事件番号平成24(行コ)466
事件名法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成22年(行ウ)第693号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年8月29日
事案の概要本件は,銀行業務や信託業務等を目的とする株式会社である控訴人が,資金調達を行う取引として,その保有する住宅ローン債権につき,控訴人を委託者,A信託銀行株式会社を受託者とする信託契約を締結して信託譲渡し,これにより,信託受益権として,優先的に元本が償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権を創設して,優先受益権は投資家に売却,あるいは第三者を経由して投資家に売却するとともに,劣後受益権は控訴人が保有することとした上で,控訴人は,劣後受益権の保有につき,金融商品会計に関する実務指針(日本公認会計士協会・会計制度委員会報告14号。以下「金融商品会計実務指針」という。)105項の適用があるとして,劣後受益権による収益配当金の一部について,平成16年3月期,平成17年3月期及び平成18年3月期(以下「本件各事業年度」という。)に係る法人税の益金並びに平成17年3月課税期間及び平成18年3月課税期間(以下「本件各課税期間」という。)の消費税の資産の譲渡等の対価の額に含めずに確定申告をしたところ,日本橋税務署長が,上記劣後受益権の収益配当金は,すべて法人税に係る益金及び消費税に係る資産の譲渡等の対価の額に含まれるとして,本件各事業年度の各法人税更正処分及び本件各課税期間の各消費税更正処分(以下「本件各更正処分」という。)並びにこれらに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたことから,控訴人が,劣後受益権の取得については金融商品会計実務指針105項を適用あるいは類推適用すべきであり,また,本件各更正処分等には平等原則違反あるいは租税法律主義違反がある旨主張して,それらの取消しを求める事案である。
判示事項自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権の2種類の信託受益権に分割し,優先受益権を第三者に売却するとともに劣後受益権を自らが保有するという仕組みの取引につき,劣後受益権による収益配当金をすべて法人税に係る益金及び消費税に係る資産の譲渡等の対価の額に含まれるとしてした法人税の更正処分及び課税期間の消費税の更正処分が,いずれも違法とされた事例
裁判要旨自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権の2種類の信託受益権に分割し,優先受益権を第三者に売却するとともに劣後受益権を自らが保有するという仕組みの取引につき,その保有する劣後受益権は,新たな金融資産の取得としてではなく,信託した金融資産である住宅ローン債権の残存部分として評価する必要があるが,信託契約によって保有するに至った劣後受益権は,金融商品会計に関する実務指針105項にいう「債権を取得した」という利益状況に類似しているということができるとして,同項の実質的な類推適用を認め,前記劣後受益権につき,同項と同様の会計処理を選択し,それによって収益を計上したことは,取引の経済的実態からみて合理的なものであり,法人税法上もその会計処理は正当なものとして是認されるべきであるから,これを一般に公正妥当として認められる会計基準に適合しないものとした前記法人税の更正処分及び課税期間の消費税の更正処分を違法とした事例
事件番号平成24(行コ)466
事件名法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成22年(行ウ)第693号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成26年8月29日
事案の概要
本件は,銀行業務や信託業務等を目的とする株式会社である控訴人が,資金調達を行う取引として,その保有する住宅ローン債権につき,控訴人を委託者,A信託銀行株式会社を受託者とする信託契約を締結して信託譲渡し,これにより,信託受益権として,優先的に元本が償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権を創設して,優先受益権は投資家に売却,あるいは第三者を経由して投資家に売却するとともに,劣後受益権は控訴人が保有することとした上で,控訴人は,劣後受益権の保有につき,金融商品会計に関する実務指針(日本公認会計士協会・会計制度委員会報告14号。以下「金融商品会計実務指針」という。)105項の適用があるとして,劣後受益権による収益配当金の一部について,平成16年3月期,平成17年3月期及び平成18年3月期(以下「本件各事業年度」という。)に係る法人税の益金並びに平成17年3月課税期間及び平成18年3月課税期間(以下「本件各課税期間」という。)の消費税の資産の譲渡等の対価の額に含めずに確定申告をしたところ,日本橋税務署長が,上記劣後受益権の収益配当金は,すべて法人税に係る益金及び消費税に係る資産の譲渡等の対価の額に含まれるとして,本件各事業年度の各法人税更正処分及び本件各課税期間の各消費税更正処分(以下「本件各更正処分」という。)並びにこれらに伴う過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたことから,控訴人が,劣後受益権の取得については金融商品会計実務指針105項を適用あるいは類推適用すべきであり,また,本件各更正処分等には平等原則違反あるいは租税法律主義違反がある旨主張して,それらの取消しを求める事案である。
判示事項
自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権の2種類の信託受益権に分割し,優先受益権を第三者に売却するとともに劣後受益権を自らが保有するという仕組みの取引につき,劣後受益権による収益配当金をすべて法人税に係る益金及び消費税に係る資産の譲渡等の対価の額に含まれるとしてした法人税の更正処分及び課税期間の消費税の更正処分が,いずれも違法とされた事例
裁判要旨
自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権の2種類の信託受益権に分割し,優先受益権を第三者に売却するとともに劣後受益権を自らが保有するという仕組みの取引につき,その保有する劣後受益権は,新たな金融資産の取得としてではなく,信託した金融資産である住宅ローン債権の残存部分として評価する必要があるが,信託契約によって保有するに至った劣後受益権は,金融商品会計に関する実務指針105項にいう「債権を取得した」という利益状況に類似しているということができるとして,同項の実質的な類推適用を認め,前記劣後受益権につき,同項と同様の会計処理を選択し,それによって収益を計上したことは,取引の経済的実態からみて合理的なものであり,法人税法上もその会計処理は正当なものとして是認されるべきであるから,これを一般に公正妥当として認められる会計基準に適合しないものとした前記法人税の更正処分及び課税期間の消費税の更正処分を違法とした事例
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