事件番号平成30(ネ)108
事件名在外被爆者損害賠償請求控訴事件
裁判所広島高等裁判所 第3部
裁判年月日平成30年9月26日
結果棄却
原審裁判所広島地方裁判所
原審事件番号平成27(ワ)1142
原審結果棄却
事案の概要本件は,広島市において原子爆弾に被爆した被爆者であり,その後中華民国(台湾)に移住した亡E(以下「亡E」という。)が,被控訴人が昭和49年7月22日付け衛発第402号厚生省公衆衛生局長通達(以下「402号通達」という。)に従った取扱いを継続していた間,後記原爆三法の援護措置の対象外に置かれたことにより精神的苦痛を被ったものであり,亡Eの子である控訴人らが,亡Eの被控訴人に対する損害金110万円(内訳・慰謝料100万円,弁護士費用10万円)の賠償請求権を各4分の1相続したと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害金各27万5000円及びこれに対する402号通達が廃止された日である平成15年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨【事案の概要】
本件は,広島市において原子爆弾に被爆した被爆者であり,その後中華民国(台湾)に移住した亡Eが,被控訴人が昭和49年7月22日付け衛発第402号厚生省公衆衛生局長通達(402号通達)に従った取扱いを継続していた間,原爆三法の援護措置の対象外に置かれたことにより精神的苦痛を被ったものであり,亡Eの子である控訴人らが,亡Eの被控訴人に対する損害金110万円の賠償請求権を各4分の1相続したと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害金各27万5000円及びこれに対する402号通達が廃止された日である平成15年3月1日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める事案である。
原判決は,控訴人らの請求はいずれも理由がないとしていずれも棄却したところ,控訴人らがこれを不服として本件控訴を提起した。
【当裁判所の判断】
1 民法724条後段は,不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものと解すべきことは,原判決記載のとおりである。
2 改正民法附則35条1項の規定によれば,改正民法の施行日前における現行民法724条後段の期間の経過の有無及びその前提となる現行民法724条後段の解釈は,なお従前の例によるべきであるところ,現行民法724条後段は,不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものと解すべきであるから,現行民法724条後段が消滅時効を定めたものと解すべきとする控訴人らの主張は,採用することができない。
3 控訴人らが日本に居住地を有しないなど控訴人らの主張する一切の事情を考慮しても,控訴人らの本件請求権の行使が客観的に不可能であったとは認められず,本件において,除斥期間である現行民法724条後段を適用することが著しく正義・公平の理念に反するというべき特段の事情は認められない。
事件番号平成30(ネ)108
事件名在外被爆者損害賠償請求控訴事件
裁判所広島高等裁判所 第3部
裁判年月日平成30年9月26日
結果棄却
原審裁判所広島地方裁判所
原審事件番号平成27(ワ)1142
原審結果棄却
事案の概要
本件は,広島市において原子爆弾に被爆した被爆者であり,その後中華民国(台湾)に移住した亡E(以下「亡E」という。)が,被控訴人が昭和49年7月22日付け衛発第402号厚生省公衆衛生局長通達(以下「402号通達」という。)に従った取扱いを継続していた間,後記原爆三法の援護措置の対象外に置かれたことにより精神的苦痛を被ったものであり,亡Eの子である控訴人らが,亡Eの被控訴人に対する損害金110万円(内訳・慰謝料100万円,弁護士費用10万円)の賠償請求権を各4分の1相続したと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害金各27万5000円及びこれに対する402号通達が廃止された日である平成15年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項の要旨
【事案の概要】
本件は,広島市において原子爆弾に被爆した被爆者であり,その後中華民国(台湾)に移住した亡Eが,被控訴人が昭和49年7月22日付け衛発第402号厚生省公衆衛生局長通達(402号通達)に従った取扱いを継続していた間,原爆三法の援護措置の対象外に置かれたことにより精神的苦痛を被ったものであり,亡Eの子である控訴人らが,亡Eの被控訴人に対する損害金110万円の賠償請求権を各4分の1相続したと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,損害金各27万5000円及びこれに対する402号通達が廃止された日である平成15年3月1日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める事案である。
原判決は,控訴人らの請求はいずれも理由がないとしていずれも棄却したところ,控訴人らがこれを不服として本件控訴を提起した。
【当裁判所の判断】
1 民法724条後段は,不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものと解すべきことは,原判決記載のとおりである。
2 改正民法附則35条1項の規定によれば,改正民法の施行日前における現行民法724条後段の期間の経過の有無及びその前提となる現行民法724条後段の解釈は,なお従前の例によるべきであるところ,現行民法724条後段は,不法行為によって発生した損害賠償請求権の除斥期間を定めたものと解すべきであるから,現行民法724条後段が消滅時効を定めたものと解すべきとする控訴人らの主張は,採用することができない。
3 控訴人らが日本に居住地を有しないなど控訴人らの主張する一切の事情を考慮しても,控訴人らの本件請求権の行使が客観的に不可能であったとは認められず,本件において,除斥期間である現行民法724条後段を適用することが著しく正義・公平の理念に反するというべき特段の事情は認められない。
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