事件番号平成26(行コ)52
事件名公金支出差止等請求控訴事件(原審 大阪地方裁判所平成24年(行ウ)第151号)
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成26年8月29日
事案の概要本件は,富田林市の住民である控訴人らが,富田林市が富田林市浄化槽整備推進事業に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき第二期富田林市浄化槽整備推進事業を開始し,上記事業のうちα,β及びγの各地区に関する部分(以下「本件事業」という。)の事業費として合計2409万0313円を支出したことについて,本件事業は違法であり,市長であるAが富田林市の支出権者として行った上記事業費の支出は違法であると主張して,富田林市の執行機関である被控訴人に対し,①地方自治法242条の2第1項1号に基づき,本件事業に係る公金の支出,契約の締結,債務その他の義務の負担をすることの差止めを求めるとともに,②同項4号本文に基づき,上記事業費の支出当時の市長であるAに対して上記事業費相当額2409万0313円の損害賠償及びこれに対する各支出の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することを求めた住民訴訟である。
判示事項市の浄化槽整備推進事業に係る公金の支出が違法でないとされた事例
裁判要旨普通地方公共団体の長には,生活排水処理施設のための施策について,政策的,技術的な見地からの判断を要することに照らし,広範な裁量があるとした上で,市の浄化槽整備推進事業に係る公金の支出は,① 市域の一部が水質汚濁防止法の生活排水対策重点地域に指定されている状況の下で,生活排水の100%適正処理という政策目標を早期に達成するという同事業の目的は合理的なものであり,生活排水処理施設として必要な性能を有し,短期間で設置が完了する浄化槽を,地域の特性等に応じて整備することに同目的の達成手段としての合理性が認められること,② 前記事業の実施地域について,将来的に人口が大幅に減少すると予測し,人口減少地域では事業効果を調整することができない下水道事業よりも規模を調整しやすい浄化槽事業が適していると評価することが,市全体における生活排水の適正処理を早期に実現するため,公共下水道の整備着手が可能になるのを待たずに浄化槽の整備を進めることが不合理とはいえないなどとして,前記事業を実施するとの市長の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものとはいえず,違法でないとした事例
事件番号平成26(行コ)52
事件名公金支出差止等請求控訴事件(原審 大阪地方裁判所平成24年(行ウ)第151号)
裁判所大阪高等裁判所
裁判年月日平成26年8月29日
事案の概要
本件は,富田林市の住民である控訴人らが,富田林市が富田林市浄化槽整備推進事業に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づき第二期富田林市浄化槽整備推進事業を開始し,上記事業のうちα,β及びγの各地区に関する部分(以下「本件事業」という。)の事業費として合計2409万0313円を支出したことについて,本件事業は違法であり,市長であるAが富田林市の支出権者として行った上記事業費の支出は違法であると主張して,富田林市の執行機関である被控訴人に対し,①地方自治法242条の2第1項1号に基づき,本件事業に係る公金の支出,契約の締結,債務その他の義務の負担をすることの差止めを求めるとともに,②同項4号本文に基づき,上記事業費の支出当時の市長であるAに対して上記事業費相当額2409万0313円の損害賠償及びこれに対する各支出の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することを求めた住民訴訟である。
判示事項
市の浄化槽整備推進事業に係る公金の支出が違法でないとされた事例
裁判要旨
普通地方公共団体の長には,生活排水処理施設のための施策について,政策的,技術的な見地からの判断を要することに照らし,広範な裁量があるとした上で,市の浄化槽整備推進事業に係る公金の支出は,① 市域の一部が水質汚濁防止法の生活排水対策重点地域に指定されている状況の下で,生活排水の100%適正処理という政策目標を早期に達成するという同事業の目的は合理的なものであり,生活排水処理施設として必要な性能を有し,短期間で設置が完了する浄化槽を,地域の特性等に応じて整備することに同目的の達成手段としての合理性が認められること,② 前記事業の実施地域について,将来的に人口が大幅に減少すると予測し,人口減少地域では事業効果を調整することができない下水道事業よりも規模を調整しやすい浄化槽事業が適していると評価することが,市全体における生活排水の適正処理を早期に実現するため,公共下水道の整備着手が可能になるのを待たずに浄化槽の整備を進めることが不合理とはいえないなどとして,前記事業を実施するとの市長の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものとはいえず,違法でないとした事例
このエントリーをはてなブックマークに追加