事件番号平成23(ワ)36742
事件名国家賠償請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成26年7月18日
事案の概要本件は,原告らが,○刑で服役中の受刑者と当該受刑者の妻である原告aとの面会及び当該受刑者とその余の原告らとの各面会を徳島刑務所長が不許可としたこと,原告aが当該受刑者に宛てた9通の信書(同封書面を含む。)の各一部を徳島刑務所長が抹消したこと(以下,各面会不許可処分及び各信書一部抹消処分を合わせて「本件各処分」という。)について,本件各処分は,いずれも,徳島刑務所長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであるなどと主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,原告aにつき慰謝料合計300万円及びこれに対する最終の不法行為時から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,その余の原告らにつきそれぞれ交通費及び慰謝料合計100万円及びこれに対する各不法行為時から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求める事案である。
判示事項1 受刑者とその妻との面会を不許可とした刑事施設の長の処分が,刑事収容施設法114条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該妻に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上も違法とされた事例
2 受刑者の妻から当該受刑者に宛てた信書の一部を抹消した刑事施設の長の処分が,刑事収容施設法129条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該妻に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上も違法とされた事例
裁判要旨1 受刑者とその再審請求に係る弁護人との面会を含めれば当該受刑者の面会が規定回数を超えることを理由としてされた当該受刑者とその妻との面会を不許可とする旨の処分は,当該刑事施設では従前から当該受刑者とその再審請求に係る弁護人との面会を規定回数の対象外として取り扱っており,それによって当該刑事施設の管理運営に何らかの支障が生じたとの事情もうかがわれないなどの判示の事情のもとでは,刑事収容施設法114条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があり,当該処分は長が面会の申出をした親族に対して負う受刑者と面会する利益を保護すべき職務上の法的義務に違反したものとして国家賠償法1条1項の適用上も違法となる。
2 受刑者の妻から当該受刑者に宛てた信書の一部を抹消した刑事施設の長の処分は,抹消部分において言及された者が無期懲役刑の仮釈放中のため刑事収容施設法128条所定の「犯罪性のある者」に該当する者として信書の交付禁止処分を受けたことのある者であるものの,その後に再審開始決定が確定しており,同人が言及された部分も分量的にわずかで,同人が当該受刑者との間に直接の面識がなかったなどの判示の事情のもとでは,同法129条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があり,当該処分は信書を発信した親族に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして国家賠償法1条1項の適用上も違法となる。
事件番号平成23(ワ)36742
事件名国家賠償請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成26年7月18日
事案の概要
本件は,原告らが,○刑で服役中の受刑者と当該受刑者の妻である原告aとの面会及び当該受刑者とその余の原告らとの各面会を徳島刑務所長が不許可としたこと,原告aが当該受刑者に宛てた9通の信書(同封書面を含む。)の各一部を徳島刑務所長が抹消したこと(以下,各面会不許可処分及び各信書一部抹消処分を合わせて「本件各処分」という。)について,本件各処分は,いずれも,徳島刑務所長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法なものであるなどと主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,原告aにつき慰謝料合計300万円及びこれに対する最終の不法行為時から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,その余の原告らにつきそれぞれ交通費及び慰謝料合計100万円及びこれに対する各不法行為時から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求める事案である。
判示事項
1 受刑者とその妻との面会を不許可とした刑事施設の長の処分が,刑事収容施設法114条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該妻に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上も違法とされた事例
2 受刑者の妻から当該受刑者に宛てた信書の一部を抹消した刑事施設の長の処分が,刑事収容施設法129条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして,当該妻に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上も違法とされた事例
裁判要旨
1 受刑者とその再審請求に係る弁護人との面会を含めれば当該受刑者の面会が規定回数を超えることを理由としてされた当該受刑者とその妻との面会を不許可とする旨の処分は,当該刑事施設では従前から当該受刑者とその再審請求に係る弁護人との面会を規定回数の対象外として取り扱っており,それによって当該刑事施設の管理運営に何らかの支障が生じたとの事情もうかがわれないなどの判示の事情のもとでは,刑事収容施設法114条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があり,当該処分は長が面会の申出をした親族に対して負う受刑者と面会する利益を保護すべき職務上の法的義務に違反したものとして国家賠償法1条1項の適用上も違法となる。
2 受刑者の妻から当該受刑者に宛てた信書の一部を抹消した刑事施設の長の処分は,抹消部分において言及された者が無期懲役刑の仮釈放中のため刑事収容施設法128条所定の「犯罪性のある者」に該当する者として信書の交付禁止処分を受けたことのある者であるものの,その後に再審開始決定が確定しており,同人が言及された部分も分量的にわずかで,同人が当該受刑者との間に直接の面識がなかったなどの判示の事情のもとでは,同法129条1項に関する長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があり,当該処分は信書を発信した親族に対して負う職務上の法的義務に違反したものとして国家賠償法1条1項の適用上も違法となる。
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