事件番号平成24(行ウ)292
事件名通知処分取消請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成27年4月14日
事案の概要本件は,亡A(以下「本件被相続人」という。)から相続により取得した株式(破産手続中の会社に係るもの)の株主として受領した残余財産分配金に係る所得のうち資本金の額を除いた分を所得税法25条1項3号(なお,平成22年法律第6号による同項の改正は改正附則1条3号イの規定により平成22年10月1日から施行されているが,同附則2条により,平成22年分以後の所得税について適用されているから,平成22年分以後の所得税について適用されるのは同改正後の所得税法25条1項3号(現行法と同じ。)となる。)のみなし配当金として配当所得の金額に計上して平成22年分所得税の確定申告をした原告らが,上記みなし配当金に係る所得は原告らが相続により取得した上記株式の基本権である残余財産分配金を受ける権利が実現したものの一部にすぎず,同法9条1項16号(平成22年法律第6号による改正前は同項15号。なお,同項の改正は改正附則1条本文により平成22年4月1日から施行されているが,同附則2条の規定により,平成22年分以後の所得税に適用されるため,平成22年分以後の所得税について適用されるのは同改正後の所得税法9条1項16号の規定(現行法と同じ。)である。)の規定(以下「本件非課税規定」という。)により所得税を課されないことを理由に,阿倍野税務署長に対し,平成22年分所得税の更正の請求をしたところ,阿倍野税務署長から,平成23年8月30日付けで,更正をすべき理由がない旨の本件各通知処分を受けたため,阿倍野税務署長の所属する国を被告として,本件各通知処分の取消しを求める事案である。
判示事項清算手続結了前の株式を相続した場合に当該株式について相続税を課すことと,清算後に生じる留保利益の分配を原因として所得税法25条1項3号所定のみなし配当課税をすることが同法9条1項16号の規定によって禁止される二重課税に当たらないとされた事例
裁判要旨所得税法25条1項3号所定のみなし配当課税は,株主等が法人の清算によってそれまで当該法人に留保されていた利益を残余財産の分配として受けたことを課税対象とするものであるから,当該法人の株式を相続人が相続した場合における株式についての相続税の課税とは課税対象を異にするものであるし,また,上記みなし配当課税は法人に留保されていた利益の分配を原因として実現した経済的利益を課税の原因とするものであるから,上記みなし配当課税の対象となる経済的利益は,同法9条1項16号の規定にいう相続等を原因として取得したものということはできないとして,清算手続結了前の株式を相続した場合に当該株式について相続税を課すことと,清算後に生じる留保利益の分配を原因として上記みなし配当課税をすることが同法9条1項16号の規定によって禁止される二重課税には当たらないとされた事例
事件番号平成24(行ウ)292
事件名通知処分取消請求事件
裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日平成27年4月14日
事案の概要
本件は,亡A(以下「本件被相続人」という。)から相続により取得した株式(破産手続中の会社に係るもの)の株主として受領した残余財産分配金に係る所得のうち資本金の額を除いた分を所得税法25条1項3号(なお,平成22年法律第6号による同項の改正は改正附則1条3号イの規定により平成22年10月1日から施行されているが,同附則2条により,平成22年分以後の所得税について適用されているから,平成22年分以後の所得税について適用されるのは同改正後の所得税法25条1項3号(現行法と同じ。)となる。)のみなし配当金として配当所得の金額に計上して平成22年分所得税の確定申告をした原告らが,上記みなし配当金に係る所得は原告らが相続により取得した上記株式の基本権である残余財産分配金を受ける権利が実現したものの一部にすぎず,同法9条1項16号(平成22年法律第6号による改正前は同項15号。なお,同項の改正は改正附則1条本文により平成22年4月1日から施行されているが,同附則2条の規定により,平成22年分以後の所得税に適用されるため,平成22年分以後の所得税について適用されるのは同改正後の所得税法9条1項16号の規定(現行法と同じ。)である。)の規定(以下「本件非課税規定」という。)により所得税を課されないことを理由に,阿倍野税務署長に対し,平成22年分所得税の更正の請求をしたところ,阿倍野税務署長から,平成23年8月30日付けで,更正をすべき理由がない旨の本件各通知処分を受けたため,阿倍野税務署長の所属する国を被告として,本件各通知処分の取消しを求める事案である。
判示事項
清算手続結了前の株式を相続した場合に当該株式について相続税を課すことと,清算後に生じる留保利益の分配を原因として所得税法25条1項3号所定のみなし配当課税をすることが同法9条1項16号の規定によって禁止される二重課税に当たらないとされた事例
裁判要旨
所得税法25条1項3号所定のみなし配当課税は,株主等が法人の清算によってそれまで当該法人に留保されていた利益を残余財産の分配として受けたことを課税対象とするものであるから,当該法人の株式を相続人が相続した場合における株式についての相続税の課税とは課税対象を異にするものであるし,また,上記みなし配当課税は法人に留保されていた利益の分配を原因として実現した経済的利益を課税の原因とするものであるから,上記みなし配当課税の対象となる経済的利益は,同法9条1項16号の規定にいう相続等を原因として取得したものということはできないとして,清算手続結了前の株式を相続した場合に当該株式について相続税を課すことと,清算後に生じる留保利益の分配を原因として上記みなし配当課税をすることが同法9条1項16号の規定によって禁止される二重課税には当たらないとされた事例
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