事件番号平成29(行ウ)161
事件名公金支出無効確認等請求事件(住民訴訟)
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日令和2年1月17日
事案の概要本件は,大阪市の住民である原告らが,大阪市の執行機関である被告に対し,大阪市市民局総務課長(以下「総務課長」という。)が大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年1月18日大阪市条例第1号。以下「本件条例」という。)を実施するためにした各支出命令のうち,①本件条例に基づき設置された大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「審査会」という。)の委員に対する報酬として合計115万2480円を支出すべきものとした部分(以下,当該部分を「本件報酬各支出命令」という。)及び②本件条例に基づく調査等に要した郵便料金として合計1272円を支出すべきものとした部分(以下,当該部分を「本件郵便料金各支出命令」といい,このうち,平成28年12月16日付けで郵便料金880円を支出すべきものとした部分を「本件郵便料金支出命令1」,平成29年5月23日付けで郵便料金392円を支出すべきものとした部分を「本件郵便料金支出命令2」という。また,本件郵便料金各支出命令と本件報酬各支出命令を併せて「本件各支出命令」という。)について,(ア)本件条例は,憲法13条,21条1項,31条,94条等に違反し無効であるから,本件各支出命令は,法令上の根拠を欠いて違法である,(イ)「ダイナモ」というハンドルネーム(インターネット上で活動する際の名前)を有する者がインターネット上に動画(以下「本件動画」という。)を投稿し,不特定多数の者による視聴ができる状態に置いていた行為(以下「本件表現活動」という。)が本件条例2条1項所定のヘイトスピーチ(以下「条例ヘイトスピーチ」という。)に該当する旨及び前記ハンドルネームを本件条例に基づき公表したことは,憲法21条1項に違反するから,当該公表に至る過程で郵便料金を支出した本件郵便料金支出命令1は,違法である旨を主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件各支出命令を行う権限を法令上本来的に有するとされている者(同号所定の「当該職員」)である大阪市長(以下「市長」という。)の地位にあったAに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,本件報酬各支出命令に係る支出額である115万2480円及び本件郵便料金各支出命令に係る支出額である1272円並びにこれらに対する訴状送達の日である平成30年1月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をするよう求める事案である。
判示事項の要旨1 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法21条1項に違反しない。
2 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法13条に違反しない。
3 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法31条に違反しない。
4 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法94条及び地方自治法14条1項に違反しない。
5 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)9条に基づく調査又は関係人への意見陳述の機会付与のための連絡に係る郵便の後納料金の支出命令について,同条例5条1項に基づく拡散防止措置及び氏名等の公表措置を実施するか否かを調査審議する段階で前記連絡を行うことが法令上の根拠を欠くということはできず,前記支出命令が財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえないとされた事例
事件番号平成29(行ウ)161
事件名公金支出無効確認等請求事件(住民訴訟)
裁判所大阪地方裁判所 第2民事部
裁判年月日令和2年1月17日
事案の概要
本件は,大阪市の住民である原告らが,大阪市の執行機関である被告に対し,大阪市市民局総務課長(以下「総務課長」という。)が大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年1月18日大阪市条例第1号。以下「本件条例」という。)を実施するためにした各支出命令のうち,①本件条例に基づき設置された大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「審査会」という。)の委員に対する報酬として合計115万2480円を支出すべきものとした部分(以下,当該部分を「本件報酬各支出命令」という。)及び②本件条例に基づく調査等に要した郵便料金として合計1272円を支出すべきものとした部分(以下,当該部分を「本件郵便料金各支出命令」といい,このうち,平成28年12月16日付けで郵便料金880円を支出すべきものとした部分を「本件郵便料金支出命令1」,平成29年5月23日付けで郵便料金392円を支出すべきものとした部分を「本件郵便料金支出命令2」という。また,本件郵便料金各支出命令と本件報酬各支出命令を併せて「本件各支出命令」という。)について,(ア)本件条例は,憲法13条,21条1項,31条,94条等に違反し無効であるから,本件各支出命令は,法令上の根拠を欠いて違法である,(イ)「ダイナモ」というハンドルネーム(インターネット上で活動する際の名前)を有する者がインターネット上に動画(以下「本件動画」という。)を投稿し,不特定多数の者による視聴ができる状態に置いていた行為(以下「本件表現活動」という。)が本件条例2条1項所定のヘイトスピーチ(以下「条例ヘイトスピーチ」という。)に該当する旨及び前記ハンドルネームを本件条例に基づき公表したことは,憲法21条1項に違反するから,当該公表に至る過程で郵便料金を支出した本件郵便料金支出命令1は,違法である旨を主張して,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件各支出命令を行う権限を法令上本来的に有するとされている者(同号所定の「当該職員」)である大阪市長(以下「市長」という。)の地位にあったAに対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,本件報酬各支出命令に係る支出額である115万2480円及び本件郵便料金各支出命令に係る支出額である1272円並びにこれらに対する訴状送達の日である平成30年1月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求をするよう求める事案である。
判示事項の要旨
1 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法21条1項に違反しない。
2 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法13条に違反しない。
3 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法31条に違反しない。
4 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)2条,5条ないし10条は,憲法94条及び地方自治法14条1項に違反しない。
5 大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例(平成28年大阪市条例第1号)9条に基づく調査又は関係人への意見陳述の機会付与のための連絡に係る郵便の後納料金の支出命令について,同条例5条1項に基づく拡散防止措置及び氏名等の公表措置を実施するか否かを調査審議する段階で前記連絡を行うことが法令上の根拠を欠くということはできず,前記支出命令が財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえないとされた事例
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