事件番号平成24(行ウ)280
事件名所得税更正処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成25年12月12日
事案の概要本件は,平成20年分の所得税に係る更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と合わせて「本件更正処分等」という。)を受けた原告が,被告に対し,本件更正処分は,社団法人A(以下「A」という。)の会員であった原告の父死亡に伴いAの事業の1つである共済制度に基づき原告が受給した同死亡に係る死亡共済金を,いわゆるみなし贈与財産とせず,原告の一時所得として所得税の課税対象とした違法があり,また,仮に同共済金が一時所得に該当するとしても,一時所得の金額の算定に当たって同共済金を得るために要した負担金の合計額を控除しなかった違法があると主張して,本件更正処分の一部取消しを求めるとともに,違法な本件更正処分を前提として過少申告加算税を課した本件賦課決定処分もまた違法であるとして,その取消しを求めた事案である。
判示事項1 父親の死亡に伴い父親が会員であった社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金は,相続税法9条のいわゆるみなし贈与財産に該当しないとされた事例
2 父親の死亡に伴い父親が会員であった社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金を一時所得として所得税の課税対象とするに際し,納付済みの共済負担金を控除しなかったことに違法がないとされた事例
裁判要旨1 相続税法9条の趣旨は,実質的にみて贈与又は遺贈を受けたのと同様の経済的利益を享受している者がいる場合に,租税回避行為を防止するため,税負担の公平の見地から,その取得した経済的利益を受けさせた者からの贈与又は遺贈によって所得したとみなすことにあると解されるところ,同条にいう「対価を支払わないで…利益を受けた場合」というには,当該経済的利益を受けさせた者の財産の減少と当該経済的利益との間に贈与と同視するに足りる法的因果関係が必要であるとした上,父親の死亡に伴い父親が会員であった社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金は,会員の相互扶助を目的とする各種共済金の1つであって,父親が納付していた負担金も,共済金の受給資格に関するものとして一定とされ,共済金の額も会員が支払った負担金の額とは全く連動しない一定の額とされ,退会の際は原則として返還されないというのであるから,負担金の納付と死亡共済金の受給との間に前記因果関係があるとは認められず,同条にいういわゆるみなし贈与財産に当たらないとした事例
2 父親の死亡に伴い社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金を一時所得として所得税の課税対象とするに際し,納付済みの共済負担金を控除しなかったことについて,所得税34条2項が,一時所得の収入額から「収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に限って控除することとした趣旨は,一時所得となる収入の発生に関連してされた支出には,一般に,程度の差はあれ,所得の処分ないし一種の消費支出の側面があると解されることから,それによって収入を生じた支出に限って控除することを明確にしたものと解されるところ,前記共済制度に基づく死亡共済金は会員の相互扶助を目的とする共済金の1つであって,前記共済負担金も,死亡共済金の額とは全く連動せず,退会すれば返還も受けられないというのであるから,前記死亡共済金の所得に直接要した費用ということはできず,一時所得の算定に際し,前記共済負担金を控除しなかったことに違法はないとした事例
事件番号平成24(行ウ)280
事件名所得税更正処分取消等請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成25年12月12日
事案の概要
本件は,平成20年分の所得税に係る更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい,本件更正処分と合わせて「本件更正処分等」という。)を受けた原告が,被告に対し,本件更正処分は,社団法人A(以下「A」という。)の会員であった原告の父死亡に伴いAの事業の1つである共済制度に基づき原告が受給した同死亡に係る死亡共済金を,いわゆるみなし贈与財産とせず,原告の一時所得として所得税の課税対象とした違法があり,また,仮に同共済金が一時所得に該当するとしても,一時所得の金額の算定に当たって同共済金を得るために要した負担金の合計額を控除しなかった違法があると主張して,本件更正処分の一部取消しを求めるとともに,違法な本件更正処分を前提として過少申告加算税を課した本件賦課決定処分もまた違法であるとして,その取消しを求めた事案である。
判示事項
1 父親の死亡に伴い父親が会員であった社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金は,相続税法9条のいわゆるみなし贈与財産に該当しないとされた事例
2 父親の死亡に伴い父親が会員であった社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金を一時所得として所得税の課税対象とするに際し,納付済みの共済負担金を控除しなかったことに違法がないとされた事例
裁判要旨
1 相続税法9条の趣旨は,実質的にみて贈与又は遺贈を受けたのと同様の経済的利益を享受している者がいる場合に,租税回避行為を防止するため,税負担の公平の見地から,その取得した経済的利益を受けさせた者からの贈与又は遺贈によって所得したとみなすことにあると解されるところ,同条にいう「対価を支払わないで…利益を受けた場合」というには,当該経済的利益を受けさせた者の財産の減少と当該経済的利益との間に贈与と同視するに足りる法的因果関係が必要であるとした上,父親の死亡に伴い父親が会員であった社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金は,会員の相互扶助を目的とする各種共済金の1つであって,父親が納付していた負担金も,共済金の受給資格に関するものとして一定とされ,共済金の額も会員が支払った負担金の額とは全く連動しない一定の額とされ,退会の際は原則として返還されないというのであるから,負担金の納付と死亡共済金の受給との間に前記因果関係があるとは認められず,同条にいういわゆるみなし贈与財産に当たらないとした事例
2 父親の死亡に伴い社団法人の共済制度に基づき受給した死亡共済金を一時所得として所得税の課税対象とするに際し,納付済みの共済負担金を控除しなかったことについて,所得税34条2項が,一時所得の収入額から「収入を生じた行為をするため,又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に限って控除することとした趣旨は,一時所得となる収入の発生に関連してされた支出には,一般に,程度の差はあれ,所得の処分ないし一種の消費支出の側面があると解されることから,それによって収入を生じた支出に限って控除することを明確にしたものと解されるところ,前記共済制度に基づく死亡共済金は会員の相互扶助を目的とする共済金の1つであって,前記共済負担金も,死亡共済金の額とは全く連動せず,退会すれば返還も受けられないというのであるから,前記死亡共済金の所得に直接要した費用ということはできず,一時所得の算定に際し,前記共済負担金を控除しなかったことに違法はないとした事例
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