事件番号平成29(行コ)60
事件名補助金不交付処分取消等請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第9民事部
裁判年月日平成30年3月20日
結果棄却
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成24(行ウ)197
原審結果棄却
事案の概要本件は,控訴人が,本件各不交付がいずれも違法であるなどとして,被控訴人大阪府に対し,1次的に本件大阪府不交付の取消し(控訴の趣旨2)及び本件23年度大阪府補助金の交付決定の義務付け(同3)を求め(本件大阪府取消等請求),2次的に控訴人の本件大阪府申請に対する被控訴人大阪府による承諾の意思表示を求め(同4。本件大阪府承諾請求),3次的に大阪府要綱に基づき控訴人が本件23年度大阪府補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求め(同5。本件大阪府確認請求),4次的に本件大阪府不交付により控訴人に本件23年度大阪府補助金相当額8080万円の損害が生じたとして国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として同額及び遅延損害金の支払を求める(同7のうち8080万円に係る部分。本件大阪府補助金国賠請求)とともに,その余の国家賠償請求として,風評被害等の損害330万円(弁護士費用30万円を含む。)及びこれに対する遅延損害金(同6,7のうち330万円に係る部分。)並びに本件23年度大阪府補助金8080万円の支払の遅延により生じた損害金(同6の8080万円に対する遅延損害金に係る部分。)の支払を求め(本件大阪府風評等国賠請求),また,被控訴人大阪市に対し,1次的に本件大阪市不交付の取消し(控訴の趣旨8)及び本件23年度大阪市補助金の交付決定の義務付け(同9)を求め(本件大阪市取消等請求),2次的に控訴人の本件大阪市申請に対する被控訴人大阪市による承諾の意思表示を求め(同10。本件大阪市承諾請求),3次的に大阪市要綱に基づき控訴人が本件23年度大阪市補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求め(同11。本件大阪市確認請求),4次的に本件大阪市不交付により控訴人に本件23年度大阪市補助金相当額2650万円の損害が生じたとして国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として同額及び遅延損害金の支払を求める(同13のうち2650万円に係る部分。本件大阪市補助金国賠請求)とともに,その余の国家賠償請求として,風評被害等の損害330万円(弁護士費用30万円を含む。)及びこれに対する遅延損害金(同12,13のうち330万円に係る部分。)並びに本件23年度大阪市補助金2650万円の支払の遅延により生じた損害金(同12のうち2650万円に係る部分。)の支払を求める(本件大阪市風評等国賠請求)事案である。
判示事項の要旨1 大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱に基づいて交付される補助金の不交付決定及び大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金交付要綱に基づいて交付される補助金の不交付決定は,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
2 各種学校を設置する準学校法人である控訴人が前記1の各要綱の交付対象要件を充足すると主張して,これら要綱に基づく補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求める訴えは,補助金交付の要否をめぐる問題を解決するための適切な手段であるから,確認の利益を肯定することができる。
3 被控訴人大阪府が,大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱に補助金の交付対象要件として,①生徒に対し,幼稚園教育要領,小学校・中学校・高等学校学習指導要領(学校教育法施行規則38条,74条,84条)に準じた教育を行っていること,②私立学校法35条1項(同法64条5項において準用する場合を含む。)に規定する理事及び監事が特定の政治団体(公安調査庁が公表する直近の「内外情勢の回顧と展望」において調査等の対象としている団体。ただし,政治資金規正法3条2項にいう政党を除く。)の役員を兼務していないこと,③学校法人が特定の政治団体への寄附又は特定の政治団体からの寄附の受入れをしていないこと,④特定の政治団体が主催する行事に,学校の教育活動として参加していないこと,⑤政治指導者の肖像画を教室等に掲示していないことを求める旨の改正をし,各種学校を設置する準学校法人である控訴人が上記④を充足しないことを理由として,上記補助金を不交付としたことは,憲法13条,14条,23条,26条,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約2条,13条,市民的及び行政的権利に関する国際規約26条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約,児童の権利に関する条約3条,教育基本法16条1項,14条2項,私立学校法1条に違反するものではなく,裁量の逸脱・濫用はないし,交付対象要件の適用にも誤りはない。
4 被控訴人大阪市が,大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金交付要綱に補助金の交付対象要件として,大阪府私立外国人学校振興補助金の交付を受けることが見込まれることを付加する改正をし,各種学校を設置する準学校法人である控訴人がこれを充足しないことを理由として,上記補助金を不交付としたことは,憲法13条,14条,23条,26条,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約2条,13条,市民的及び行政的権利に関する国際規約26条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約,児童の権利に関する条約3条,教育基本法16条1項,14条2項,私立学校法1条に違反するものではなく,裁量の逸脱・濫用はないし,交付対象要件の適用にも誤りはない。
事件番号平成29(行コ)60
事件名補助金不交付処分取消等請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第9民事部
裁判年月日平成30年3月20日
結果棄却
原審裁判所大阪地方裁判所
原審事件番号平成24(行ウ)197
原審結果棄却
事案の概要
本件は,控訴人が,本件各不交付がいずれも違法であるなどとして,被控訴人大阪府に対し,1次的に本件大阪府不交付の取消し(控訴の趣旨2)及び本件23年度大阪府補助金の交付決定の義務付け(同3)を求め(本件大阪府取消等請求),2次的に控訴人の本件大阪府申請に対する被控訴人大阪府による承諾の意思表示を求め(同4。本件大阪府承諾請求),3次的に大阪府要綱に基づき控訴人が本件23年度大阪府補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求め(同5。本件大阪府確認請求),4次的に本件大阪府不交付により控訴人に本件23年度大阪府補助金相当額8080万円の損害が生じたとして国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として同額及び遅延損害金の支払を求める(同7のうち8080万円に係る部分。本件大阪府補助金国賠請求)とともに,その余の国家賠償請求として,風評被害等の損害330万円(弁護士費用30万円を含む。)及びこれに対する遅延損害金(同6,7のうち330万円に係る部分。)並びに本件23年度大阪府補助金8080万円の支払の遅延により生じた損害金(同6の8080万円に対する遅延損害金に係る部分。)の支払を求め(本件大阪府風評等国賠請求),また,被控訴人大阪市に対し,1次的に本件大阪市不交付の取消し(控訴の趣旨8)及び本件23年度大阪市補助金の交付決定の義務付け(同9)を求め(本件大阪市取消等請求),2次的に控訴人の本件大阪市申請に対する被控訴人大阪市による承諾の意思表示を求め(同10。本件大阪市承諾請求),3次的に大阪市要綱に基づき控訴人が本件23年度大阪市補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求め(同11。本件大阪市確認請求),4次的に本件大阪市不交付により控訴人に本件23年度大阪市補助金相当額2650万円の損害が生じたとして国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として同額及び遅延損害金の支払を求める(同13のうち2650万円に係る部分。本件大阪市補助金国賠請求)とともに,その余の国家賠償請求として,風評被害等の損害330万円(弁護士費用30万円を含む。)及びこれに対する遅延損害金(同12,13のうち330万円に係る部分。)並びに本件23年度大阪市補助金2650万円の支払の遅延により生じた損害金(同12のうち2650万円に係る部分。)の支払を求める(本件大阪市風評等国賠請求)事案である。
判示事項の要旨
1 大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱に基づいて交付される補助金の不交付決定及び大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金交付要綱に基づいて交付される補助金の不交付決定は,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
2 各種学校を設置する準学校法人である控訴人が前記1の各要綱の交付対象要件を充足すると主張して,これら要綱に基づく補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求める訴えは,補助金交付の要否をめぐる問題を解決するための適切な手段であるから,確認の利益を肯定することができる。
3 被控訴人大阪府が,大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱に補助金の交付対象要件として,①生徒に対し,幼稚園教育要領,小学校・中学校・高等学校学習指導要領(学校教育法施行規則38条,74条,84条)に準じた教育を行っていること,②私立学校法35条1項(同法64条5項において準用する場合を含む。)に規定する理事及び監事が特定の政治団体(公安調査庁が公表する直近の「内外情勢の回顧と展望」において調査等の対象としている団体。ただし,政治資金規正法3条2項にいう政党を除く。)の役員を兼務していないこと,③学校法人が特定の政治団体への寄附又は特定の政治団体からの寄附の受入れをしていないこと,④特定の政治団体が主催する行事に,学校の教育活動として参加していないこと,⑤政治指導者の肖像画を教室等に掲示していないことを求める旨の改正をし,各種学校を設置する準学校法人である控訴人が上記④を充足しないことを理由として,上記補助金を不交付としたことは,憲法13条,14条,23条,26条,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約2条,13条,市民的及び行政的権利に関する国際規約26条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約,児童の権利に関する条約3条,教育基本法16条1項,14条2項,私立学校法1条に違反するものではなく,裁量の逸脱・濫用はないし,交付対象要件の適用にも誤りはない。
4 被控訴人大阪市が,大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金交付要綱に補助金の交付対象要件として,大阪府私立外国人学校振興補助金の交付を受けることが見込まれることを付加する改正をし,各種学校を設置する準学校法人である控訴人がこれを充足しないことを理由として,上記補助金を不交付としたことは,憲法13条,14条,23条,26条,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約2条,13条,市民的及び行政的権利に関する国際規約26条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約,児童の権利に関する条約3条,教育基本法16条1項,14条2項,私立学校法1条に違反するものではなく,裁量の逸脱・濫用はないし,交付対象要件の適用にも誤りはない。
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