事件番号平成18(ネ)84
事件名損害賠償等請求・共有物分割請求控訴事件
裁判所福岡高等裁判所 第3民事部
裁判年月日平成19年1月25日
結果破棄自判
原審裁判所熊本地方裁判所 玉名支部
原審事件番号平成15(ワ)80
原審結果その他
判示事項の要旨1 本件の事案は,Xら親子とYが共有する通路をめぐる紛争である。Xらからは多岐にわたる主張及び請求がなされているが,本判決が注目されるのは,一審判決では認容されていた通路についての共有物分割請求を斥けた点である。そこで,以下においては,その点に関する限りでの紹介をすることとする。
2 本件通路は,南北に細長い土地で,南側で公道に,北側でXらの自宅に,西側でY所有地に,それぞれ接している。X1が自宅を,YがY所有地を,それぞれ購入した際に,本件通路の持分2分の1ずつが双方に譲渡されたため,X1とYの共有となったものであり,その後,X1はX2に自分の持分の半分を贈与したために,今ではXらが各4分の1,Yが2分の1の共有持分を有している。
3 Xらは自宅から公道へ至るために本件通路を使用している。Xら自宅から公道に通ずる通路としては本件通路以外にはない。  他方,Y所有地から公道へ至る場合にも本件通路を通行するよりほかないものの,Yは,実際には,長年にわたり,本件通路ではなく,もっぱらY所有地の北側から西側にかけて接するSの土地を無断で通行して公道と行き来していた。
4 ところで,XらとYとの間では,本件通路とY所有地との間の境界やXらによる本件通路の通行の仕方等をめぐり,近年争いが激化していた。  そこで,Xらは,Xらが現に本件通路を不可欠なものとして利用しているのに対し,Yは長年上記3後段の経路でY所有地と公道との間を行き来しており,本件通路を必要としていない,Yのこれまでの言動からして,本件通路をめぐる分割協議は整わないとして,XらがYに対して相応の代償金を支払うのを条件に,本件通路をXらだけの共有とする旨の共有物分割を求めた。
5 本判決は,本件通路について,Xらの自宅及びY所有地双方からの公道へ至るための共用通路という性格を有するものであり,そのような性格が失われたといえるような特段の事情が認められない限り,共有物分割請求になじまないものという原則的な判断を踏まえた上で,Xらにとっては本件通路は不可欠の通路であることは明白であること,他方,本訴訟を契機にYがSの土地の無断通行を止め,本件通路を公道に至る通路として使用する意向を明らかにしていることを指摘し,本件通路は未だ同人らの共用通路としての性格を失っていないとして,Xらの共有物分割請求を斥けた。
事件番号平成18(ネ)84
事件名損害賠償等請求・共有物分割請求控訴事件
裁判所福岡高等裁判所 第3民事部
裁判年月日平成19年1月25日
結果破棄自判
原審裁判所熊本地方裁判所 玉名支部
原審事件番号平成15(ワ)80
原審結果その他
判示事項の要旨
1 本件の事案は,Xら親子とYが共有する通路をめぐる紛争である。Xらからは多岐にわたる主張及び請求がなされているが,本判決が注目されるのは,一審判決では認容されていた通路についての共有物分割請求を斥けた点である。そこで,以下においては,その点に関する限りでの紹介をすることとする。
2 本件通路は,南北に細長い土地で,南側で公道に,北側でXらの自宅に,西側でY所有地に,それぞれ接している。X1が自宅を,YがY所有地を,それぞれ購入した際に,本件通路の持分2分の1ずつが双方に譲渡されたため,X1とYの共有となったものであり,その後,X1はX2に自分の持分の半分を贈与したために,今ではXらが各4分の1,Yが2分の1の共有持分を有している。
3 Xらは自宅から公道へ至るために本件通路を使用している。Xら自宅から公道に通ずる通路としては本件通路以外にはない。  他方,Y所有地から公道へ至る場合にも本件通路を通行するよりほかないものの,Yは,実際には,長年にわたり,本件通路ではなく,もっぱらY所有地の北側から西側にかけて接するSの土地を無断で通行して公道と行き来していた。
4 ところで,XらとYとの間では,本件通路とY所有地との間の境界やXらによる本件通路の通行の仕方等をめぐり,近年争いが激化していた。  そこで,Xらは,Xらが現に本件通路を不可欠なものとして利用しているのに対し,Yは長年上記3後段の経路でY所有地と公道との間を行き来しており,本件通路を必要としていない,Yのこれまでの言動からして,本件通路をめぐる分割協議は整わないとして,XらがYに対して相応の代償金を支払うのを条件に,本件通路をXらだけの共有とする旨の共有物分割を求めた。
5 本判決は,本件通路について,Xらの自宅及びY所有地双方からの公道へ至るための共用通路という性格を有するものであり,そのような性格が失われたといえるような特段の事情が認められない限り,共有物分割請求になじまないものという原則的な判断を踏まえた上で,Xらにとっては本件通路は不可欠の通路であることは明白であること,他方,本訴訟を契機にYがSの土地の無断通行を止め,本件通路を公道に至る通路として使用する意向を明らかにしていることを指摘し,本件通路は未だ同人らの共用通路としての性格を失っていないとして,Xらの共有物分割請求を斥けた。
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