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事件番号
平成24(行コ)170
事件名
生活保護費返還処分取消請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成22年(行ウ)第18号)
裁判所
大阪高等裁判所
裁判年月日
平成25年12月13日
事案の概要
本件は,生活保護の被保護者である控訴人が,平成18年12月1日に障害基礎年金の支給事由が発生したとして平成19年1月分から平成20年1月分までの障害基礎年金の遡及分の支給を同年3月13日に受けることとなったことに対し,尼崎市福祉事務所長
(以下「福祉事務所長」といい,同事務所を「福祉事務所」という。)
が,生活保護法63条
(同法を以下「法」という。)
を適用して,遡って支給された障害基礎年金97万2059円
(以下「本件遡及支給分」という。)
に相当する支給済みの保護費相当額全額の返還を命じる同年9月17日付け処分
(以下「本件処分」という。)
を行ったところ,控訴人が,①本件処分には法63条の解釈適用を誤った違法があること,②本件については,生活保護支給の経緯にいわゆる水際作戦による保護申請権の侵害があるなどの経緯があり,これを考慮しないで「保護の実施機関の定める額」
(以下「返還額」ともいう。)
を決定した点等に福祉事務所長の裁量権を逸脱・濫用した違法があること,③返還額の決定に当たり,担当職員に調査義務違反の違法があることなどを主張して,行政事件訴訟法3条2項に基づき,本件処分の取消しを求めた事案である。
判示事項
障害基礎年金を遡って受給した生活保護の被保護者に対してされた生活保護法63条に基づく障害基礎年金に相当する保護費に相当する額の返還を命じる処分が,違法とされた事例
裁判要旨
障害基礎年金を遡って受給した生活保護の被保護者に対してされた生活保護法63条に基づく障害基礎年金に相当する保護費に相当する額の返還を命じる処分につき,同条は,被保護者が,急迫の場合等において資力があるにもかかわらず,保護を受けたときは,保護費を支給した都道府県又は市町村に対して,すみやかに,その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならないと規定しており,返還額について保護の実施機関の裁量を認めているが,その裁量は全くの自由裁量というべきではなく,その判断が著しく合理性を欠く場合は,その裁量権の逸脱,濫用として違法となるとした上で,前記被保護者については,同人が保護課に相談に行った段階において,保護課職員が前記被保護者の生活実態や自立更生のための需要について調査を尽くさず直ちに保護申請手続をとらせなかったために,前記被保護者が保護開始を受けるまで生活に困窮し,その間に知人や親戚などからの借入に頼って生活してきたものであり,その借入は保護課の不適切な対応が招いたものであるということができ,前記遡及支給分の中から,これを返済したことは保護開始前の単なる負債の返済とは異なり,本来,生活保護として支給されるべき金員の立替金の返済ともいうべきものであり,また前記処分により返還を命じられた遡及支給分の中には,前記被保護者が要保護状態にあるのに保護を受けられなかった期間の分が含まれているのであって,これらの点を考慮することなく,遡及支給分に相当する保護費全額を返還額として決定したことは重きに失し,著しく合理性を欠き,裁量権を逸脱したものであるとして,前記処分を違法とした事例
事件番号
平成24(行コ)170
事件名
生活保護費返還処分取消請求控訴事件(原審・神戸地方裁判所平成22年(行ウ)第18号)
裁判所
大阪高等裁判所
裁判年月日
平成25年12月13日
事案の概要
本件は,生活保護の被保護者である控訴人が,平成18年12月1日に障害基礎年金の支給事由が発生したとして平成19年1月分から平成20年1月分までの障害基礎年金の遡及分の支給を同年3月13日に受けることとなったことに対し,尼崎市福祉事務所長
(以下「福祉事務所長」といい,同事務所を「福祉事務所」という。)
が,生活保護法63条
(同法を以下「法」という。)
を適用して,遡って支給された障害基礎年金97万2059円
(以下「本件遡及支給分」という。)
に相当する支給済みの保護費相当額全額の返還を命じる同年9月17日付け処分
(以下「本件処分」という。)
を行ったところ,控訴人が,①本件処分には法63条の解釈適用を誤った違法があること,②本件については,生活保護支給の経緯にいわゆる水際作戦による保護申請権の侵害があるなどの経緯があり,これを考慮しないで「保護の実施機関の定める額」
(以下「返還額」ともいう。)
を決定した点等に福祉事務所長の裁量権を逸脱・濫用した違法があること,③返還額の決定に当たり,担当職員に調査義務違反の違法があることなどを主張して,行政事件訴訟法3条2項に基づき,本件処分の取消しを求めた事案である。
判示事項
障害基礎年金を遡って受給した生活保護の被保護者に対してされた生活保護法63条に基づく障害基礎年金に相当する保護費に相当する額の返還を命じる処分が,違法とされた事例
裁判要旨
障害基礎年金を遡って受給した生活保護の被保護者に対してされた生活保護法63条に基づく障害基礎年金に相当する保護費に相当する額の返還を命じる処分につき,同条は,被保護者が,急迫の場合等において資力があるにもかかわらず,保護を受けたときは,保護費を支給した都道府県又は市町村に対して,すみやかに,その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならないと規定しており,返還額について保護の実施機関の裁量を認めているが,その裁量は全くの自由裁量というべきではなく,その判断が著しく合理性を欠く場合は,その裁量権の逸脱,濫用として違法となるとした上で,前記被保護者については,同人が保護課に相談に行った段階において,保護課職員が前記被保護者の生活実態や自立更生のための需要について調査を尽くさず直ちに保護申請手続をとらせなかったために,前記被保護者が保護開始を受けるまで生活に困窮し,その間に知人や親戚などからの借入に頼って生活してきたものであり,その借入は保護課の不適切な対応が招いたものであるということができ,前記遡及支給分の中から,これを返済したことは保護開始前の単なる負債の返済とは異なり,本来,生活保護として支給されるべき金員の立替金の返済ともいうべきものであり,また前記処分により返還を命じられた遡及支給分の中には,前記被保護者が要保護状態にあるのに保護を受けられなかった期間の分が含まれているのであって,これらの点を考慮することなく,遡及支給分に相当する保護費全額を返還額として決定したことは重きに失し,著しく合理性を欠き,裁量権を逸脱したものであるとして,前記処分を違法とした事例
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