である。
判示事項
第一種市街地再開発事業の完成の期待と都市再開発法80条1項にいう「相当の価額」
裁判要旨
第一種市街地再開発事業を起因とする施行地区内の宅地の価格の上昇は,再開発事業による市街地の活性化,利便性の向上等又はこれに対する期待に伴う価値の増分として,都市再開発法80条1項所定の評価基準日までに,施行地区内の同法73条1項3号にいう宅地のみならずその近隣周辺において同等に生じているときは,当該宅地の同法80条1項にいう「相当の価額」の算定において考慮されるべきものであると解されるが,上記価格の上昇が,当該宅地が再開発事業の施行される土地であることにより生じる同事業完成の期待に伴うものであるときは,同価値の増分は,評価基準日以降に生じる付加価値であり,個別的要因によって変動し得る不確定なものであって,施行地区内の土地全体に一般的,普遍的に及ぶ利益ではないから,当該宅地の同項にいう「相当の価額」の算定において考慮されるべきものではないと解するのが相当である。
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