事件番号平成30(ネ)628
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第3民事部
裁判年月日令和元年7月19日
原審裁判所神戸地方裁判所
原審事件番号平成25(ワ)108
事案の概要本件(原審甲事件及び乙事件)は,一審被告又は一審被告と合併したオーツタイヤ株式会社の従業員として一審被告の神戸工場又は泉大津工場においてタイヤ製造業務等に従事していた,一審原告G以外の一審原告らの被相続人ら及び一審原告G(本件被用者ら)が,作業工程から発生する石綿及び石綿を不純物として含有するタルクの粉じんに曝露し,これによって石綿関連疾患(悪性胸膜中皮腫,肺がん,石綿肺)に罹患し,一審原告G以外は死亡したと主張して,一審原告らが,一審被告に対し,債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為に基づき,本件被用者ら1人当たりの慰謝料を3000万円とし,特別補償金を控除するなどして(相続人については,それぞれの相続分に応じ),別紙2「請求・認容金額一覧表」の各一審原告に対応する請求額欄記載の各金額の損害賠償金及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨タイヤ製造等を目的とする会社に雇用され,タイヤ製造業務に従事していた被用者らが,作業工程から発生する石綿及び石綿を不純物として含有するタルク(滑石を微粉砕した無機粉末であり,ゴムの充填剤ないし粘着防止の打ち粉として使用されていた)の粉じんに曝露し,これによって石綿関連疾患(悪性胸膜中皮腫,肺がん,石綿肺)に罹患したとして,被用者ら及びその相続人ら(一審原告ら)が,タイヤ製造会社(一審被告)に対し,債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為に基づき,慰謝料の支払を請求した事案において,昭和35年には石綿が生命・健康に対して危険性を有するものであるとの抽象的な危惧を抱かせるに足りる知見が集積し,一審被告の同業者が設置した病院の医師が昭和35年にタルクが不純物として石綿を含むことが多い旨の論文を公表していたことから,一審被告もその頃にはこれらの知見を有していたのに,一審被告は高濃度の石綿又は石綿を不純物として含有するタルクの粉じんが飛散する状態で被用者らを職務に従事させていたとして,被用者ら全員に対する安全配慮義務違反が認められるとした事例。
事件番号平成30(ネ)628
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所 第3民事部
裁判年月日令和元年7月19日
原審裁判所神戸地方裁判所
原審事件番号平成25(ワ)108
事案の概要
本件(原審甲事件及び乙事件)は,一審被告又は一審被告と合併したオーツタイヤ株式会社の従業員として一審被告の神戸工場又は泉大津工場においてタイヤ製造業務等に従事していた,一審原告G以外の一審原告らの被相続人ら及び一審原告G(本件被用者ら)が,作業工程から発生する石綿及び石綿を不純物として含有するタルクの粉じんに曝露し,これによって石綿関連疾患(悪性胸膜中皮腫,肺がん,石綿肺)に罹患し,一審原告G以外は死亡したと主張して,一審原告らが,一審被告に対し,債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為に基づき,本件被用者ら1人当たりの慰謝料を3000万円とし,特別補償金を控除するなどして(相続人については,それぞれの相続分に応じ),別紙2「請求・認容金額一覧表」の各一審原告に対応する請求額欄記載の各金額の損害賠償金及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
判示事項の要旨
タイヤ製造等を目的とする会社に雇用され,タイヤ製造業務に従事していた被用者らが,作業工程から発生する石綿及び石綿を不純物として含有するタルク(滑石を微粉砕した無機粉末であり,ゴムの充填剤ないし粘着防止の打ち粉として使用されていた)の粉じんに曝露し,これによって石綿関連疾患(悪性胸膜中皮腫,肺がん,石綿肺)に罹患したとして,被用者ら及びその相続人ら(一審原告ら)が,タイヤ製造会社(一審被告)に対し,債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為に基づき,慰謝料の支払を請求した事案において,昭和35年には石綿が生命・健康に対して危険性を有するものであるとの抽象的な危惧を抱かせるに足りる知見が集積し,一審被告の同業者が設置した病院の医師が昭和35年にタルクが不純物として石綿を含むことが多い旨の論文を公表していたことから,一審被告もその頃にはこれらの知見を有していたのに,一審被告は高濃度の石綿又は石綿を不純物として含有するタルクの粉じんが飛散する状態で被用者らを職務に従事させていたとして,被用者ら全員に対する安全配慮義務違反が認められるとした事例。
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