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事件番号/事件名裁判年月日/裁判所判決書
[高裁] [刑事] 平成22(う)317  5106ViewsMoreinfo
児童福祉法違反被告事件
平成22(う)317
1 判決書の「罪となるべき事実」の項に,児童に対し事実上の影響力を及ぼして淫行するよう働き掛け,その結果児童をして淫行するに至らせたことを判示していない原判決には,行為者を相手方として児童に淫行をさせる場合の児童福祉法34条1項6号の罪の構成要件を満たす事実を漏れなく記載していない理由不備の違法がある。
2 児童が,それまでの経緯から,養父から性交されることに抵抗したり,それを実母に相談することができない心理状態にあり,養父もこのような事情を認識していた本件の事実関係(判文参照)の下では,養父が児童をして自己を相手に性交させた行為は,児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たる。
裁判要旨
平成22年8月3日
東京高等裁判所 第12刑事部
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[高裁] [刑事] 平成22(う)173  3008ViewsMoreinfo
住居侵入,強盗強姦被告事件
平成22(う)173
裁判員裁判において,検察官が,犯行後の法改正を看過し,法改正後の誤った法定刑を前提に論告,求刑を行い,この部分につき,合議体を構成する裁判官が,適用すべき法定刑を誤解していた可能性のある裁判員らに対し,正確な法定刑の教示をせずに評議が行われた場合には,刑事訴訟法379条にいう訴訟手続の法令違反に当たる。
裁判要旨
平成22年11月18日
高松高等裁判所 第1部
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[高裁] [刑事] 平成22(う)1513  4364ViewsMoreinfo
覚せい剤取締法違反被告事件
平成22(う)1513
警察官が覚せい剤の自己使用の嫌疑のある被疑者を職務質問の開始から強制採尿令状の提示まで約4時間にわたり職務質問の現場に留め置いた措置は,職務質問の開始から約40分間が経過した時点で強制採尿令状の請求手続に取りかかっていたことなどからすれば,違法,不当とはいえない。
裁判要旨
平成22年11月8日
東京高等裁判所 第5刑事部
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[高裁] [刑事] 平成22(く)550  1829ViewsMoreinfo
提出命令に対する抗告申立事件
平成22(く)550
いわゆる閉鎖会社であって譲渡制限が付されている会社の株式を,東京証券取引所の市場第一部に近々上場されることによって株主としての地位を取得できるなどと装って販売した事実の有無等が争点となっている詐欺罪の事案において,第三者の立場にある上記会社らに対し,刑訴法99条2項に基づき,営業上の秘密に当たる資料等の証拠物の提出を命じた原決定は,それまでに実施された証拠調べを前提とすると,争点との関連において上記証拠物の取調べの必要性が必ずしも高いとはいえない一方で,その提出を義務づけられることによって上記会社らが受ける不利益は大きいといわざるを得ないから,合理的裁量を逸脱し,違法である。
裁判要旨
平成22年10月29日
東京高等裁判所 第11刑事部
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[高裁] [刑事] 平成22(う)1756  3092ViewsMoreinfo
窃盗,営利拐取,監禁,強盗致死,覚せい剤取締法違反被告事件
平成22(う)1756
強盗犯人が被害者に覚せい剤を注射して放置した行為は,強盗とその行為の場所及び時刻が離れていたとしても,強盗に引き続きその罪跡を隠滅するために行われた本件事実関係の下では,強盗の機会に行われたものということができる。
裁判要旨
平成23年1月25日
東京高等裁判所 第8刑事部
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[高裁] [刑事] 平成25(う)1744  3080ViewsMoreinfo
危険運転致死傷被告事件
平成25(う)1744
大型貨物自動車を運転して信号機により交通整理の行われている丁字路交差点(以下「本件交差点」という。)を直進しようとして,時速約60㎞の速度で本件交差点に進入した場合において,被告人が,本件交差点の出口に設置された横断歩道及び自転車横断帯(以下「本件横断歩道等」という。)から約87.3メートル手前の地点で赤色信号を認識し,同地点で直ちにブレーキをかければ,本件交差点入口の停止線を越えたとしても本件横断歩道等の手前で停止することができ,これによって本件交差点内での事故発生などの危険が生じる可能性はまずなく,かつ本件交差点での衝突事故を回避できる状況にあるにもかかわらず,黄色信号を認識した時点で一旦アクセルから足を離したものの,赤色信号を認識して排気ブレーキを解除し,減速することもなくあえて従前の速度のまま進行したときは,およそ赤色信号に従う意思がなく,赤色信号を殊更に無視したものと評価すべきである。
裁判要旨
平成26年3月26日
東京高等裁判所 第1刑事部
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[高裁] [刑事] 平成25(う)1464  1230ViewsMoreinfo
覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
平成25(う)1464
税関職員が犯則事件の調査において作成した書面は,検証の結果を記載した書面と性質が同じであると認められる限り,刑訴法321条3項所定の書面に含まれる。
裁判要旨
平成26年3月13日
東京高等裁判所 第10刑事部
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[高裁] [下級] [民事] 平成18(ラ)27  5407ViewsMoreinfo
市町村長の処分に対する不服申立却下審判に対する抗告
平成18(ラ)27
1 法律上の親子関係の確定を内容とし,かつ,対世的効力を有する外国裁判所の裁判で確定したものは,民訴法118条にいう「外国裁判所の確定判決」に当たる。
2 民訴法118条3号にいう「日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと」とは,渉外性を考慮してもなお譲ることのできない我が国の基本的価値,秩序に混乱をもたらすことがないことを意味する。
3  アメリカ合衆国ネバダ州在住の米国人女性が,我が国において法律上の婚姻関係にある夫婦との間で,妻の卵巣から採取した卵子に夫の精子を顕微受精させた受精卵の移植を上記女性が子宮に受けて出産すること,出産した子の法律上の両親が上記夫婦であることなどを承諾して出産することなどを内容とするいわゆる代理出産契約を締結し,上記契約の履行として懐胎し分娩した子について,法例17条1項が指定する準拠法である我が国の民法上は上記夫婦の子であるということができず,他方,ネバダ州修正法によっても上記女性の子であるとは認められず,子に法律上の親が存在しないことになる場合には,(1) 上記夫婦と子とは血縁関係を有すること,(2) 上記夫婦が上記契約をしたのは,妻が疾病により自ら懐胎により子を得ることが不可能となったことによること,(3) 上記契約に基づいて上記女性に支払われる手数料は子の対価ではなく,契約の内容についても上記女性の尊厳を侵害する要素を見いだすことはできないこと,(4) 上記夫婦は,子を出生直後から養育しているが,今後も実子として養育することを強く望んでおり,これに対し,上記女性は子との親子関係及び子の養育を望んでいないこと,(5) 上記夫婦と子との法律上の親子関係を認めることは,子の福祉を害するおそれはなく,これを認めて上記夫婦が子を養育することが最もその福祉に適うこと,(6) 厚生科学審議会生殖補助医療部会が代理懐胎を一般的に禁止する理由はいずれも当てはまらず,代理懐胎を否定するだけの社会通念が確立されているとまではいえないことなどの判示の事情の下においては,上記夫婦が子の血縁上及び法律上の父母であることを確認することなどを内容とするネバダ州裁判所の裁判は,民訴法118条3号にいう「日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと」の要件を具備する。
裁判要旨
平成18年9月29日
東京高等裁判所 第17民事部
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[高裁] [民事] 平成18(ラ)743  2582ViewsMoreinfo
養子縁組許可申立却下審判に対する抗告事件
平成18(ラ)743
後見人が,自己の直系卑属である未成年者被後見人を養子とするため,民法794条の養子縁組許可を申し立てた場合,裁判所は,当該被後見人の財産的地位に対する危険を排除するという観点から当該養子縁組の当否を吟味すれば足り,子の福祉確保の観点からその当否を審査すべきではない。
裁判要旨
平成19年9月20日
大阪高等裁判所 第10民事部
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[高裁] [刑事] 平成26(う)698  1091ViewsMoreinfo
刑事訴訟法違反被告事件
平成26(う)698
1 公務執行妨害,傷害被告事件で公訴提起された被告人が,検察官において当該被告事件の審理の準備のために謄写の機会を与えた証拠である実況見分調書貼付の写真に係る複製等をインターネット上の動画投稿サイトに掲載した行為(以下「本件掲載行為」という)に刑事訴訟法281条の5第1項を適用して処罰することは,本件掲載行為の目的,態様等(判文参照)に照らして,必要かつ合理的でやむを得ないものといえるから,憲法21条1項に反しない。
2 刑事訴訟法281条の4第1項にいう当該被告事件の審理の準備に使用する目的とは,被告人及び弁護人が,当該被告事件において,検察官手持ち証拠の内容を把握し,その証拠能力,証明力等を検討して検察官の主張立証に対する反論反証の準備を行い,開示証拠を契機として被告人に有利な主張立証を準備する目的をいう。
3 被告人が当該被告事件における証拠等の問題点を指摘して一般の支援を求めて本件掲載行為を行うことは,当該被告事件の審理の準備に使用する目的による使用には当たらず,刑事訴訟法281条の5第1項に該当する。
裁判要旨
平成26年12月12日
東京高等裁判所 第3刑事部
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[高裁] [民事] 平成18(ラ)6  5311ViewsMoreinfo
後見開始審判に対する即時抗告事件
平成18(ラ)6
後見開始の審判に対する即時抗告において成年後見人選任の不当を抗告理由とすることはできない。
裁判要旨
平成18年2月17日
広島高等裁判所 岡山支部 第2部
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[高裁] [刑事] 平成26(う)366  2910ViewsMoreinfo
傷害致死被告事件
平成26(う)366
1 同一の被害者に対し,被告人A及びBの共謀に基づく暴行(以下「第1暴行」という。)と,両名との共謀関係が認められない被告人Cによる,第1暴行と近接した場所における約40分後の暴行(以下「第2暴行」という。)が加えられ,そのいずれかの暴行ないしそれらが相まって被害者に急性硬膜下血腫が発生し,そのため被害者が死亡したが,第1暴行と第2暴行のいずれによって急性硬膜下血腫が生じたのか特定して認めることはできない事案において,第1暴行によって既に急性硬膜下血腫の傷害が発生していたとしても,第2暴行は,これを更に悪化させたと推認できるから,いずれにしても第2暴行は,被害者死亡の結果との間に因果関係が認められ,刑法207条を適用する前提が欠けることになるとする原判決の判断は,実際に発生した傷害との因果関係について検討しないで,直ちに死亡との因果関係を問題にしている点で,暴行と傷害との因果関係が不明であることを要件とする同条の規定内容に反すると考えられ,このように解した場合,急性硬膜下血腫の傷害の発生について,結局は誰も責任を問われないことになる結果となることを看過したものでもあるから,誤っているといわざるを得ない。
2 第1暴行と第2暴行との間に時間的場所的近接性があることを認めながら,被告人Cは,当時,第1暴行の発端となった被告人Aと被害者との間のトラブルを知らず,被告人Cが第2暴行のような激しい暴行に及ぶことを被告人A及びBが予期できたとは認められないなどの理由を挙げるだけで,両暴行の機会の同一性を否定した原判決の判断は,判文の事実関係にも照らすと,証拠の内容についての理解を誤り,あるいは,証拠から認められる事実関係が機会の同一性の判断に関してどのような位置付けを占めるのかという点に関する評価を誤った結果,論理則,経験則等に照らして不合理で,是認し難い判断に至ったものといわざるを得ない。
裁判要旨
平成27年4月16日
名古屋高等裁判所 第2刑事務
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[高裁] [刑事] 平成27(う)1017  1217ViewsMoreinfo
業務上過失致死被告事件
平成27(う)1017
1 本件事案の概要等について
 本件は,社団法人甲(当時)が認定する「上級登攀ガイド」の資格を備え,山岳ガイドの業務に従事していた被告人が,富山県黒部市内の祖母谷温泉から白馬岳,朝日岳,栂海新道を経て親不知に抜ける5泊6日の有料登山ツアーを企画,主催し,当時53歳から67歳までの5名の女性登山客を引率し,1名の山岳ガイド見習いを随行させ,登山1日目の行程として,平成18年10月7日午前5時過ぎ頃,降雨の中,祖母谷温泉山小屋から長野県北安曇郡白馬村内の白馬岳山頂直下の白馬山荘を目指して,夏山の晴天時に想定される標準的なコースタイムが約9時間30分とされる登山コースの登山を開始し,午前10時15分ころ不帰岳山頂直下の避難小屋を経由し,高度2000mから2500mになる清水尾根を経て清水岳山頂直下まで進み,さらに旭岳山頂直下を経て白馬山荘に向かったが,その登山道上で,天候悪化のため,上記登山客らを強風,みぞれ,吹雪等にさらさせて追従,歩行ができない状態に陥らせ,そのうち4名を低体温症で死亡させるに至ったという遭難事故について,被告人に業務上過失致死の責任が問われた事案である。
 原判決は,本件登山の前日には気象状態の悪化を予想する天気情報が出ていたこと,登山開始時から降雨が続いていたこと,この時期の北アルプスの天候,登山コースの地形的特徴,被害者らの装備などに照らせば,被告人と同等の立場にある通常の山岳ガイドとしては,登山を続行すれば天候悪化により被害者らが稜線上で強風,みぞれ,吹雪等にさらされて凍死に至る危険性を予見することができたから,被告人には,遅くとも清水尾根の途中において登山を中止して不帰岳の避難小屋に引き返すなどして遭難事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるとして,その義務に違反して,登山を中止することなく,漫然登山客らを不十分な装備のまま引率して登山を続行して遭難事故を生じさせた被告人の過失を認め,4名に対する業務上過失致死罪が成立するとした。
 (中略)
 2 結果の予見可能性について
  弁護人は,本件においては結果の予見可能性がなかったとして,以下のように主張する。
 すなわち,低体温症は,寒さ,体の濡れ,風という3つの条件下にさらされ続けた場合に発症しやすいとされるところ,被害者らは,白馬山荘手前約293m又は約157mの地点までは到達し,その地点で強風により移動が困難な状況に陥ったものであり,衣服の防寒性能は風の強さによっても大きく影響されるのであるから,現場の風の強弱により因果的結果の発生の可能性に大きな差が生じ得るものといえ,本件では,死亡に至る因果的経過において,現場で移動困難なほどの強風が吹いていたことが大きな要素となるのであるから,本件で過失の前提となる予見可能性は,単に冬型の気圧配置からの天候の悪化のおそれを認識し得たというだけではなく,人命を奪うような風速30m以上の暴風雪を受ける可能性を認識し得たことを要するというべきである。
 ところが,遭難当日には,日本の南岸にあった温帯低気圧が三陸沖を通過する際に台風並みに発達し,後に「爆発的低気圧」としてテレビ番組内で特集が組まれるほどの,特異な気象状況であったもので,そのために通常の冬型の気圧配置となった場合に想定される吹雪にとどまらず,本件遭難現場における移動を困難とするような激しい暴風雪がもたらされたものであるから,それによる死亡という因果の経過について予見することはできなかった。
 実際,前日に富山駅及び祖母谷温泉山小屋で被告人が見たテレビの天気予報の天気図によれば,本州南岸にあった温帯低気圧は東に抜けて天気は回復に向かうと考えられたから,現に生じたような強風等はもちろんのこと,遭難の危険を生ずるような天候の悪化を予想することはできなかったもので,天気が回復に向かうとの予想を立てたことは,一般人の知見において十分起こり得るところである。
  結果の予見可能性の内容について
  原判決が認定した結果の予見可能性の内容は,次のとおりである。
  すなわち,「前日には,本州南岸の温帯低気圧が発達を続けながらゆっくりと北上するとの発表も出されていた上,10月上旬の北アルプスは,降雪がある時期で,前記登山行程においても強風,みぞれ,吹雪等の気象状態の悪化が予想されたことに加え,前記清水尾根の途中からは樹木帯がなくなり,強風,みぞれ,吹雪等から逃れるための避難小屋のない中,稜線上を前記白馬山荘まで進行するコースとなることや,前記清水尾根の途中までの本件登山中の気象状態及び前記登山客の装備等からすれば,有料登山ツアーである本件登山等を企画,主催し,前記登山客を引率する山岳ガイドとしては,このまま本件登山を続行すれば,前記登山客が強風,みぞれ,吹雪,低気温等にさらされるなどして追従,歩行が困難となり,凍死に至る危険を予想することができた。」
 これに対し,所論によれば,原判決の認定のように気象状態の悪化の可能性とそれが現実化した場合に遭難事故となる危険を予見し得たとしても,現に生じたような著しい天候の悪化により移動を困難とするような厳しい暴風雪となることまで予見することができない限り,被告人に過失は認められない,ということになる。しかし,そのような所論には到底賛同することができない。
 すなわち,本件遭難事故は,本件有料登山ツアーを企画,主催し,山岳ガイドとして登山客らを引率していた被告人が,本件登山を続行する中で天候の悪化に見舞われて発生したものであるから,登山客を引率して登山を続行した被告人の行為が遭難事故の原因となったものといえる。このような被告人に対して過失責任を問うためには,普通に注意をしていれば天候の悪化による遭難事故の発生を予見することができたにもかかわらず,必要な注意を欠いてその予見をせずに登山を続行した,といえることが必要と考えられる。そして,遭難事故となる危険性のあるような天候の悪化が予見できれば,遭難事故を避けるために登山を中止することが期待できるのであるから,過失判断の前提としての予見の内容としては,「遭難事故となる危険性のあるような天候の悪化の可能性」で足り,それ以上に「現に生じたような著しい天候の悪化の可能性」は予見の対象とならないというべきである。
 これと概ね同旨の原判決の判断は正当であり,所論は理由がない。
  被告人の予見可能性について
 所論は,被告人が前日に富山駅等で見たテレビの天気予報の天気図によれば,本州南岸にあった温帯低気圧は東に抜けて天気は回復に向かうと予想され,一般人の知見において,現に生じたような強風等はもちろんのこと,遭難の危険を生ずるような天候の悪化を予想することはできなかった旨をいう。
 このうち,現に生じたような強風等の予見可能性が,被告人の過失の有無を判断する前提とならないことは,既に判示したとおりである。
 そこで,本件の際に,遭難事故となる危険性のあるような天候の悪化の可能性が予見できたかという点について検討する。
 原判決の認定及び原審記録によれば,以下のとおり認められる。
 すなわち,10月上旬の時期に,温帯低気圧が三陸沖に北上すれば本州付近は冬型の気圧配置となって天候が悪化し,北アルプスの山岳地帯では吹雪等となる可能性があることは,被告人と同等の立場にある通常の山岳ガイドであれば当然に承知している事柄である。被告人もそのこと自体の認識に欠けていたわけではない。そして,本件遭難事故の前日には,本州南岸の温帯低気圧が発達を続けながらゆっくりと北上するとの気象予報も出されていた。また,本件登山コースは,不帰岳山頂直下の避難小屋を過ぎ清水尾根を進むと,その途中から森林限界を超え,風雨をさえぎるもののない稜線上を進行する状態となるが,不帰岳山頂直下の避難小屋から白馬山荘に至るまで,夏山の晴天時に想定される標準的なコースタイムで4時間30分程度を要するとされる行程の途中には避難する場所はないというものである。このような本件登山コースの地形的特徴等は,登山ツアーを引率する通常の山岳ガイドであれば当然に把握しているべき事情であり,被告人も,本件登山の2年前に同じコースを登った経験もあって,熟知していた。また,被害者らは,遭難当時,雨具は着用していたものの,その下には,強風や吹雪にさらされても耐えられるような防寒具は着用していなかった。そして,外気が10℃以下で皮膚表面が濡れ,風に当たるという条件が重なると低体温症になり,これらの条件が長時間続いた場合には死に至る危険があるところ,このような低体温症の原因や危険性などに関する基本的な知識は,通常の山岳ガイドであれば備えているべきものであり,被告人も,その基本的な認識に欠けるところはなかった。
以上によれば,被告人と同等の立場にある通常の山岳ガイドであれば,本州南岸の温帯低気圧が発達を続けながらゆっくりと北上することによって,本州付近が冬型の気圧配置になり,天候が悪化し,本件登山コース上で,登山客らが強風,みぞれ,吹雪等にさらされ,低体温症に陥って,追従,歩行が困難となり,遭難事故により死亡するに至る危険を予見することは可能であったと考えられる。
裁判要旨
平成27年10月30日
東京高等裁判所 第5刑事部
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[高裁] [刑事] 平成28(う)727  1325ViewsMoreinfo
有印私文書偽造,有印公文書偽造,建造物損壊,非現住建造物等放火被告事件
平成28(う)727
差し押えたパソコンに対する検証許可状を得て,差押え後に把握したパスワードを用いてサーバにアクセスし,メール等を閲覧,保存した警察官の行為は,検証許可状に基づいて行うことができない強制処分を行ったものであり,パソコンを差し押さえた捜索差押許可状にはいわゆるリモートアクセスによる複写の処分が許可されていたことなどを考慮しても,違法の程度は重大であるとして,検証調書等の証拠能力を否定したものの,弁護人が証拠排除を求めたその他の証拠については,本件検証がなくても,捜査機関がそれらの証拠を取得することが可能であったと認められるため,本件検証と密接な関連性がないとして,証拠能力を認めた原判決の判断は是認できる。
裁判要旨
平成28年12月7日
東京高等裁判所
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[高裁] [刑事] 平成27(う)1872  1215ViewsMoreinfo
窃盗,建造物侵入被告事件
平成27(う)1872
警察官らが,身柄を拘束されておらず,相手が警察官であることを認識していない被告人に対し,そのDNA型検査の資料を得るため,紙コップを手渡してお茶を飲むように勧め,そのまま廃棄されるものと考えた被告人から同コップを回収し,唾液を採取した本件行為は,合理的に推認される被告人の黙示の意思に反して個人識別情報をむやみに捜査機関によって認識されないという重要な利益を侵害しており,強制処分に該当し,令状によることなくされた本件行為は違法である上,本件行為及びこれに引き続く一連の手続(判文参照)には,令状主義の精神を没却する重大な違法があり,逮捕後に任意提出された口腔内細胞のDNA型に関する本件鑑定書を証拠として許容することは将来における違法捜査の抑制の見地から相当でなく,本件鑑定書は違法収集証拠として証拠能力を否定すべきである。
裁判要旨
平成28年8月23日
東京高等裁判所 第4刑事部
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[高裁] [刑事] 平成27(う)1521  2545ViewsMoreinfo
強盗殺人(認定 窃盗),傷害,窃盗,覚せい剤取締法違反被告事件
平成27(う)1521
1 検察官から実質証拠として取調べ請求がされた被告人の自白を内容とする取調べ状況の録音録画記録媒体について,自白の内容は被告人質問で明らかになっていること,争点については共犯者等の供述の信用性が判断の決め手であること,取調べ中の供述態度を見て供述の信用性を判断するのは容易とはいえないことを指摘して,取調べの必要性を否定して請求を却下した原審の証拠決定には合理性があり,取調べ状況の録音録画記録媒体を実質証拠として用いることには慎重な検討が必要であることに照らしても,同証拠決定が証拠の採否における裁判所の合理的な裁量を逸脱したものとは認められない。
2 控訴審において検察官が取調べ請求をした被告人から弁護人を介し共犯者に授受された手紙について,第一審においては共犯者が任意提出を拒み,接見交通権に対する配慮という点でも重要証人である共犯者の証人尋問を有効に実現するという点でも,差押えをするには支障があったという本件事実関係の下では,第一審の弁論終結前に取調べ請求をすることができなかったことに刑訴法382条の2第1項の「やむを得ない事由」があると認めるのが相当である。
裁判要旨
平成28年8月10日
東京高等裁判所 第5刑事部
詳細/PDF
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[高裁] [刑事] 平成28(う)493  1214ViewsMoreinfo
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件
平成28(う)493
客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,犯人がその旨認識していれば,犯人に性的意図が認められないにしても,強制わいせつ罪が成立する。
裁判要旨
平成28年10月27日
大阪高等裁判所
詳細/PDF
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[高裁] [刑事] 平成28(う)303  810ViewsMoreinfo
危険運転致死傷被告事件
平成28(う)303
「人又は車の通行を妨害する目的」には,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図する場合のほか,危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに,人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら,あえて走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する場合も含まれる。
裁判要旨
平成28年12月13日
大阪高等裁判所
詳細/PDF
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[高裁] [刑事] 平成28(う)181  950ViewsMoreinfo
薬事法違反被告事件
平成28(う)181
所持する薬物の薬理作用を認識し,そのような薬理作用があるために当該薬物が薬事法(平成25年法律第84号による改正前のもの)2条14項に規定する指定薬物として指定されている薬物と同様に規制され得る同種のものであることを認識し,指定薬物が含有されていないと信じたことに合理的な理由があったなどの特異な事情が認められない場合は,同号に規定する指定薬物を所持する罪の故意が認められる。
裁判要旨
平成28年6月24日
福岡高等裁判所 第1刑事部
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[高裁] [刑事] 平成25(う)578  1960ViewsMoreinfo
海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律違反被告事件
平成25(う)578
「(海賊船舶等の)拿捕を行った国の裁判所は,科すべき刑罰を決定することができる。」と定める海洋法に関する国際連合条約105条は,海賊行為については,国際法上,いずれの国も管轄権を有することを前提とした上で,拿捕国が利害関係国その他第三国に対して優先的に管轄権を行使することができることを規定したものである。
裁判要旨
平成25年12月18日
東京高等裁判所 第1刑事部
詳細/PDF
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