事件番号平成18(わ)6332
事件名殺人被告事件
裁判所大阪地方裁判所 第7刑事部
裁判年月日平成20年9月19日
判示事項の要旨軽度精神遅滞を患い長年自室で引きこもり生活を送ってきた被告人が,父親に対し,殺意をもって,?金属製の棒様の物で頭部を何度も殴る行為,?指で首元の気管切開口(咽頭癌手術により呼吸口として開いたもの)を塞ぐ行為,?包丁で側頭部を刺す行為の三つの殺害行為を行い,その結果,気管切開口閉塞により父親を窒息死させたという公訴事実につき,(1) ?の実行行為については,これに関する被告人の自白が信用できず,窒息死の原因は他にも考え得るとして,証明不十分であるとし,(2) ?の実行行為については,被告人が自己の生命に対する父親からの侵害を誤信してした防衛行為であり,これまでの父親の暴行歴から被告人においても今回の侵害はある程度予期できていたし,積極的加害意思も無かったとは言い難いものの,引きこもり状況等の具体的情況に照らせば被告人に侵害回避義務を認めることができず,侵害の急迫性も否定されないことから,誤想防衛が成立するとし,(3) ?の実行行為については,心神耗弱状態においてなされたものであるとはいえ,殺意も認められるものの,父親死亡の結果が?の実行行為のみによって生じた可能性が否定できない以上,?の実行行為が死亡結果の発生に因果的に寄与したか疑問が残るとして,結局,?の実行行為による殺人未遂罪のみが成立するにとどまると判断した事案
事件番号平成18(わ)6332
事件名殺人被告事件
裁判所大阪地方裁判所 第7刑事部
裁判年月日平成20年9月19日
判示事項の要旨
軽度精神遅滞を患い長年自室で引きこもり生活を送ってきた被告人が,父親に対し,殺意をもって,?金属製の棒様の物で頭部を何度も殴る行為,?指で首元の気管切開口(咽頭癌手術により呼吸口として開いたもの)を塞ぐ行為,?包丁で側頭部を刺す行為の三つの殺害行為を行い,その結果,気管切開口閉塞により父親を窒息死させたという公訴事実につき,(1) ?の実行行為については,これに関する被告人の自白が信用できず,窒息死の原因は他にも考え得るとして,証明不十分であるとし,(2) ?の実行行為については,被告人が自己の生命に対する父親からの侵害を誤信してした防衛行為であり,これまでの父親の暴行歴から被告人においても今回の侵害はある程度予期できていたし,積極的加害意思も無かったとは言い難いものの,引きこもり状況等の具体的情況に照らせば被告人に侵害回避義務を認めることができず,侵害の急迫性も否定されないことから,誤想防衛が成立するとし,(3) ?の実行行為については,心神耗弱状態においてなされたものであるとはいえ,殺意も認められるものの,父親死亡の結果が?の実行行為のみによって生じた可能性が否定できない以上,?の実行行為が死亡結果の発生に因果的に寄与したか疑問が残るとして,結局,?の実行行為による殺人未遂罪のみが成立するにとどまると判断した事案
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