事件番号平成24(行コ)14
事件名埋立承認処分取消請求控訴事件(原審・山口地方裁判所平成20年(行ウ)第6号)
裁判所広島高等裁判所
裁判年月日平成25年11月13日
事案の概要本件は,山口県岩国市在住の控訴人らが,米海兵隊と海上自衛隊が使用する岩国飛行場(同市α町所在。以下「岩国飛行場」という。)の沖合移設(以下「本件沖合移設」という。)に伴う同町地先の公有水面(以下「本件公有水面」という。)の埋立事業(以下「本件埋立事業」という。)に係る山口県知事による別紙「公有水面埋立承認目録」記載の埋立承認処分(以下「本件承認処分」という。)について,主位的に,本件承認処分は,本件埋立事業においては,当初から基地機能の強化を目論んでいたのに,本件公有水面の埋立承認に係る出願に際し,本件沖合移設の目的が岩国飛行場における安全の確保と航空機騒音の緩和にあると偽ったなどの国の脱法行為を看過してなされたものであるなどと主張して,山口県知事が所属する地方公共団体である被控訴人に対し,本件承認処分の取消しを求め,予備的に,控訴人らが,山口県知事による平成20年2月12日の添付図書の変更承認(以下「本件変更承認」という。)について,同承認が行政処分に該当することを前提として,本件変更承認に係る添付図書の変更内容は実質的には公有水面埋立法(以下「埋立法」という。)13条の2が規定する「用途の変更」に該当するにもかかわらず,埋立法所定の用途変更手続(審査)が行われないまま本件変更承認がなされたなどと主張して,被控訴人に対し,本件変更承認の取消しを求める事案である。
判示事項1 国による公有水面の埋立事業に係る県知事による埋立承認処分の効力が埋立工事の竣工後に消滅した場合において,国の原状回復義務があるものとして前記承認処分の取消しを求める訴えの利益が認められた事例
2 国による公有水面の埋立事業について県知事がした埋立承認の取消しを求める訴えが,出訴期間経過後に提起された不適法なものであるとして,却下された事例
裁判要旨1 公有水面埋立法42条3項が同法35条1項本文を準用していないとしても,同法の趣旨によれば,国による公有水面の埋立事業に係る県知事による埋立承認の効力が消滅した場合,国は都道府県知事に対して原状回復義務を負うと解するのが相当であり,このことは埋立工事の竣工後に埋立承認の効力が消滅した場合にも等しく当てはまるというべきであるとして,前記承認処分の取消しを求める訴えの利益を認めた事例
2 国による公有水面の埋立事業について県知事がした埋立承認の取消しを求める訴えにつき,埋立承認後にされた変更承認により,埋立事業の目的が事後的に変更されたといえるとしても,前記変更承認が処分性の要件を満たしている限りにおいて,前記変更承認の取消訴訟を提起できるにとどまるというべきであって,埋立承認処分の取消訴訟の出訴期間が伸長されるとはいえず,前記訴えは出訴期間経過後に提起された不適法なものであるとして,前記訴えを却下した事例
事件番号平成24(行コ)14
事件名埋立承認処分取消請求控訴事件(原審・山口地方裁判所平成20年(行ウ)第6号)
裁判所広島高等裁判所
裁判年月日平成25年11月13日
事案の概要
本件は,山口県岩国市在住の控訴人らが,米海兵隊と海上自衛隊が使用する岩国飛行場(同市α町所在。以下「岩国飛行場」という。)の沖合移設(以下「本件沖合移設」という。)に伴う同町地先の公有水面(以下「本件公有水面」という。)の埋立事業(以下「本件埋立事業」という。)に係る山口県知事による別紙「公有水面埋立承認目録」記載の埋立承認処分(以下「本件承認処分」という。)について,主位的に,本件承認処分は,本件埋立事業においては,当初から基地機能の強化を目論んでいたのに,本件公有水面の埋立承認に係る出願に際し,本件沖合移設の目的が岩国飛行場における安全の確保と航空機騒音の緩和にあると偽ったなどの国の脱法行為を看過してなされたものであるなどと主張して,山口県知事が所属する地方公共団体である被控訴人に対し,本件承認処分の取消しを求め,予備的に,控訴人らが,山口県知事による平成20年2月12日の添付図書の変更承認(以下「本件変更承認」という。)について,同承認が行政処分に該当することを前提として,本件変更承認に係る添付図書の変更内容は実質的には公有水面埋立法(以下「埋立法」という。)13条の2が規定する「用途の変更」に該当するにもかかわらず,埋立法所定の用途変更手続(審査)が行われないまま本件変更承認がなされたなどと主張して,被控訴人に対し,本件変更承認の取消しを求める事案である。
判示事項
1 国による公有水面の埋立事業に係る県知事による埋立承認処分の効力が埋立工事の竣工後に消滅した場合において,国の原状回復義務があるものとして前記承認処分の取消しを求める訴えの利益が認められた事例
2 国による公有水面の埋立事業について県知事がした埋立承認の取消しを求める訴えが,出訴期間経過後に提起された不適法なものであるとして,却下された事例
裁判要旨
1 公有水面埋立法42条3項が同法35条1項本文を準用していないとしても,同法の趣旨によれば,国による公有水面の埋立事業に係る県知事による埋立承認の効力が消滅した場合,国は都道府県知事に対して原状回復義務を負うと解するのが相当であり,このことは埋立工事の竣工後に埋立承認の効力が消滅した場合にも等しく当てはまるというべきであるとして,前記承認処分の取消しを求める訴えの利益を認めた事例
2 国による公有水面の埋立事業について県知事がした埋立承認の取消しを求める訴えにつき,埋立承認後にされた変更承認により,埋立事業の目的が事後的に変更されたといえるとしても,前記変更承認が処分性の要件を満たしている限りにおいて,前記変更承認の取消訴訟を提起できるにとどまるというべきであって,埋立承認処分の取消訴訟の出訴期間が伸長されるとはいえず,前記訴えは出訴期間経過後に提起された不適法なものであるとして,前記訴えを却下した事例
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