事件番号平成25(行ウ)92
事件名処分取消請求事件
裁判所名古屋地方裁判所
裁判年月日平成26年3月20日
事案の概要本件は,昭和60年法律第34号による改正前の厚生年金保険法(以下,厚生年金保険法を「厚年法」といい,同改正前の同法を「旧厚年法」という。)46条の3に基づく通算老齢年金を受給していた亡A(大正8年▲月▲日生,平成24年 ▲ 月 ▲ 日死亡。)が,新たに厚生年金保険の加入記録が判明したことから,旧厚年法42条に基づく老齢年金(以下,単に「老齢年金」という。)の裁定を請求したところ,厚生労働大臣から,老齢年金の裁定を受けるとともに,平成16年11月以前の分の老齢年金については,消滅時効が完成しており,厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(以下「時効特例法」という。)の規定による年金記録の訂正に基づく裁定又は裁定の訂正を原因とするものではないため,時効特例法に基づく給付の対象にもならない旨の決定(以下「本件処分」という。)を受けたことから,亡Aの妻である原告B,亡Aの長男である原告C及び亡Aの長女である原告Dが本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項1 厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の不支給決定を受けた被保険者が同決定に対する審査請求の係属中に死亡した場合において,被保険者の子は,前記決定の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 厚生労働大臣から裁定を受けた厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の一部について消滅時効が完成しており,同部分は時効特例法1条に基づく給付の対象にならない旨の決定が適法とされた事例
裁判要旨1 厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の不支給決定を受けた被保険者が同決定に対する審査請求の係属中に死亡した場合において,未支給年金の給付を受けることができる遺族(同法37条1項)に該当するか否かは同条4項が規定する順位のみで決せられるわけではなく,生計同一要件や先順位遺族の有無についての審査を経て初めて決せられるものであるから,同条1項に列挙されている範囲の遺族は,いずれも前記決定が取り消されることになれば,未支給年金の給付を受け得る地位ないし利益を承継し得る立場にあるとして,前記被保険者の子は前記決定の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 厚生労働大臣から裁定を受けた厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の一部について消滅時効が完成しており,同部分は時効特例法1条に基づく給付の対象にならない旨の決定について,時効特例法の趣旨,目的に照らすと,単なる裁定請求の遅れなどによりその年金の支給を受けないまま時効消滅した場合のように,年金記録の訂正に関わらないものについては,同法による救済の対象とはならないとして,前記決定が適法とされた事例
事件番号平成25(行ウ)92
事件名処分取消請求事件
裁判所名古屋地方裁判所
裁判年月日平成26年3月20日
事案の概要
本件は,昭和60年法律第34号による改正前の厚生年金保険法(以下,厚生年金保険法を「厚年法」といい,同改正前の同法を「旧厚年法」という。)46条の3に基づく通算老齢年金を受給していた亡A(大正8年▲月▲日生,平成24年 ▲ 月 ▲ 日死亡。)が,新たに厚生年金保険の加入記録が判明したことから,旧厚年法42条に基づく老齢年金(以下,単に「老齢年金」という。)の裁定を請求したところ,厚生労働大臣から,老齢年金の裁定を受けるとともに,平成16年11月以前の分の老齢年金については,消滅時効が完成しており,厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(以下「時効特例法」という。)の規定による年金記録の訂正に基づく裁定又は裁定の訂正を原因とするものではないため,時効特例法に基づく給付の対象にもならない旨の決定(以下「本件処分」という。)を受けたことから,亡Aの妻である原告B,亡Aの長男である原告C及び亡Aの長女である原告Dが本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項
1 厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の不支給決定を受けた被保険者が同決定に対する審査請求の係属中に死亡した場合において,被保険者の子は,前記決定の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 厚生労働大臣から裁定を受けた厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の一部について消滅時効が完成しており,同部分は時効特例法1条に基づく給付の対象にならない旨の決定が適法とされた事例
裁判要旨
1 厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の不支給決定を受けた被保険者が同決定に対する審査請求の係属中に死亡した場合において,未支給年金の給付を受けることができる遺族(同法37条1項)に該当するか否かは同条4項が規定する順位のみで決せられるわけではなく,生計同一要件や先順位遺族の有無についての審査を経て初めて決せられるものであるから,同条1項に列挙されている範囲の遺族は,いずれも前記決定が取り消されることになれば,未支給年金の給付を受け得る地位ないし利益を承継し得る立場にあるとして,前記被保険者の子は前記決定の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 厚生労働大臣から裁定を受けた厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの)42条に基づく老齢年金の一部について消滅時効が完成しており,同部分は時効特例法1条に基づく給付の対象にならない旨の決定について,時効特例法の趣旨,目的に照らすと,単なる裁定請求の遅れなどによりその年金の支給を受けないまま時効消滅した場合のように,年金記録の訂正に関わらないものについては,同法による救済の対象とはならないとして,前記決定が適法とされた事例
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