事件番号平成19(行コ)66
事件名議員報酬支給差止請求控訴事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成19年7月20日
原審裁判所水戸地方裁判所
原審事件番号平成17(行ウ)19
判示事項市と村が合併するに当たり,旧市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号,平成17年3月31日限り失効)7条1項を適用して旧村議会議員を引き続き合併後の市の市会議員として在任させることとした,合併協議会における決定は,合併前の前記市の市民の投票価値の平等を害し違憲無効であり,同決定に基づき旧村議会議員らに対して議員報酬を支出することが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,旧村議会議員に支給した議員報酬の返還請求をすることを市長に対して求める請求が,棄却された事例
裁判要旨市と村が合併するに当たり,旧市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号,平成17年3月31日限り失効)7条1項を適用して旧村議会議員を引き続き合併後の市の市会議員として在任させることとした,合併協議会における決定は,合併前の前記市の市民の投票価値の平等を害し違憲無効であり,同決定に基づき旧村議会議員らに対して議員報酬を支出することが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,旧村議会議員に支給した議員報酬の返還請求をすることを市長に対して求める請求につき,旧合併特例法7条1項に規定する議会の議員の在任に関する特例(以下「在任特例」という。)の制度は,効率的な事務ないし予算の執行を図るため市町村行政の広域化を進める必要があり,そのための市町村合併に伴う段階的な制度統一の中で,飽くまでも合併関係市町村の協議により一定の期間に限定して議員資格を認めるというものであって,合理性が認められるものであるし,合併関係市町村の協議によって,合併関係市町村の議会の議員が,引き続き合併市町村の議会の議員として在任できることとされた場合であっても,それは飽くまで合併後の合併市町村の議会の議員として在任するものであって,合併前の合併関係市町村の議員,代表として在任する者ではないから,合併前の合併関係市町村の住民の間で投票価値の不平等の問題が生じるものではなく,また,前記決定に係る在任特例の制度が合併に伴う一時的過渡的な時期の応急的な措置としての必要性及び内容上の一定の合理性を備えていると認められることにかんがみると,結果として,合併後に市議会議員となった旧村議会議員と合併前からの市議会議員との間には,その選任時期にさかのぼってみた場合,投票価値に6倍程度の計算上の格差が観念されるからといって,直ちに不合理な差別として法の下の平等を害するものであるとは認めることはできないとした上で,前記合併に関しては,前記合併協議会において,編入をする合併関係市町村である前記市の市議会議員の在任期間までと期間を限って,合併関係市町村である前記市及び前記村の議会の委員を引き続き合併市町村である市の議会の議員とすることが決定されたものであり,その決定に違法,不当な点は認められず,前記合併により,旧村議会議員は市議会議員としての地位を取得しているから,市長が旧村議会議員に議員報酬を支出することについても,何ら違法,不当な点は存在しないとして,前記請求を棄却した事例
事件番号平成19(行コ)66
事件名議員報酬支給差止請求控訴事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成19年7月20日
原審裁判所水戸地方裁判所
原審事件番号平成17(行ウ)19
判示事項
市と村が合併するに当たり,旧市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号,平成17年3月31日限り失効)7条1項を適用して旧村議会議員を引き続き合併後の市の市会議員として在任させることとした,合併協議会における決定は,合併前の前記市の市民の投票価値の平等を害し違憲無効であり,同決定に基づき旧村議会議員らに対して議員報酬を支出することが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,旧村議会議員に支給した議員報酬の返還請求をすることを市長に対して求める請求が,棄却された事例
裁判要旨
市と村が合併するに当たり,旧市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号,平成17年3月31日限り失効)7条1項を適用して旧村議会議員を引き続き合併後の市の市会議員として在任させることとした,合併協議会における決定は,合併前の前記市の市民の投票価値の平等を害し違憲無効であり,同決定に基づき旧村議会議員らに対して議員報酬を支出することが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,旧村議会議員に支給した議員報酬の返還請求をすることを市長に対して求める請求につき,旧合併特例法7条1項に規定する議会の議員の在任に関する特例(以下「在任特例」という。)の制度は,効率的な事務ないし予算の執行を図るため市町村行政の広域化を進める必要があり,そのための市町村合併に伴う段階的な制度統一の中で,飽くまでも合併関係市町村の協議により一定の期間に限定して議員資格を認めるというものであって,合理性が認められるものであるし,合併関係市町村の協議によって,合併関係市町村の議会の議員が,引き続き合併市町村の議会の議員として在任できることとされた場合であっても,それは飽くまで合併後の合併市町村の議会の議員として在任するものであって,合併前の合併関係市町村の議員,代表として在任する者ではないから,合併前の合併関係市町村の住民の間で投票価値の不平等の問題が生じるものではなく,また,前記決定に係る在任特例の制度が合併に伴う一時的過渡的な時期の応急的な措置としての必要性及び内容上の一定の合理性を備えていると認められることにかんがみると,結果として,合併後に市議会議員となった旧村議会議員と合併前からの市議会議員との間には,その選任時期にさかのぼってみた場合,投票価値に6倍程度の計算上の格差が観念されるからといって,直ちに不合理な差別として法の下の平等を害するものであるとは認めることはできないとした上で,前記合併に関しては,前記合併協議会において,編入をする合併関係市町村である前記市の市議会議員の在任期間までと期間を限って,合併関係市町村である前記市及び前記村の議会の委員を引き続き合併市町村である市の議会の議員とすることが決定されたものであり,その決定に違法,不当な点は認められず,前記合併により,旧村議会議員は市議会議員としての地位を取得しているから,市長が旧村議会議員に議員報酬を支出することについても,何ら違法,不当な点は存在しないとして,前記請求を棄却した事例
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