事件番号平成24(行ウ)327
事件名事業計画変更認可申請却下処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成25年6月27日
事案の概要本件は,一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む原告が,特定地域に指定されている東京都特別区,武蔵野市及び三鷹市の区域(以下「特別区・武三交通圏」という。)を営業区域として,営業所ごとに配置する事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車するため,処分行政庁に対し,道路運送法15条1項に基づき,平成23年6月30日付けで事業計画変更認可申請(以下「本件申請」という。)をしたところ,処分行政庁から,本件申請は収支計画要件に適合しないとして,同年11月30日付けで本件申請を却下する旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,処分行政庁の所属する国を被告として,ア 主位的に,① 措置認可基準自体又はその運用は違法であり,本件申請は道路運送法及び特措法の定める認可基準に適合すること,② 仮に,措置認可基準又はその運用が適法であるとしても,本件申請は措置認可基準の定める収支計画要件に適合することから,本件処分は違法であるとして,行政事件訴訟法3条2項並びに同条6項2号及び同法37条の3に基づき,本件処分の取消し及び本件申請に対し認可処分をすることの義務付けを求め(以下,本件処分の取消しを求める訴えを「本件取消しの訴え」,本件申請に対し認可処分をすることの義務付けを求める訴えを「本件義務付けの訴え」という。),イ 予備的に,特別区・武三交通圏を特定地域と指定したこと(以下,この指定を「本件指定」という。)は違法無効であるとして,同法4条に基づき,原告と被告の間で,原告が届出のみで本件申請に係る30台の増車をすることができる法的地位を有することの確認を求める(以下,この確認の訴えを「本件確認の訴え」といい,本件取消しの訴え,本件義務付けの訴え及び本件確認の訴えを併せて「本件各訴え」という。)事案である。
判示事項1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分が,違法とされた事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に係る事業計画変更を認可することの義務付けを求める請求が,棄却された事例
3 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づき届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えが,適法とされた事例
裁判要旨1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分につき,特定地域に係る増車認可申請に対する認可の許否の判断,その審査基準の策定については国土交通大臣等の政策的な裁量判断に委ねられていると解するのが相当であるところ,前記特別措置法制定までの議論の経緯等を検討すると,前記基準が安易な供給拡大を抑制することを目的とすること自体は適法であると認められ,また,前記基準において,特定地域に係る増車認可申請を認めるためには,当該営業圏において新規の輸送需要が生ずる見込みがあることを必要とするとの収支計画要件を定めることは,安易な供給拡大を抑制するという観点からみて明らかに不合理な規制であるとまではいえないから,前記特別措置法上許容されているものと解されるが,申請者が実際には立証することが困難な要件を課すことは,政府が供給を直接調整して増車を一律に禁止することと同視することができ,違法であって許されないから,収支計画要件への適合性は,新規の輸送需要の発生が社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれることを申請者である事業者が立証することができれば足りると解されるとした上で,前記処分は,新規の輸送需要が発生することが社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれるということができるにもかかわらず,特段の事情も示すことなく,特定地域に係る増車認可申請を一切不認可とした点で,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,又は,判断過程において考慮すべき事情を考慮しないことにより,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものといわざるを得ず,運輸支局長が有する裁量権の範囲の逸脱又は濫用をしたものであって違法であるとした事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に係る事業計画変更を認可することの義務付けを求める請求につき,前記区域において新規の輸送需要が発生しそれが増車に係る営業収入に結び付くことは社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれ,同申請に対する却下処分は取り消されるべきものであるものの,前記新規需要が,前記30台の増車に見合うものであるか否かについて,客観的な裏付けは十分に示されておらず行政庁の専門的・技術的な知識経験に基づく判断を経るべき点が残っているといわざるを得ず,前記申請につき申請どおりの事業計画変更認可をすべきかどうかについては,なお,行政庁による審査を尽くす必要があるから,前記申請につき,行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ,又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるとまではいえないとして,前記請求を棄却した事例
3 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づく届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えにつき,前記区域を特定地域として指定したことが違法無効である場合には,同条3項に基づき,事前に届出をするのみで増車をすることができることになるから,前記処分の取消しを求めるまでもなく,同条1項の認可を得ることなく同条3項の届出のみで前記申請に係る増車をなし得る法的地位を有することの確認を求めることができ,確認の利益を肯定することができるとして,前記訴えを適法とした事例
事件番号平成24(行ウ)327
事件名事業計画変更認可申請却下処分取消等請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成25年6月27日
事案の概要
本件は,一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む原告が,特定地域に指定されている東京都特別区,武蔵野市及び三鷹市の区域(以下「特別区・武三交通圏」という。)を営業区域として,営業所ごとに配置する事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車するため,処分行政庁に対し,道路運送法15条1項に基づき,平成23年6月30日付けで事業計画変更認可申請(以下「本件申請」という。)をしたところ,処分行政庁から,本件申請は収支計画要件に適合しないとして,同年11月30日付けで本件申請を却下する旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,処分行政庁の所属する国を被告として,ア 主位的に,① 措置認可基準自体又はその運用は違法であり,本件申請は道路運送法及び特措法の定める認可基準に適合すること,② 仮に,措置認可基準又はその運用が適法であるとしても,本件申請は措置認可基準の定める収支計画要件に適合することから,本件処分は違法であるとして,行政事件訴訟法3条2項並びに同条6項2号及び同法37条の3に基づき,本件処分の取消し及び本件申請に対し認可処分をすることの義務付けを求め(以下,本件処分の取消しを求める訴えを「本件取消しの訴え」,本件申請に対し認可処分をすることの義務付けを求める訴えを「本件義務付けの訴え」という。),イ 予備的に,特別区・武三交通圏を特定地域と指定したこと(以下,この指定を「本件指定」という。)は違法無効であるとして,同法4条に基づき,原告と被告の間で,原告が届出のみで本件申請に係る30台の増車をすることができる法的地位を有することの確認を求める(以下,この確認の訴えを「本件確認の訴え」といい,本件取消しの訴え,本件義務付けの訴え及び本件確認の訴えを併せて「本件各訴え」という。)事案である。
判示事項
1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分が,違法とされた事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に係る事業計画変更を認可することの義務付けを求める請求が,棄却された事例
3 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づき届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えが,適法とされた事例
裁判要旨
1 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に対し,運輸支局長がした前記申請を却下する旨の処分につき,特定地域に係る増車認可申請に対する認可の許否の判断,その審査基準の策定については国土交通大臣等の政策的な裁量判断に委ねられていると解するのが相当であるところ,前記特別措置法制定までの議論の経緯等を検討すると,前記基準が安易な供給拡大を抑制することを目的とすること自体は適法であると認められ,また,前記基準において,特定地域に係る増車認可申請を認めるためには,当該営業圏において新規の輸送需要が生ずる見込みがあることを必要とするとの収支計画要件を定めることは,安易な供給拡大を抑制するという観点からみて明らかに不合理な規制であるとまではいえないから,前記特別措置法上許容されているものと解されるが,申請者が実際には立証することが困難な要件を課すことは,政府が供給を直接調整して増車を一律に禁止することと同視することができ,違法であって許されないから,収支計画要件への適合性は,新規の輸送需要の発生が社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれることを申請者である事業者が立証することができれば足りると解されるとした上で,前記処分は,新規の輸送需要が発生することが社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれるということができるにもかかわらず,特段の事情も示すことなく,特定地域に係る増車認可申請を一切不認可とした点で,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,又は,判断過程において考慮すべき事情を考慮しないことにより,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものといわざるを得ず,運輸支局長が有する裁量権の範囲の逸脱又は濫用をしたものであって違法であるとした事例
2 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者がした,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を30台増車する旨の事業計画変更認可申請に係る事業計画変更を認可することの義務付けを求める請求につき,前記区域において新規の輸送需要が発生しそれが増車に係る営業収入に結び付くことは社会通念上合理的にみて相当程度の蓋然性をもって見込まれ,同申請に対する却下処分は取り消されるべきものであるものの,前記新規需要が,前記30台の増車に見合うものであるか否かについて,客観的な裏付けは十分に示されておらず行政庁の専門的・技術的な知識経験に基づく判断を経るべき点が残っているといわざるを得ず,前記申請につき申請どおりの事業計画変更認可をすべきかどうかについては,なお,行政庁による審査を尽くす必要があるから,前記申請につき,行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ,又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え又はその濫用となると認められるとまではいえないとして,前記請求を棄却した事例
3 一般乗用旅客自動車運送事業であるタクシー事業を営む者が,特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法3条に基づいて特定地域に指定された区域を営業区域として,事業用自動車(一般車両タクシー)を増車するため,運輸支局長に対し,同法15条1項,道路運送法15条1項に基づき,事業計画変更認可申請をしたところ,これを却下する旨の処分を受けたため,同条3項に基づく届出のみで前記申請に係る増車をすることができる法的地位を有することの確認を求めた訴えにつき,前記区域を特定地域として指定したことが違法無効である場合には,同条3項に基づき,事前に届出をするのみで増車をすることができることになるから,前記処分の取消しを求めるまでもなく,同条1項の認可を得ることなく同条3項の届出のみで前記申請に係る増車をなし得る法的地位を有することの確認を求めることができ,確認の利益を肯定することができるとして,前記訴えを適法とした事例
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