事件番号平成24(行コ)138
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成25年2月27日
事案の概要本件は,平成21年度介護給付費財政調整交付金算定のための国への報告(以下「本件報告」という。)に際し,和泉市が,第1号被保険者の所得段階別の人数を誤ったことにより,国から和泉市に対して交付される介護給付費財政調整交付金が本来交付されるべき金額よりも少額となったため,その差額相当の損害を被ったとして,和泉市の住民である被控訴人が,控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件報告に関する専決権者である補助参加人A及び実務担当者である補助参加人Bに対し,不法行為による損害賠償として1560万1000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成23年5月18日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払の請求をすることを求めた事案である。
判示事項不法行為をした職員に対する地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償の請求が信義則に反して許されないとされた事例
裁判要旨介護給付費財政調整交付金算定のための国への報告に際して第1号被保険者の所得段階別の人数を誤ったことにより,国から市に対して交付される同交付金が本来の金額よりも少額となったとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前記報告につき過失のある専決権者及び実務担当者に対して損害賠償を請求することは,当該実務担当者の過失が,上部団体から誤りを誘引するような文書送付を受けるという予想外の立場に置かれた際に,その記載内容を無条件に信じることなく,その不適切部分を発見して,正しい事務処理をなすべき義務を全うできなかったというものであって,一般的な職務怠慢とは様相を異にするものであること,市の前記団体に対する依存度の大きさ,前記交付金算定の事務に取り組む組織上の態勢等の問題点が構造的な背景事情として存在し,当該実務担当者でなくとも前記誤りを犯しかねなかった側面があること,市にはリスクを抱えた職員の処遇,過誤の予防,損失の分担のための配慮や対策がされているとはいえないことなど判示の事情の下では,信義則に反して許されない。
事件番号平成24(行コ)138
事件名損害賠償請求控訴事件
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成25年2月27日
事案の概要
本件は,平成21年度介護給付費財政調整交付金算定のための国への報告(以下「本件報告」という。)に際し,和泉市が,第1号被保険者の所得段階別の人数を誤ったことにより,国から和泉市に対して交付される介護給付費財政調整交付金が本来交付されるべき金額よりも少額となったため,その差額相当の損害を被ったとして,和泉市の住民である被控訴人が,控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件報告に関する専決権者である補助参加人A及び実務担当者である補助参加人Bに対し,不法行為による損害賠償として1560万1000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成23年5月18日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払の請求をすることを求めた事案である。
判示事項
不法行為をした職員に対する地方自治法242条の2第1項4号に基づく損害賠償の請求が信義則に反して許されないとされた事例
裁判要旨
介護給付費財政調整交付金算定のための国への報告に際して第1号被保険者の所得段階別の人数を誤ったことにより,国から市に対して交付される同交付金が本来の金額よりも少額となったとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前記報告につき過失のある専決権者及び実務担当者に対して損害賠償を請求することは,当該実務担当者の過失が,上部団体から誤りを誘引するような文書送付を受けるという予想外の立場に置かれた際に,その記載内容を無条件に信じることなく,その不適切部分を発見して,正しい事務処理をなすべき義務を全うできなかったというものであって,一般的な職務怠慢とは様相を異にするものであること,市の前記団体に対する依存度の大きさ,前記交付金算定の事務に取り組む組織上の態勢等の問題点が構造的な背景事情として存在し,当該実務担当者でなくとも前記誤りを犯しかねなかった側面があること,市にはリスクを抱えた職員の処遇,過誤の予防,損失の分担のための配慮や対策がされているとはいえないことなど判示の事情の下では,信義則に反して許されない。
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