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事件番号/事件名裁判年月日/裁判所判決書
[下級] [民事] 平成30(ネ)358  94ViewsMoreinfo  up!
平成30(ネ)358
本件は,被控訴人との間でワンセグ機能付き携帯電話(本件携帯電話)について放送受信契約(本件契約)を締結した控訴人が,本件契約は強行法規である放送法64条1項に反するもので民法90条違反の契約として無効であり,また,民法94条1項によっても無効であるなどと主張して,不当利得返還請求権に基づき,本件契約により支払った放送受信料1345円及びこれに対する平成24年7月8日(本件契約の締結日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,本件契約に基づく未払の放送受信料債権5240円につき債務不存在確認を求めた事案である。
事案の概要
平成30年6月21日
東京高等裁判所
詳細/PDF
HTML/TEXT
[下級] [刑事] 平成29(わ)1087  91Views  up!
殺人未遂等
平成30年6月22日
福岡地方裁判所
詳細/PDF
HTML/TEXT
[下級] [刑事] 平成28(わ)1250  87ViewsMoreinfo  up!
電子計算機使用詐欺,詐欺
平成28(わ)1250
本件各公訴事実の外形は争わないが,被告人Xは,A1グループのオーナーにしてA1及びA2の代表取締役会長でありいわゆるワンマン経営者として経営の主導権を掌握していたGから,両社の資金の管理及び運用を一任されていたのみならず,裏金を作るために会社資金を簿外で運用するよう指示もされており,これに基づき判示の送金及び小切手の発行依頼等をしたものであるから,電子計算機使用詐欺の各公訴事実において作成した電磁的記録は不実ではなく,また,詐欺の各公訴事実において小切手の発行依頼等の権限を有しており,いずれについても無罪であると主張するものと解され,同Xはこれに沿う供述をする。3 被告人Yについて弁護人は,要するに,被告人Yが関与したとされる電子計算機使用詐欺の各公訴事実の外形は争わないが,同Xの上記主張に加え,仮にGの指示等の事実が存しなかったとしても,同Yとしては,各公訴事実にかかる送金はいずれもGの承諾のもとでA1グループの正当な業務としてなされたものと認識していたから,電磁的記録が不実であることの故意も,同Xらとの共謀もなく,いずれについても無罪であるというもので,同Yはこれに沿う供述をする。4 争点の所在等ところで,被告人Xの主張は,自分はGの指示・承諾のもと判示の各行為を行ったというものであるが,A1もA2も株式会社であるから,代表者であるGといえども,無制限にその資産を流出させることはできない。他方,本件にかかる送金等につき取締役会の決議・委任がなかったことは関係証拠から明らかであり,争いもない。またGが判示インターネットバンキングの操作や小切手の振出しをする具体的担当者でなかったことも後記認定のとおりである。そうすると,被告人Xの主張は,A1やA2の資金を同社に無断で流出させたことにつき,これが判示の電子計算機使用詐欺等にあたるか業務上横領にあたるかはともかく,Gと共謀してこれを行ったというだけであるともいえる。しかし,本件では,弁護人らが主張するとおり,A1及びA2における最終的経営判断は,実際には,取締役会ではなく,A1グループのワンマン経営者として実権を握っていたGの一存に係っていたことが強くうかがわれる(この点,A1の常務取締役であるHは,主尋問の当初,同社等の取締役会が正常に機能していたかのような供述をしたが,関係証拠に照らし全く信用できない。)。そうすると,本件では,被告人らが主張するとおり,判示各行為についてGの指示ないし承諾があったとすれば,事後的に取締役会の承認を受けられる可能性が高く,かかる事情を知悉していたと認められる被告人らにおいては判示各犯行の故意が欠けることになるというべきである。そこで,まずは上記のGによる指示ないし承諾の有無を検討し,その上で,被告人Yの認識を検討することとする。第2 検討1 前提事実(信用性が争われていない同意書証等から容易に認め得る事実)A1及びA2についてA1は,その株主総会において議決権を行使することができる総株式の2分の1以上をGが所有している。また,A2は,その発行済み株式の過半数をG及びA1が所有する会社である。両社の代表取締役はGらが務め,また,A2の取締役は全員A1の取締役が兼任している。両社の目的は判示のとおりである。(以上,甲3,4,H3丁)被告人Xについて被告人Xは,平成16年4月頃にA1の総務部,財務,経理部の統括部長を,平成24年4月には同社の取締役を務めていた。また,被告人Xは,同時期に,業務委託契約により,A2の財務,経理についても担当していた。(以上,甲3,同X第11回2丁,6丁,H2から5丁,10,11丁)ZについてZは,A1の従業員であったもので,平成16年頃には,A2の財務,経理を担当し,A2が開設していた銀行口座のインターネットバンキング(本件に関するもの)の入力及び承認手続を一人で担当していた(甲26〔第5の事実について〕,39〔第1の2,第2,第4,第6の事実について〕,40〔第6の事実について〕,53〔第1の1の事実について〕,H5,6丁,Z1から3丁)。被告人Yについて被告人Yは,平成16年頃から平成25年5月10日(同月16日に登記)に解散するまでの間,A3(平成23年3月1日にA3’に商号変更。)の代表取締役(解散後,清算人となっている。)であった(甲15,16,18)。被告人Yは,A1グループに関連する施設等の建設工場等を受注していた(同Y第10回7丁以下,G7,8丁)。本件各公訴事実に関する資金の流れア 第1事実(平成29年2月27日付け公訴事実)関係被告人Yは,平成19年以降,知人のIの紹介で,J評議会が計画したサーキット場施設建設事業(以下「海外サーキット事業」という。)があることを知り,I並びにシンガポールの事業者及び弁護士との合計4名で同事業に共同参加することとして工事の受注業者としてK社を共同設立し(なお,A3の目的にも平成20年にモータースポーツに関するイベントの企画等が加わっている。甲15)て上記事業落札に向けた交渉等を進め,平成22年3月26日,K社等がこれを落札したことから,落札の条件となっていた上記事業予定地の賃借料の支払が必要となった(甲59,60,同Y第9回27から34丁)。その後,前記事業の資金集めを担当していたIが逮捕されることとなり,被告人Yが平成22年4月6日にそのことを同Xに伝えたところ,同Xは,翌7日,同Yに,A1から資金を準備する旨を伝えた(同Y第9回28丁,35から39丁,同X第11回42から50丁)。そして,被告人Xが,同月9日,A1の口座から1億円余りをシンガポール側に送金する手続をした(弁C19,20,同Y第9回43丁,同X第11回50丁)後,判示第1のとおり,同月28日(甲49別紙1-②,④,⑤参照),A2の2つの銀行口座から,同Yが管理する宗教法人D名義の口座(C銀行cc支店)に,簿外で,振込人名「α」名義で,28億円及び1億円の合計29億円につき判示第1(1,2)のとおり振り込まれる手続が行われ,同月30日にその入金手続がされた(甲49)。前記D名義の口座における,この振込入金直前の残高は483円であり,同日,同額が引き出されてそのほぼ全額に当たる金額がA3(A3’)の口座に入金され,このうち28億6800万円余りが外国送金されたほか,3167万円がA3の別の口座に入金され,内400万円が被告人Yらの役員報酬等に費消された(甲49,50)。イ 第2ないし第4の各事実(平成29年3月24日付け起訴状記載の各公訴事実)関係(被告人Xのみ関係)被告人Xは,Gを介して知り合ったLとともに,平成22年1月15日,Lを代表取締役として,ゴルフ場,ホテル等の経営やコンサルタント等を目的とするFを設立した(甲83,84,G3丁)。被告人Xは,同年11月頃,Lから,Fの事業として,「Mゴルフクラブ」の売却先の斡旋を持ち掛けられていたところ,平成23年5月10日頃に,Lに対し,上記ゴルフクラブの買収資金を海外のファンドから調達できるといった理由で,同クラブをFが買い取りたい旨伝えた(甲83,同X第11回64から66丁,72丁)。被告人Xは,同年7月15日以降,判示第2から第4のとおりの方法で,上記ゴルフクラブを買い取る資金として,A2の銀行口座から,「A4」という,同Yが設立し,同Xが役員・株主をしている会社(あるいはこれと同名の会社)名でFの銀行口座に簿外で送金し,あるいはA1名義の小切手の発行を簿外で受けるなどして,合計12億2000万円をFに支払った(甲69,70,83,乙15,同Y第10回30丁,同X第11回100丁,131,132丁)。ウ 第5の事実(平成28年12月21日付け訴因変更後の公訴事実〔被告人X〕及び同日付け起訴状記載の公訴事実〔同Y〕)関係被告人Yは,賃貸マンション建設資金としてE銀行から平成15年頃にA3名義(連帯保証人は同Y外1名)で借り入れていた債務の返済を滞らせ,平成24年6月の時点での借入残高が約3億5000万円となっていたが,その後も弁済が滞ったため,同年12月4日期限の利益を喪失した(甲23,24〔特に添付資料3〕)。被告人YやA3(A3’)の顧問であるというNは,その後,同銀行の担当者に「マレーシアからお金が入ってくるので,もうちょっと待ってくれ。」等と述べていたが,返済はなされず,同銀行は,A3が所有し,同銀行が根抵当権を設定し,その後同Yが実質的な経営者である株式会社O(甲17,18,以下「O」という。)に所有権が移転していた不動産(①京都市d区e町所在の物件と②京都市f区g町所在の物件。甲第24号証の添付資料参照。)について,平成25年11月,競売を申し立て,同年12月4日開始決定がなされた(甲24)。Nらは,その後も,同銀行の担当者に「マレーシアからお金が入ってくるから,そしたら競売を取り下げてくれよ。」等と述べ,また,その後,被告人Yは,Nとともに同銀行を訪れ,「3億9000万円は何とか用意できた。」とか,「①の方の物件だけでいいから競売を取り下げてくれ。一番最初に建てた物件やし,思い入れがあるんや。」等と述べた(甲24)。その後,平成26年9月24日,前記D名義の口座に,A2から振込人名「α´」名義で4億円の簿外送金がなされ(判示第5の事実にかかる送金),その内3億9000万円が被告人YによってE銀行の口座(融資雑預口)に振り込まれた(甲13,14,21,24,同Y第9回47から52丁)。同銀行は同日前記①の物件についての競売申立てを取り下げた(甲24〔特に添付資料5〕)。エ 第6の事実(平成29年2月6日付け起訴状記載の公訴事実)関係被告人Yは,上記E銀行への貸金債務を返済した際に,完済には3000万円足りない旨伝えられた(甲24,同Y第9回52,53丁)。そこで,被告人Xは,同Yから連絡を受けて,平成26年10月8日,前記借入金の返済資金として,Zに指示をして,A2から「α´」という振込人名で前記D名義の口座に3000万円を簿外送金し,同Yは,このうち2500万円を前記借入金の返済分に充てたほか,500万円を自己の経営する会社の従業員の給与の支払いなどに充てるなどした(甲36から38,同Y第9回47から54丁)。同銀行は,追加の弁済があったことから同年11月12日に上記②の物件についての競売申立ても取り下げた(甲24〔特に添付資料5〕)。本件各公訴事実後の事情上記の各送金後,平成27年1月21日,Gの自宅に,被告人XがA1の資金を横領している旨の内容が記載された書面が届き,これを契機に本件が発覚した(H6丁,G15,16丁,同X第11回73丁,114丁等)。2 G(A2)の指示ないし承諾の有無判断を要する事項被告人Xは,上記のとおり,A1及びA2の経営者であるGから,A1及びA2の会社資金の管理及び運用を一任され,さらに,Gが自由に使える裏金を作るために資金の簿外運用を指示されたと供述する。これに対して,Gは,そのような一任の事実や簿外運用の指示はしていないと供述している(G5丁,7丁等。)しかしながら,関係証拠によれば,GはA1の創業者であり,いずれも非上場会社である同社及びA2の株式の過半数を所有するとともに両社の代表取締役の地位にあり,前記(第1の4)のとおり,意のままにその経営を行い,実権を掌握していたと認められ,被告人Xはその部下としての立場にあったのであるから,仮にGが同Xに両社の資金の管理及び運用を委ねたとしても,それは両社(あるいはA1グループ)ないしGの利益のためであったことは明らかであり,同Xが全くの自由裁量を許されていたものでないことは当然である。被告人Xの弁護人は,Gが第三者に対し「会社の財務・経理・資金は全て同Xに任せている」旨よく話していた旨主張し〔弁論要旨5丁,12丁等〕,同Xもこれに沿う供述をしている〔同X第11回9,10丁,86,87丁等〕が,そのような発言が仮にあったとしても,これが経営判断に属する資産運用等まで同Xに一任しているという趣旨などでないことも経験則上明らかである。加えて,本件にかかる送金及び小切手の振出等はいずれもいわゆる簿外取引であったと認められることも併せ考慮すると,本件において決定的に重要なのは,これらの取引が,GやA1グループのための裏金作りの一環としてなされたとの合理的疑いが生じるか否か,Gの前記証言にこの観点からの疑いを差し挟む余地があるか否かである。裏金作りの方法として不合理であることそこでこのような観点から検討を続けるが,関係証拠によれば,A1及びA2はいわゆる無借金経営の状態にあり,業績は好調であったと認められ(甲51,52。甲67,71も参照),現に,被告人Xも,Gやその妻(A1の副会長)の求めに応じるまま,それぞれ数億円もの金銭を退職金や役員報酬名下に渡していたなどと供述しており(同X第11回11,12丁),それだけの十分な資金を有していたことは一層明らかである。さらに,被告人X自身も,過去に,取引先業者と通謀して伝票を操作するなどの方法により,Gの裏金を用立てたことがあると供述している(弁A1〔11,12丁〕,同X第11回121丁)。そうすると,Gがいわゆる裏金を欲し,被告人Xがこれに応じようとしたというのであれば,同様に,適宜の名目を設け,あるいは会計帳簿を操作し,さらには営業上の利益を分散させて一部を隠す(同Y第9回61丁,同X第11回135丁)などするのが合理的かつ自然であるというべきである。ところが,被告人Xの弁解は,本件においては,例えば海外サーキット事業では銀行から有利子で資金を調達した上で,以後30年間に渡り海外サーキットに関する印刷業務を受注することで投資を回収しようとしたというのであって,裏金目的の会計操作としてはあまりにハイリスクかつ迂遠で,不合理かつ不自然というべきである。なお,A2からG個人の口座に平成23年12月29日に5000万円が送金されている(甲95)が,この点についても,同年8月31日に,G個人の口座からA2の銀行口座に1億円が送金されていること(甲95)に照らすと,Gの私財の一部が戻されたにすぎないというべきであって,被告人Xの行為によって利益を得たとみることはできない。また,被告人Yの会社の債務処理に用いられており,他の投資目的の支出とは性質を異にする面がある判示第5及び第6の各送金についてみても,同Xは,「Gの意向を受けて,同Yが所有し,同Yの経営する建設会社の負債を担保する抵当権が実行されようとしていた賃貸マンションを取得するために,同Yに支払った。」旨弁解する。しかし,それらのマンションを担保とするA3の債務の弁済に関して銀行(担当者)との間でA1の名が出たことはない(甲24〔13丁〕)ばかりか,各送金(平成26年9,10月)によって債務の弁済がなされた後も,当該マンションの抵当権は債権者である銀行から被告人Yに移転し,担保権の実行は回避されたものの,所有権は依然としてGあるいはA1側に移転しなかった。さらに,銀行が有していた抵当権すら被告人Y個人に移転しただけであって(甲24添付資料5〔前記マンションの平成27年2月現在の登記内容と認められる。〕参照),所有権がA1側に移転したのは,その後,関係者の投書(前記1 )によって同Xの本件簿外操作がA1側に明らかとなり,A1側が同Y経営の建設会社に送金された資金の返還を求める民事訴訟を平成27年7月に提起した後の,その和解交渉の結果にすぎない(H9,10丁)ことに照らせば,Gが当初から当該マンションを取得しようとしていたなどともいえない。なお,Hは,被告人Yの弁護人からの質問に対し,同Yは,この民事訴訟の中で当該マンションが実質的にはA1グループの所有に属すると主張していた旨述べている〔H26,27丁〕が,同弁護人が指摘する訴訟上の主張自体,本件が問題となってからのものであるから,その主張が本件における被告人らの主張と沿うからといってその主張が根拠のあるものであるとみることはできないし,前記各送金による原資で担保権実行が回避されたのに所有権移転登記等の手続においてA1グループが権利保全していない形であったことに変わりはないから,前記民事訴訟における同Yの主張によって前記結論が変わるものではない。G側に利益が還元されていないこと仔細にみても被告人Xの供述は不自然な点が多い。まず,そもそも,G証言に対する直接的な反証である被告人Xの供述は,これによっても,Gから何のためにいつまでに幾らの裏金を用意するよう指示されたのかすら明らかではなく,不自然なまでに具体性を欠いているというほかない。また,仮に被告人Xが巨額の資金を投資して,その利益をGのための裏金に当てようとしていたというのであれば,Gに利益を還元する具体的な見通し,時期,金額及び方法等についてGが関心を示し,同XとしてもGに相談するなり指示を受けるなりしたはずである。しかしながら,被告人Xの供述をみても,そのような様子はない。また,被告人Xは,海外サーキット事業に関する前記資金回収内容・方法(その内容自体の不合理性は で検討したとおり。)に関して,IがGに直接面談した上で事業説明をしたなどと述べた〔同X第11回43から50丁〕が,この供述は被告人質問段階になって突然なされたものであり,同XはこのIの訪問について同Yにも話していないというのである〔同144,145丁〕上,Iが述べ,Gが承諾したという資金手当や利益配分の内容も明らかに不十分であって〔同91から95丁,146,147丁〕,同Xのこの供述にも信用性がない。さらに,そもそも,本件において,被告人Yは同Xが送金した資金を自ら経営する建設会社の事業資金とする利益を受け,同Xも,ゴルフ場への投資に関連して,平成23年7月から平成26年12月にかけて,合計8100万円もの利益を得ていた(甲85,86,同X第11回102,103丁)上,海外サーキット事業については,その主体となり,同Yが経営するK社の株主となっている(同131丁)のに,そこにGやA1グループの名は上がっておらず,同Xの説明を前提としても,資金回収や利益配分は全くの口約束でしかない状況であり,念書等の存在すら窺われないことになる(なお,同Yは,従前A1グループ側から請け負っていた工事については契約書等がなかったという〔同Y第10回7丁,23丁〕が,ここでは海外の事業主体や投資家等を含んだ,しかも場合により1回限り〔後の契約等に影響することから正当で誠意のある対応が期待できるといったものではないもの。〕の関係が問題となるのであるから,同Yのいう従前の経緯は理由にならない。)。損失が問題視された形跡がないことさらに,送金等の後の経緯をみても,経緯は不自然である。すなわち,本件において,被告人Xは約4年半もの長期にわたり合計45億5000万円もの巨額の会社資金を社外に流出させたものの,その間,GやA1グループ側への利益の還元はなされていない上,投資した事業はいずれも失敗に終わっている。それにもかかわらず,被告人Xが,裏金作りを指示してきたワンマン経営者であるというGから,譴責・注意等を受けた様子がなんら見受けられず,むしろ,同Xは,ことごとく失敗する案件を持ち込んできた同Yに多額の資金を流し続けている。かかる経緯自体,前記送金が被告人X及び同Yの個人的・恣意的な判断によることをうかがわせるもので,Gが同Xに裏金作りを指示したりはしていないことを強く推認させるというべきである。被告人Xが早期に犯行を自認していたこと以上に加えて,被告人Xは,平成27年1月,同XがA2の資金を勝手に流用している旨の投書を受け取ったGから事情を尋ねられ,その翌々日にはGらと弁護士事務所に同道するなどし,弁護士らからの事情聴取に対して,Gの指示等はなく独断で資金を私的に流用した旨を詳細に述べて一連の事実関係を自認し,その内容を書面化することに協力し,さらにその中で事実と異なることについては訂正を求める態度も示している(甲87,H7,8丁,G17丁以下,同X第11回74,75丁,104,105丁,114丁,140丁。)。このように,極めて重い刑事処罰に直ちに繋がりかねない極めて高額の私的流用を早期に自認していたこと自体も,これまで検討してきた諸事情と整合的である。なお,甲第87号証については信用性が争われているが,証人H,同Gの証言に加え,被告人Xの公判供述によっても,同Xが本件を自認していることなど,そこに録取されているやりとりがあったことは十分信用でき,また,当初の行動(横領・背任的な内容である。)が発覚するのを恐れたため同Yの求めるまま資金を流出させたという動機・経緯(同号証19丁におけるやりとり,甲第22,51,67号証等参照)も,これまで検討してきた点と全く整合的で(同Xの個人的な利益目的がやや不明確という,これまた追及を受けている者の話としてよく理解できる点を除き)納得できる。また,被告人Xの弁護人は,同Xが前記事情聴取に際して事実関係を自認したのは,事前にGから「君を守るから回収に全力を上げろ。息子と思っていた。」等と言われ,Gの関与がなかったように装うよう依頼されたからであると主張し(弁論要旨2丁),同Xも同旨の供述をする(弁A1〔2丁〕,同X第11回104丁)。しかし,被告人Xは,その後Gが同Xのことを(会社から流出した金を隠している旨)疑っていると感じたので会社側への協力をやめた等という(弁A1〔2丁〕,同X第11回108丁,143丁)が,その際等に前記弁護士らに真実であるという内容を説明するなどのことなく,会社や弁護士らに本件の経緯(同Xにおいて真実というもの)を何ら説明等することもなく海外に移住している(同143丁)。加えて,被告人Xのいうとおり,Gが「君を守るから回収に全力を上げろ。息子と思っていた。」等と言ったとしても,それは,同Xらの送金の額からすればGがその回収を最優先するのは当然であるし,同Xを信じ切っていたGが同Xを「息子と思っていた」として資金回収を図るのもまた当然である。そして,そのようなGの心情や,このような巨額の資金流失が極めて重い刑事罰につながることについて,被告人Xにそれらが分からなかったなどとは思われないし,同Xにも家族等があることを考えるとなおさら,同Xが,前記の程度のことをGに言われたからといって,不正出金に関するGの責任を自らだけで負うなどとは全く考えられない。A1名義の借入,送金及びレターヘッドの使用についてなお,関係証拠によれば,①被告人Xは,1 ア記載のとおり,平成22年4月,A1の口座から1億円余りをシンガポール側に送金したこと,②同Xは,同月,A2名義で銀行から高額の借り入れをして判示第 1 の送金の原資としたこと(甲51),③同X及び同Yは,海外サーキット事業への投資話が持ち上がった平成21年10月頃から平成22年3月頃にかけて,当該事業を運営する海外の評議会に対し,同Yが経営し海外サーキット事業の窓口となったK社に関するA1による財務援助についての書面(サポートレター)を,A1のレターヘッドを使用し同Xが署名押印をして作成・送付するなどした(甲64。その書面自体は英語で記載され訳文も添付されていないが,書面作成にかかるメールのやり取り等,証拠において日本語で表示されている部分から前記の認定をした。)ことが認められる。これらは,海外サーキット事業につき,A1又はA2の関与を第三者に認識させるものであり,そうすると,その第三者側からGに前記関与に関する問い合わせ等が行われる可能性もあることになる。したがって,①から③の事情からは,被告人Xにおいて,両社の関与をGに知られても構わなかったことを示すものではないのか,ひいては,Gの指示ないし承諾があったことを示すものではないのかが問題となる。しかしながら,まず①及び②の送金及び融資については,相手方であるシンガポール側や銀行と応対するA1又はA2の窓口は他ならぬ被告人X本人であったのだから,直ちに両社の関与をGに知られる関係にあったとはいえない。③の書面は,その作成に関与したと認められる被告人両名において,K社を通じて海外サーキット事業に参画しようとする意図を示すものともいえ,同XらがGに秘して会社資金を無断流用したとする検察官の主張と合致しないともいえるが,同時に,海外サーキット事業にA1の名称を出すことによりひいてはA2からの送金事実を発覚させかねないものであって,Gの指示を受けて密かに裏金を作ろうとしたとする弁護人ら(特に同Xの弁護人)の主張とも整合しない。結局,Z及び被告人X以外のA1関係者がこれらに関与した形跡はないことからすると,①ないし③の事情は,同X及び同Yらにおいて,関連する送金,融資及び書面の作成がA1側に発覚することはないであろうとの期待の下になされたことを窺わせはするものの,Gの指示ないし承諾の有無という争点に関する心証形成に大きな影響を与えるものとはいえない。京都府警のGに対する事情聴取についてさらに,関係証拠によれば,海外サーキット事業に関しては,シンガポールの捜査当局が同国内の関係者につき捜査を進めていたところ,その一環として嘱託を受けた京都府警において,平成23年10月頃,Gに対する事情聴取を行ったことが認められる(G11,12丁,38から43丁,52丁,被告人Y第9回44丁以下)。その状況について,Gは,当公判廷において,捜査官からA1のレターヘッドが用いられた上記書面を示されたが,A1はそのような投資はしていないと説明したこと,事情聴取後に被告人Xを呼んで説明を求めたところ,同Xは,憤然とした様子で,上記書面の作成には関与していない,同Yが勝手に作成したのだろうなどと述べたこと,さらにその一,二日後に同Yに説明を求めたところ,同Yは,建築を進めるために勝手にやったなどと述べて丁重に詫びてきたこと,同Xの血相や同Yの申し訳なさそうに詫びる様子をみて,勝手に会社の名前を使われた程度のことであろうと考え,それ以上に,A1グループの資金が勝手に使われているのではないかなどと疑うには至らなかったことなどを証言した(同)。以上によれば,まず,Gは,被告人YらがA1の社名を海外サーキット事業に用いていることを知った後も,その資金関係等の調査・追及を行わなかったと認められる。そこで,かかる経緯が,被告人Xが供述するとおり,Gは裏金作りをするためにA1グループの資金を海外サーキット事業に用いることを認めていたのではないかとの合理的疑いをもたらすか否かが問題となる。しかしながら,Gの証言内容はこれまでの検討とよく整合しているというべきであって,被告人Xが供述する裏金づくりの枠組み自体が,Gの利益を図るためのものとしてはおよそ不合理なものであることは,京都府警の事情聴取後のGの対応によっても,なんら左右されるものではない。加えて,被告人Yは,平成19年9月頃,Gに対し,投資の話はしなかったものの海外サーキット事業を紹介するなどはしていたと認められる(同Y第9回31丁)。したがって,Gは,上記事情聴取の際に,被告人Yらが上記書面に関わる海外サーキット事業に取り組んでいたこと自体は知っていたと認められるから,このような状況のもとで,同YにおいてA1の社名を冒用したのであろうと考えたこともあながち不自然とはいえない。かかる事情に照らせば,Gが京都府警による事情聴取後も海外サーキット事業の資金関係を調査・追及しなかったことも,上記の合理的疑いをもたらすものとはいえない。被告人Xによる送金等の実行可能性について他方で,弁護人らは,本件で被告人Xらが行った送金等の総額は,一役員にすぎない同Xの独断では不可能な高額に達しており,Gの承諾があったことが示されているとも主張する。しかしながら,関係証拠によれば,A1及びA2の資金管理等を担当する役員であった被告人Xにおいては,その権限を乱用して,不正な送金等を行うとともに発覚を免れる帳簿操作をすることが可能であったと認められるから,この点に関する弁護人らの主張は前提を欠く。その他なお,被告人Xは,その公判供述や陳述(弁A1,最終陳述等)において,A1グループの体質や,Gあるいはその妻(A1副会長)の言動を種々述べるが,その内容は,本件に直結しないか,むしろ,同Xに犯行動機があったことや,Gらの信頼あるいは警戒心・注意力の不足,さらにはA1グループのワンマン体制と監査体制不足を利用して犯行に及ぶ機会が十分あったことを示すものにすぎない。小括以上のとおり,被告人Xによる判示の送金及び小切手の振出等が,Gが自由に使える裏金を作るためにGの指示を受けるなどして行われたのではないかとの合理的疑いは全く生じない。この点に関する弁護人の主張は採用できず,この指示や本件の送金手続に関して承諾していないというG証言に合理的疑いをいれるには至らない。3 被告人Yの故意及び共謀被告人Yの供述の概要被告人Yは,判示第1の送金は,A1グループが海外サーキット事業に投資するために,判示第5及び第6の送金は,A1グループが抵当権の実行が迫ったマンションを取得するために,それぞれその資金を正規に送金し,いずれについてもGの承諾があったと認識していたと弁解している(同Y第9回4丁,40丁,52から53丁,57丁)。これに対し,Gは,被告人Yに対して前記投資を承知したことも,マンション取得のための資金提供を承知したこともない旨述べている(G8から10丁,15丁,19から20丁)。被告人Xによる口止めまずは,海外サーキット事業に関する送金の状況をみると,A1グループの会社から被告人Yが経営する会社に直接送金されるのではなく,同Yが管理するD(宗教法人)名義の口座を経由し,かつ同寺が属する宗派の本山(記載略)名(同Y第9回15から17丁)を送金者名として利用するという迂遠かつかなり徹底した方法をとってまで送金の当事者・経路が隠ぺいされていることに照らせば,同Y自身も自認する(同Y第9回61丁,第10回1丁)ように,A1グループにおいて簿外処理などの何らかの方法で裏金を作ろうとしているのではないかとの認識を持つことが極めて自然であるといえる。したがって,被告人Xにおいても同Yがそのように思うことは想定できることである。そうすると,被告人Xとしては,A1グループの懇意の取引先である同Yが,当該送金の出所を,GやA1グループ関係者以外の外部の第三者に伏せることについては,それなりに期待できる状況にあったと認められる。しかしながら,既に検討したとおり,被告人Xは,同Yも関与した判示各送金を,単なる簿外処理としてのみならず,Gの指示も承諾もないまま無断で行ったと認められる。そして,被告人Yは,A1グループを得意先とする建設業者として,Gとも頻繁に接触の機会があり,同Xもその旨認識していた。そうすると,被告人Xとしては,同Yが,仕事を回してくれたことの礼などをGやA1グループ関係者に言う機会などに,当該送金の出所がA1グループであることを漏らすことがないよう口止めする必要があったのは明らかで,それにもかかわらず,単に,同Yがそのようなことを口にすることはないだろうと考えたので何の手立ても講じなかったとする同Xの供述は到底採用できない。そして,現に被告人YとGの間で当該送金にかかる話題が出た様子がないこと も併せ考えると,同Yにおいて,海外サーキット事業の当初から,同Xにそのような口止めをされていたこと,ひいては,かかる送金がGの承諾等を得ないままなされたことを認識していたことがかなり強く推認できる。先行して作成された契約書についてこれに対して,被告人Yの弁護人は,A1側から同Y側への資金提供は海外サーキット事業に関する送金が最初なのではなく,これに先行して,マレーシアが行う事業への出資やDの霊園を開発するプロジェクトへの出資があったとし,Iの投資要請もこれを背景にしているとして,検察官は同Yの刑事責任の立証に成功していない旨主張する(弁論要旨10,11丁)。この点につき,経緯をみると,被告人Yは,平成19年頃,Dの住職のPに寺の建設を持ち掛けるとともに,Dで墓地を販売する等の事業を計画している旨伝え,その後,寺の建設資金を東南アジアから送金するなどのために口座を作成してほしいと告げ,PはD名義の銀行口座を作成し,その届出印及び通帳は同Yが管理していたと認められる(甲22)。そして,同年9月25日,A2がC銀行から3億4791万1595円の融資を受けた後,それと同額をA3の口座に送金し(甲51,67),その際,被告人Xと同Yとの間で金銭消費貸借契約書(弁C3)が取り交わされたが,以後,全額返済されていないという経緯が存する。しかし,まず,当該契約書(弁C3)は,A2名義で作成されているものの,被告人Yにおいて,同XがA1グループの資金管理等の実務面を担当していると知っていたと認められることや,現に,その後はA1グループの契約書などなしにより高額の送金が繰り返され,同Yにおいてもこれを不審視したとは全く述べておらず,またその形跡もないことなどに照らせば,A2名義の書面が作成されたからといって,同Yにおいてこれが直ちにA1グループの正規の意思決定によるものであると認識したということはできない。また,A1グループによる正規の資金提供であれば仮名を使った送金手続をとるいわれのないことは前記のとおりであって,同弁護人の主張を踏まえてもその評価は変わらない。加えて,同弁護人が挙げるIの説明に関する被告人Xの供述に信用性がないこと,また,同弁護人が主張し,同Yがいう投資が,同Xがいう裏金作りに全くそぐわないことも前述のとおりであって,同弁護人のこの主張は全体として前提を欠くことにもなる。加えて,Zは,当公判廷において,平成21年4月頃,A3の事務所で,被告人Xが,同Yに対し,金銭消費貸借証書を同Yに見せながら,「これは,会社に内緒で貸してるから,早いこと返せよ」という趣旨を述べたところ,同Yは,特に驚いてる様子はなく,「分かりました,分かりました」と二,三回返事をした旨証言している(Z7,8丁)。この点につき,被告人Yの弁護人は,Zの証言内容が真実とすればA1グループがその後も同Y側に資金拠出をするはずがないなどとして,Z証言の信用性を争う。しかし,その主張は抽象的なものにとどまり,また,被告人Xにおいて,弁護士らからの追及に対し,当初の資金流出が発覚するのを恐れたため同Yの求めるまま資金を流出させことなどからして,前記主張は内容として合理性を欠くことも明らかである。そして,Zの前記証言内容はZの共犯性も直接的に裏付けるものであるところ,Zは,自身も本件の共犯者として公判中の身であり,証言当時,懲役8年の求刑(Z119丁)を受けて審理を終え判決を待つ状況にあり,相当に重い刑を受ける可能性が存する状況において,上述のとおり相応に具体的な証言をしていることに照らせば,その信用性は高いというべきである。そうすると,被告人Yの弁護人が本件と一連の関係にあると主張する霊園事業に関し,同YがA1グループの正規の投資であると思っていたと供述する点は信用性に欠け,ひいては,本件にかかる送金も同様に正規の投資であると思っていたとする点も信用性を欠く。A1名義の送金及びレターヘッドの使用について次に,被告人Xについて述べたように(前記 海外サーキット事業に関しては,平成21年10月頃から平成22年3月頃にかけてA1のレターヘッドを用いた書面が作成され,また同年4月にA1の口座から直接にシンガポール側への1億円余りの送金がなされており,これらに同Yも関与していると考えられ,このことからすると,同Yにおいて,これらの事情から,GあるいはA2が海外サーキット事業への投資を指示ないし承諾していると認識していたのではないかも問題となる。しかしながら,まず,被告人Yは,当該送金について,その直前には,海外サーキット事業における資金調達を担当していたというIが逮捕されるとの情報が同Yから同Xにもたらされ,同Yにおいては海外サーキット事業からの撤退を考えていたというのである(同Y第9回35ないし37丁)。そうすると,海外サーキット事業の要ともいうべき資金調達担当者の逮捕によって,当面の資金調達のみならず,その後の資金調達の全体,さらには海外サーキット事業自体の見通しも立たない状況となっていたのであるから,仮にA1グループが正規の投資を予定していたというのであれば,かかる重大な局面にどのように対応するかについて慎重な検討が求められ,これには相応の期間を要したであろうことが明らかである。それにもかかわらず,当該送金がその直後になされており,そのことについて被告人Yが不審視した様子も全く窺われないことに照らせば,むしろ,このような事実経過からも,同Yにおいて,当該送金はA1グループが正規に行ったものではないとの認識を有していたことが推認されるというべきである。京都府警の事情聴取を受けたGに対する対応についてまた,被告人Yは,上述した平成23年10月の京都府警によるGの事情聴取後,Gに呼び出されて説明を求められた際の状況(前記 につき,「海外の関係者とシンガポール政府の癒着等が問題となっているなどと説明すると,Gから投資は回収できるのかなどと尋ねられたので,回収してAに戻す旨を答えた,このようなやりとりからも,GはA1グループの資金が海外サーキット事業に投資されていることを認識していると思った。」などと供述する(同Y第9回44から46丁))。しかしながら,判示各送金等がGの指示や承諾を受けて行われたものではなく被告人Xが独断で行なったものであることは,同Xの弁解について検討したとおり明らかである。したがって,被告人Yが,上述したとおりGに海外サーキット事業への投資を回収してA1に戻すなどと言っていたとすれば,Gがこれを追及することなくその場が終わるとは到底考えられない。結局,Gが海外サーキット事業への投資を指示ないし承諾していることを前提とする発言をしたとか,GにおいてA1グループの資金が海外サーキット事業に投資されていることを認識していると思ったとかいう被告人Yの前記供述は,それ自体虚偽であることが明らかであり,Gが証言するとおり,同YはGに対してA1の名義を借りただけである旨を述べたと認められる。そうすると,既にみたとおり,海外サーキット事業の当初から被告人Xにおいて同YにこれがGの指示ないし承諾を受けたものではない旨の口止めがなされていたことが強く推認される状況にあったことも併せ考慮すれば,これらの送金やレターヘッドの使用によって,同Yにおいて,海外サーキット事業への送金がA1グループによる正規の投資であると認識していたと考える余地もないというべきである。マンションの強制執行に関する経緯についてまた,マンションの強制執行に関する送金(第5,第6の事実関係。1ウ,前記2 )をみると,当該マンション2棟につき,被告人Xらの行った送金を原資とする弁済により平成26年9月等に競売申立ては取り下げられたが,これによって抵当権が同Y個人に移転したものの,所有者はその後も同Yが事実上経営するOのままであり,所有権がA1グループに移転したのは,平成27年1月に判示の送金等が投書により発覚した後,同年7月にA1グループから提起された民事訴訟の和解交渉の中においてであると認められることは既にみたとおりである(2 )。しかも,このうち前記1 ウの①の物件は被告人Y自身が逮捕まで住居としていた(乙16〔同Y関係の証拠〕)ものであり,同②の物件はA3(A3’)の本店所在地である(甲16,乙17〔第5の事実関係の証拠〕。なお,①の物件は同社の旧所在地でもある〔甲15〕)。被告人Yは,当該マンションには仮差押えなどが付されており速やかに所有権移転ができなかったなどと述べるが,そもそも,A1グループが当該マンション2棟を取得するために4億円を優に超える資金を拠出したというのに,債務の弁済によって承継する抵当権が同Yに帰属した状態,さらには同Yやその経営する会社等マンション(各物件)利用者の使用・利用に関する権利関係の整理をA1グループにおいて放置するということ自体がおよそ不合理・不自然であるというほかない。結局,被告人Yの弁解にかかる資金拠出は,A1グループないしGの側からみると,当時既に破綻が必至であったA3’を救済しようとする明らかに不合理な意思決定になるのであって,あり得ない話というべきであり,ひいては,かかる資金の拠出がA1グループないしGの承諾を経たものと思っていたとの被告人Yの供述にも信用性がないというほかない。被告人Yの弁護人は,第5,第6の事実に関する検察官の主張(各冒頭陳述,論告9丁)が現実離れしているなどと主張する(弁論要旨11,12丁)。この点,検察官の主張にかかるC銀行の競売申立てに関するものを含め,第5,第6の事実に関する事実経過は大略1 ウ,エのとおりであるところ,同銀行が競売申立てをしたからとしても直ちに不正送金の事実が発覚するとはいえないことは同弁護人指摘(弁論要旨12丁)のとおりである。しかし,当時A3(A3’)が解散していたこと(甲15,16,24)や,Nあるいは被告人Yが,同銀行担当者に対して「一旦会社をきれいにするため,特別清算した。」とか,「海外からお金が入ってきて資産超過ではあるので,破産ではない。」等と説明していることも考慮すると,この競売に関連し,あるいはA3の特別清算手続(特に協定の成立過程等)や会社の継続過程において,帳簿類や同社が関与する資金等の流れを開示し,その内容の調査を受けざるを得なくなる可能性がある(検察官が論告〔9丁〕で主張する「事が大きくなれば」というのにもこのことも含まれると解する。)から,検察官の主張も現実離れとはいえない。その他これらのほか,被告人Yの弁護人は,A1のように通常の事業を行う会社において本件のように大規模の資金流出( で触れた,以前の分を含む。)がなされていることをその役職員の誰も気付かないということはあり得ないと主張する(弁論要旨12,13丁)。しかし,2 でみたように,弁護人らが主張し,証拠上もかなり明確なA1グループのワンマン体制や被告人Xに対するGらの信頼,同Xの立場や権限さらには決裁・出金のために同Xが行う作業(必要書類への押印等)の実情,Zが各犯行に際して用いたインターネットバンキングの方法等に照らすと,この主張もそれだけで説得的なものと受け止めることはできない。そして,被告人Yの弁護人が挙げる同Y関与の事業は,いずれも失敗に終わりあるいは頓挫していたのであり,資金提供をしているはずのA1グループにはそれまで長期間何ら利益や見返りが与えられていないこと(同Y第9回24,25丁,第10回9丁。前記2),それにもかかわらず同YがA1グループやGらから何ら形に残る具体的な申し入れを受けず,また自ら詳細な事業計画書の提出や社内向けプレゼンテーション等をA1グループ向けに行った記録が何ら残っていないことは,同Yにおいて,本件(第1,第5,第6)における資金提供がGやA2(A1グループ)側(同XとZを除く。)に知られずに行われていると認識していたこと,ひいては同Xとの共謀を推認するのに十分な事情というべきである。Zとの共謀についてなお,このほか,被告人Yについては,Zとの共謀も問題となり得るが,この点は同Xを介した順次共謀でも成立し得る上,Zの公判供述を始めとする関連証拠からは,同Yにおいて,A2の送金手続をZが同Xの指示に基づいて行っていること十分認識していたものと認められるから,同YとZとの共謀も優に認められる。小括以上のとおり,被告人Yにおいて,判示の各送金につき,Gの指示ないし承諾を受けたものではないとの認識を有していたと推認でき,推認を妨げる事情を挙げる同Yの供述はいずれも信用性に乏しい。第3 結論以上のとおり,判示各所為は,被告人らにおいて,A1及びA2の資金を勝手に流用して投資をし,利益を得ようとするなどの目的でなされたことが明らかで,同Xに対してGの指示ないし承諾はなされておらず,同Yもその旨を認識し,同X及びZと共謀していたと認められる(同Yに電子計算機使用詐欺の故意が認められることも同様である。)。弁護人らの主張はいずれも認められない。よって,判示のとおり認定した。(法令の適用)1 被告人Xについて同被告人の判示第1の所為は包括して刑法60条,246条の2に,判示第2,第4,第5及び第6の各所為はいずれも同法60条,246条の2に,判示第3の所為は同法60条,246条1項にそれぞれ該当するが,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役14年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中350日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して同被告人に負担させないこととする。2 被告人Yについて同被告人の判示第1の所為は包括して刑法60条,246条の2に,判示第5及び第6の各所為はいずれも同法60条,246条の2にそれぞれ該当するが,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役14年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中330日をその刑に算入し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して同被告人に負担させないこととする。(量刑の理由)本件は,被害会社の資金管理等を担当する立場にあった被告人X及び被害会社が属する会社グループの取引先建設会社を経営していた同Yが,同Xの部下であるZと共謀の上,被害会社の資金につき,同Xは45億5000万円を,同Yはそのうち33億3000万円を社外に流出させたという,電子計算機使用詐欺(同Xについてはさらに詐欺)の事案である。
事案の概要
平成30年4月26日
京都地方裁判所 第1刑事部
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[下級] 平成29(行コ)49  84ViewsMoreinfo  up!
退去強制令書発付処分無効確認等請求控訴事件
平成29(行コ)49
本件は,フィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)国籍を有する外国人女性である控訴人が,名古屋入国管理局(以下「名古屋入管」という。)入国審査官から,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)24条4号ロ(不法残留)に該当する等の認定を受けた後,名古屋入管特別審理官から,上記認定に誤りがない旨の判定を受けたため,入管法49条1項に基づき,法務大臣に対して異議の申出をしたところ,法務大臣から権限の委任を受けた名古屋入国管理局長(以下「名古屋入管局長」という。)から,平成25年7月26日付けで上記異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という。)を受け,引き続き,名古屋入管主任審査官から,同月29日付けで退去強制令書発付処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,本件裁決及び本件処分の無効確認を求めるとともに,法務大臣又はその権限の委任を受けた名古屋入管局長に対して在留特別許可の義務付け(以下「本件在特義務付けの訴え」という。)を求めた事案である。
事案の概要
平成30年4月11日
名古屋高等裁判所 民事第4部
詳細/PDF
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[下級] [刑事] 平成29(わ)175  75Views  up!
覚せい剤取締法違反等
平成30年6月18日
福岡地方裁判所 小倉支部
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