事件番号平成24(行ケ)8
事件名審決取消等請求事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成25年11月1日
事案の概要本件は,音楽著作物の放送等利用に係る管理事業における排除型私的独占による独占禁止法違反行為の有無が問題とされた事案である。
判示事項1 公正取引委員会が音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者(甲社)に対してした排除措置命令取消審決の取消訴訟につき,甲社と競業関係にある管理事業者(乙社)の原告適格が肯定された事例
2 音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者が,ほとんど全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,この契約に基づき,放送等使用料を徴収している行為が,独占禁止法2条5項に定める排除型私的独占に該当しないとした公正取引委員会の排除措置命令取消審決の認定及び判断には誤りがあるとして同審決が取り消された事例
裁判要旨1 公正取引委員会が音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者(甲社)に対してした排除措置命令取消審決の取消訴訟につき,独占禁止法中の排除措置命令等の根拠となる同法7条,49条6項及び66条は,第一次的には公共の利益の実現を目的としたものであるが,競業者が違反行為により直接的に業務上の被害を受けるおそれがあり,しかもその被害が著しいものである場合には,公正取引委員会が当該違反行為に対し排除措置命令又は排除措置を認める審決を発することにより公正かつ自由な競争の下で事業活動を行うことのできる当該競業者の利益を,個々の競業者の個別的利益としても保護する趣旨の規定であると解することができるとした上で,音楽著作物の放送等利用に係る管理事業を行って放送等使用料を徴収しているのは,甲社と乙社のみであり,甲社が排除型私的独占による独占禁止法違反の行為を行った場合には,音楽著作物の放送等利用に係る管理事業において甲社の唯一の競業者である乙社は,その行為により,直接,公正かつ自由な競争の下での事業活動を阻害されることにより,その業務上の損害は著しいものがあると認め,乙社は,前記排除措置命令及び同排除措置命令を取り消した審決の名宛人ではないものの,前記訴訟についての原告適格を肯定した事例
2 音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者(甲社)が,ほとんど全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,この契約に基づき,放送等使用料を徴収している行為につき,前記利用許諾契約における包括徴収は,当該年度の前年度の放送事業収入に一定率を乗ずる等の方法で放送等使用料の額を算定するものであり,前記管理事業者(甲社)の管理楽曲の利用割合によって変動することなく,一定額に定まっており,放送事業者は,甲社の管理楽曲を利用する場合には,その利用楽曲数がいかに増加しようとも,前記算定方法に基づく定額の放送等使用料に追加してこれを支払う必要はないのに対して,前記管理事業者以外の管理事業者の管理楽曲を利用する場合には,当該管理事業者との利用許諾契約に従って別途放送等使用料の支払を余儀なくされるものであり,また,甲社は大部分の音楽著作権について放送等利用に係る管理を行っており,放送事業者としては楽曲を放送等に利用するためには,甲社と前記利用許諾契約を締結しないという選択肢はあり得ない状況にあったなどとして,甲社の前記行為は,放送事業者をして,放送等使用料の追加負担を避けるために,他の管理事業者の管理楽曲の利用を回避する対応をとらせる蓋然性が高く,競業関係にある管理事業者の事業活動の継続や新規参入を著しく困難にし,その事業活動を排除する効果を有するものと認められることから,前記行為が独占禁止法2条5項に定める排除型私的独占に該当しないとした公正取引委員会の排除措置命令取消審決の認定及び判断には誤りがあり,公正取引委員会は,前項所定の排除型私的独占行為に該当するための,その他の各要件を充足するか否かについて,認定判断をすべきであるとして,前記審決を取り消した事例
事件番号平成24(行ケ)8
事件名審決取消等請求事件
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成25年11月1日
事案の概要
本件は,音楽著作物の放送等利用に係る管理事業における排除型私的独占による独占禁止法違反行為の有無が問題とされた事案である。
判示事項
1 公正取引委員会が音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者(甲社)に対してした排除措置命令取消審決の取消訴訟につき,甲社と競業関係にある管理事業者(乙社)の原告適格が肯定された事例
2 音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者が,ほとんど全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,この契約に基づき,放送等使用料を徴収している行為が,独占禁止法2条5項に定める排除型私的独占に該当しないとした公正取引委員会の排除措置命令取消審決の認定及び判断には誤りがあるとして同審決が取り消された事例
裁判要旨
1 公正取引委員会が音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者(甲社)に対してした排除措置命令取消審決の取消訴訟につき,独占禁止法中の排除措置命令等の根拠となる同法7条,49条6項及び66条は,第一次的には公共の利益の実現を目的としたものであるが,競業者が違反行為により直接的に業務上の被害を受けるおそれがあり,しかもその被害が著しいものである場合には,公正取引委員会が当該違反行為に対し排除措置命令又は排除措置を認める審決を発することにより公正かつ自由な競争の下で事業活動を行うことのできる当該競業者の利益を,個々の競業者の個別的利益としても保護する趣旨の規定であると解することができるとした上で,音楽著作物の放送等利用に係る管理事業を行って放送等使用料を徴収しているのは,甲社と乙社のみであり,甲社が排除型私的独占による独占禁止法違反の行為を行った場合には,音楽著作物の放送等利用に係る管理事業において甲社の唯一の競業者である乙社は,その行為により,直接,公正かつ自由な競争の下での事業活動を阻害されることにより,その業務上の損害は著しいものがあると認め,乙社は,前記排除措置命令及び同排除措置命令を取り消した審決の名宛人ではないものの,前記訴訟についての原告適格を肯定した事例
2 音楽の著作物の著作権に係る著作権管理事業者(甲社)が,ほとんど全ての放送事業者との間で放送等使用料の徴収方法を包括徴収とする利用許諾契約を締結し,この契約に基づき,放送等使用料を徴収している行為につき,前記利用許諾契約における包括徴収は,当該年度の前年度の放送事業収入に一定率を乗ずる等の方法で放送等使用料の額を算定するものであり,前記管理事業者(甲社)の管理楽曲の利用割合によって変動することなく,一定額に定まっており,放送事業者は,甲社の管理楽曲を利用する場合には,その利用楽曲数がいかに増加しようとも,前記算定方法に基づく定額の放送等使用料に追加してこれを支払う必要はないのに対して,前記管理事業者以外の管理事業者の管理楽曲を利用する場合には,当該管理事業者との利用許諾契約に従って別途放送等使用料の支払を余儀なくされるものであり,また,甲社は大部分の音楽著作権について放送等利用に係る管理を行っており,放送事業者としては楽曲を放送等に利用するためには,甲社と前記利用許諾契約を締結しないという選択肢はあり得ない状況にあったなどとして,甲社の前記行為は,放送事業者をして,放送等使用料の追加負担を避けるために,他の管理事業者の管理楽曲の利用を回避する対応をとらせる蓋然性が高く,競業関係にある管理事業者の事業活動の継続や新規参入を著しく困難にし,その事業活動を排除する効果を有するものと認められることから,前記行為が独占禁止法2条5項に定める排除型私的独占に該当しないとした公正取引委員会の排除措置命令取消審決の認定及び判断には誤りがあり,公正取引委員会は,前項所定の排除型私的独占行為に該当するための,その他の各要件を充足するか否かについて,認定判断をすべきであるとして,前記審決を取り消した事例
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