事件番号平成21(行ウ)49
事件名木曽川水系連絡導水路事業公金支出差止請求事件
裁判所名古屋地方裁判所
裁判年月日平成26年7月24日
事案の概要本件は,木曽川水系フルプラン(第4次計画)等に基づく木曽川水系連絡導水路事業(揖斐川上流に建設された徳山ダムに確保される水の一部を木曽川及び長良川に導水するための水路等を建設する事業。以下「本件導水路事業」という。)に関して,愛知県は,独立行政法人水資源機構法(以下「機構法」という。)に基づき,①流水の正常な機能の維持に係る費用負担金として,流水の正常な機能の維持と増進をその目的に含む水資源の開発又は利用のための施設(以下「特定施設」という。)の新築等に要する費用の一部及び特定施設の管理等に要する費用の一部を,②新規利水の供給に係る費用負担金(愛知県の水道用水に係る負担金)として,水資源の開発又は利用のための施設の新築等の業務の実施により生じる施設(以下「水資源開発施設」という。)の新築及び管理等に要する費用の一部を,それぞれ負担するものとされているところ,同県の住民である原告らが,被告愛知県知事(以下「被告知事」という。)が上記①の負担金の支出命令をすること及び被告愛知県公営企業管理者企業庁長(以下「被告企業庁長」という。)が上記②の負担金の支出をすること(以下,上記①の負担金の支出命令と上記②の負担金の支出を併せて「本件各支出」という。)は違法である旨主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,被告知事に対して上記①の負担金の支出命令の差止めを求めるとともに,被告企業庁長に対して上記②の負担金の支出の差止めを求める住民訴訟である。
判示事項導水路の建設事業に関し,独立行政法人水資源機構法に基づく都道府県の費用負担金の支出命令ないし支出の差止めを求める住民訴訟において,当該支出命令ないし支出を行うことが財務会計法規上違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨導水路の建設事業に関し,独立行政法人水資源機構法に基づく都道府県の費用負担金の支出命令ないし支出の差止めを求める住民訴訟において,水資源開発促進法4条1項所定の水資源開発基本計画(フルプラン)及びこれに基づいて作成された独立行政法人水資源機構法13条1項所定の事業実施計画が,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該都道府県がこれを是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情がある場合に限り,これに基づいて発せられる国土交通大臣等の納付通知ないし納入通知も,同様の瑕疵を帯び,都道府県の執行機関が同納付通知等に従って行う上記支出命令等が財務会計法規上違法となるとした上で,本件の事業実施計画やその前提となる本件のフルプランが,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということはできないし,客観的にみて愛知県が上記事業実施計画又は上記フルプランの瑕疵を是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情があるということもできないから,被告らが上記支出命令等を行うことが財務会計法規上違法であるとはいえず,地方自治法242条の2第1項1号に基づき上記支出命令等を差し止めることはできないとした事例
事件番号平成21(行ウ)49
事件名木曽川水系連絡導水路事業公金支出差止請求事件
裁判所名古屋地方裁判所
裁判年月日平成26年7月24日
事案の概要
本件は,木曽川水系フルプラン(第4次計画)等に基づく木曽川水系連絡導水路事業(揖斐川上流に建設された徳山ダムに確保される水の一部を木曽川及び長良川に導水するための水路等を建設する事業。以下「本件導水路事業」という。)に関して,愛知県は,独立行政法人水資源機構法(以下「機構法」という。)に基づき,①流水の正常な機能の維持に係る費用負担金として,流水の正常な機能の維持と増進をその目的に含む水資源の開発又は利用のための施設(以下「特定施設」という。)の新築等に要する費用の一部及び特定施設の管理等に要する費用の一部を,②新規利水の供給に係る費用負担金(愛知県の水道用水に係る負担金)として,水資源の開発又は利用のための施設の新築等の業務の実施により生じる施設(以下「水資源開発施設」という。)の新築及び管理等に要する費用の一部を,それぞれ負担するものとされているところ,同県の住民である原告らが,被告愛知県知事(以下「被告知事」という。)が上記①の負担金の支出命令をすること及び被告愛知県公営企業管理者企業庁長(以下「被告企業庁長」という。)が上記②の負担金の支出をすること(以下,上記①の負担金の支出命令と上記②の負担金の支出を併せて「本件各支出」という。)は違法である旨主張して,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,被告知事に対して上記①の負担金の支出命令の差止めを求めるとともに,被告企業庁長に対して上記②の負担金の支出の差止めを求める住民訴訟である。
判示事項
導水路の建設事業に関し,独立行政法人水資源機構法に基づく都道府県の費用負担金の支出命令ないし支出の差止めを求める住民訴訟において,当該支出命令ないし支出を行うことが財務会計法規上違法であるとはいえないとされた事例
裁判要旨
導水路の建設事業に関し,独立行政法人水資源機構法に基づく都道府県の費用負担金の支出命令ないし支出の差止めを求める住民訴訟において,水資源開発促進法4条1項所定の水資源開発基本計画(フルプラン)及びこれに基づいて作成された独立行政法人水資源機構法13条1項所定の事業実施計画が,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存し,かつ,客観的にみて当該都道府県がこれを是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情がある場合に限り,これに基づいて発せられる国土交通大臣等の納付通知ないし納入通知も,同様の瑕疵を帯び,都道府県の執行機関が同納付通知等に従って行う上記支出命令等が財務会計法規上違法となるとした上で,本件の事業実施計画やその前提となる本件のフルプランが,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したことにより著しく合理性を欠き,そのため予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するということはできないし,客観的にみて愛知県が上記事業実施計画又は上記フルプランの瑕疵を是正又は解消することができる蓋然性が大きいという事情があるということもできないから,被告らが上記支出命令等を行うことが財務会計法規上違法であるとはいえず,地方自治法242条の2第1項1号に基づき上記支出命令等を差し止めることはできないとした事例
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