事件番号平成28(行ヒ)224
事件名法人税更正処分取消等請求事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日平成29年10月24日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所名古屋高等裁判所
原審事件番号平成26(行コ)91
原審裁判年月日平成28年2月10日
事案の概要本件は,内国法人である上告人が,平成19年4月1日から同20年3月31日まで及び同年4月1日から同21年3月31日までの各事業年度(以下,それぞれ「平成20年3月期」,「平成21年3月期」といい,併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の各確定申告をしたところ,刈谷税務署長から,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの。以下「措置法」という。)66条の6第1項により,シンガポール共和国(以下「シンガポール」という。)において設立された上告人の子会社であるA(以下「A」という。)の後記2(1)の課税対象留保金額に相当する金額が上告人の本件各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして,平成20年3月期の法人税の再更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分並びに平成21年3月期の法人税の再更正処分を受けたため,被上告人を相手に,これらの処分(上記の各再更正処分については上告人の主張する金額を超える部分。以下「本件各処分」という。)の取消しを求める事案である。
判示事項1 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項にいう株式の保有に係る事業に含まれるとはいえないとされた事例
2 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項及び4項にいう主たる事業であるとされた事例
裁判要旨1 内国法人に係る特定外国子会社等が行っていた地域統括業務は,それが地域企画,調達,財務,材料技術,人事,情報システム及び物流改善という多岐にわたる業務から成り,集中生産・相互補完体制を強化し,各拠点の事業運営の効率化やコスト低減を図ることを目的とするものであるなど判示の事実関係の下においては,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項にいう株式の保有に係る事業に含まれるとはいえない。
2 内国法人に係る特定外国子会社等につき,①対象地域内のグループ会社に対して行う地域企画,調達,財務,材料技術,人事,情報システム及び物流改善に係る地域統括業務の中の物流改善業務に関する売上高が収入金額の多くを占めていたこと,②所得金額(税引前当期利益)は保有株式の受取配当の占める割合が高かったものの,その配当収入の中には上記地域統括業務によって上記グループ会社全体に原価率が低減した結果生じた利益が相当程度反映されていたこと,③上記特定外国子会社等の現地事務所で勤務する従業員の多くが上記業務に従事し,その保有する有形固定資産の大半が上記業務に供されていたことなど判示の事情の下においては,上記地域統括業務が,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項及び4項にいう上記特定外国子会社等の主たる事業である。
事件番号平成28(行ヒ)224
事件名法人税更正処分取消等請求事件
裁判所最高裁判所第三小法廷
裁判年月日平成29年10月24日
裁判種別判決
結果破棄自判
原審裁判所名古屋高等裁判所
原審事件番号平成26(行コ)91
原審裁判年月日平成28年2月10日
事案の概要
本件は,内国法人である上告人が,平成19年4月1日から同20年3月31日まで及び同年4月1日から同21年3月31日までの各事業年度(以下,それぞれ「平成20年3月期」,「平成21年3月期」といい,併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の各確定申告をしたところ,刈谷税務署長から,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの。以下「措置法」という。)66条の6第1項により,シンガポール共和国(以下「シンガポール」という。)において設立された上告人の子会社であるA(以下「A」という。)の後記2(1)の課税対象留保金額に相当する金額が上告人の本件各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして,平成20年3月期の法人税の再更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分並びに平成21年3月期の法人税の再更正処分を受けたため,被上告人を相手に,これらの処分(上記の各再更正処分については上告人の主張する金額を超える部分。以下「本件各処分」という。)の取消しを求める事案である。
判示事項
1 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項にいう株式の保有に係る事業に含まれるとはいえないとされた事例
2 内国法人に係る特定外国子会社等の行う地域統括業務が租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項及び4項にいう主たる事業であるとされた事例
裁判要旨
1 内国法人に係る特定外国子会社等が行っていた地域統括業務は,それが地域企画,調達,財務,材料技術,人事,情報システム及び物流改善という多岐にわたる業務から成り,集中生産・相互補完体制を強化し,各拠点の事業運営の効率化やコスト低減を図ることを目的とするものであるなど判示の事実関係の下においては,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項にいう株式の保有に係る事業に含まれるとはいえない。
2 内国法人に係る特定外国子会社等につき,①対象地域内のグループ会社に対して行う地域企画,調達,財務,材料技術,人事,情報システム及び物流改善に係る地域統括業務の中の物流改善業務に関する売上高が収入金額の多くを占めていたこと,②所得金額(税引前当期利益)は保有株式の受取配当の占める割合が高かったものの,その配当収入の中には上記地域統括業務によって上記グループ会社全体に原価率が低減した結果生じた利益が相当程度反映されていたこと,③上記特定外国子会社等の現地事務所で勤務する従業員の多くが上記業務に従事し,その保有する有形固定資産の大半が上記業務に供されていたことなど判示の事情の下においては,上記地域統括業務が,租税特別措置法(平成21年法律第13号による改正前のもの)66条の6第3項及び4項にいう上記特定外国子会社等の主たる事業である。
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