事件番号平成26(行コ)483
事件名遺族厚生年金不支給処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成25年(行ウ)第250号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成27年4月16日
事案の概要本件は,国民年金及び厚生年金保険の被保険者であったA及びAの当時の妻の養子となる旨の養子縁組(以下「本件養子縁組」という。)の届出をする一方で,Aと内縁関係(以下「本件内縁関係」という。)にあった控訴人が,平成23月10月8日付けで,厚生労働大臣に対し,Aの妻(配偶者)として,国民年金法の規定に基づく遺族基礎年金及び厚生年金保険法(以下国民年金法と併せて「国年法等」という。)の規定に基づく遺族厚生年金の各裁定の請求をしたところ,厚生労働大臣が,平成24年1月5日付けで,本件内縁関係は民法の定める養親子の間の婚姻の禁止の規定に反するものであるため控訴人は遺族年金を受けることができる遺族である被保険者の妻(配偶者)には該当しないとして,控訴人に対して遺族基礎年金及び遺族厚生年金を支給しない旨の各処分(以下これらの処分を併せて「本件処分」という。)をしたことから,Aと控訴人との間の本件養子縁組は無効又は無効と同視すべき事情があるものであり,本件内縁関係については,近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情が あるなどと主張して,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項国民年金及び厚生年金の被保険者であった者の養子であり,かつ,その者と内縁関係にあった者について,遺族年金を受けることができる遺族である被保険者の妻(配偶者)には該当しないとされた事例
裁判要旨原告と国民年金及び厚生年金の被保険者であった者との養子縁組は,同人が刑務所に収容されることとなった場合に,原告が養女として面会することを主要な目的としてされたものであり,両者の交際関係を維持するための便宜的又は一時的な側面を有していたことは否めないものの,社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をおよそ欠くものであったとはいえず,有効というべきであるとした上で,養親子間の内縁関係は,養親子間の婚姻を禁止する民法734条に抵触し,一般的に,反倫理性,反公益性が極めて大きい関係というべきであって,判示の事情の下では,養親子間の婚姻を禁止すべき公的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国民年金法及び厚生年金保険法の目的を優先させるべき特段の事情があったともいえないから,原告は,遺族年金を受けることができる遺族(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者)に該当するとはいえないとした事例
事件番号平成26(行コ)483
事件名遺族厚生年金不支給処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成25年(行ウ)第250号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成27年4月16日
事案の概要
本件は,国民年金及び厚生年金保険の被保険者であったA及びAの当時の妻の養子となる旨の養子縁組(以下「本件養子縁組」という。)の届出をする一方で,Aと内縁関係(以下「本件内縁関係」という。)にあった控訴人が,平成23月10月8日付けで,厚生労働大臣に対し,Aの妻(配偶者)として,国民年金法の規定に基づく遺族基礎年金及び厚生年金保険法(以下国民年金法と併せて「国年法等」という。)の規定に基づく遺族厚生年金の各裁定の請求をしたところ,厚生労働大臣が,平成24年1月5日付けで,本件内縁関係は民法の定める養親子の間の婚姻の禁止の規定に反するものであるため控訴人は遺族年金を受けることができる遺族である被保険者の妻(配偶者)には該当しないとして,控訴人に対して遺族基礎年金及び遺族厚生年金を支給しない旨の各処分(以下これらの処分を併せて「本件処分」という。)をしたことから,Aと控訴人との間の本件養子縁組は無効又は無効と同視すべき事情があるものであり,本件内縁関係については,近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情が あるなどと主張して,本件処分の取消しを求める事案である。
判示事項
国民年金及び厚生年金の被保険者であった者の養子であり,かつ,その者と内縁関係にあった者について,遺族年金を受けることができる遺族である被保険者の妻(配偶者)には該当しないとされた事例
裁判要旨
原告と国民年金及び厚生年金の被保険者であった者との養子縁組は,同人が刑務所に収容されることとなった場合に,原告が養女として面会することを主要な目的としてされたものであり,両者の交際関係を維持するための便宜的又は一時的な側面を有していたことは否めないものの,社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をおよそ欠くものであったとはいえず,有効というべきであるとした上で,養親子間の内縁関係は,養親子間の婚姻を禁止する民法734条に抵触し,一般的に,反倫理性,反公益性が極めて大きい関係というべきであって,判示の事情の下では,養親子間の婚姻を禁止すべき公的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国民年金法及び厚生年金保険法の目的を優先させるべき特段の事情があったともいえないから,原告は,遺族年金を受けることができる遺族(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者)に該当するとはいえないとした事例
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