事件番号平成27(行コ)50
事件名平成27年(行コ)第50号 除去命令処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成26年(行ウ)第71号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成27年6月10日
事案の概要本件は,第1審原告が,原判決別紙2(原判決46頁)物件目録記載の本件建物の5階にある居室を賃借した上,本件建物の5階通路部分に木製本棚等を,7階塔屋部分にスチール製ロッカー等を設置していたところ,処分行政庁が,第1審原告に対し,平成26年1月15日付で,消防法5条の3第1項に基づき,前記本棚,ロッカー等について除去することを命ずる本件処分をしたことから,第1審原告が,第1審被告に対し,本件処分は法律上の要件を欠く違法な処分であるなどと主張し,本件処分の取消しを求めるとともに,本件処分が第1審原告に対して発せられたことを公示する本件標識を貼付したことによって第1審原告の信用が毀損されたと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料及び訴状送達の日の翌日である平成26年3月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項1 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分の取消請求が,一部認容された事例
2 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分が違法であり,上記処分が発せられたことを公示する標識によって,その信用が毀損されたとして,都に対してされた国家賠償請求が,棄却された事例
裁判要旨1 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分の取消請求につき,上記ロッカー2台に収納されていた冊子等は,消防法5条の3第1項の「火災の予防に危険である」物件にも,「消火,避難その他消防の活動に支障になる」物件にも当たらず,また,上記ロッカー1台は,同項の「消火,避難その他消防の活動に支障になる」物件に当たらないから,上記処分のうち,上記ロッカー1台及び上記ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた部分は,消防法5条の3第1項の要件を欠くとして,上記請求を一部認容した事例
2 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分が違法であり,上記処分が発せられたことを公示する標識によって,その信用が毀損されたとして,都に対してされた国家賠償請求につき,上記標識の貼付は,上記冊子等の除去を求める部分に限って国家賠償法上も違法であり,処分行政庁に過失があるが,上記標識のうち,適法な処分に係る公示はいずれにせよ行われるを得ないことからすれば,上記標識に,違法な処分に関する公示が含まれているからといって,適法な処分のみが公示された場合と比較して社会的評価が低下したとは認められず,損害賠償をもって慰謝しなければならないほどの損害が生じたとは認められないとして,上記請求を棄却した事例
事件番号平成27(行コ)50
事件名平成27年(行コ)第50号 除去命令処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成26年(行ウ)第71号)
裁判所東京高等裁判所
裁判年月日平成27年6月10日
事案の概要
本件は,第1審原告が,原判決別紙2(原判決46頁)物件目録記載の本件建物の5階にある居室を賃借した上,本件建物の5階通路部分に木製本棚等を,7階塔屋部分にスチール製ロッカー等を設置していたところ,処分行政庁が,第1審原告に対し,平成26年1月15日付で,消防法5条の3第1項に基づき,前記本棚,ロッカー等について除去することを命ずる本件処分をしたことから,第1審原告が,第1審被告に対し,本件処分は法律上の要件を欠く違法な処分であるなどと主張し,本件処分の取消しを求めるとともに,本件処分が第1審原告に対して発せられたことを公示する本件標識を貼付したことによって第1審原告の信用が毀損されたと主張して,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料及び訴状送達の日の翌日である平成26年3月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
判示事項
1 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分の取消請求が,一部認容された事例
2 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分が違法であり,上記処分が発せられたことを公示する標識によって,その信用が毀損されたとして,都に対してされた国家賠償請求が,棄却された事例
裁判要旨
1 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分の取消請求につき,上記ロッカー2台に収納されていた冊子等は,消防法5条の3第1項の「火災の予防に危険である」物件にも,「消火,避難その他消防の活動に支障になる」物件にも当たらず,また,上記ロッカー1台は,同項の「消火,避難その他消防の活動に支障になる」物件に当たらないから,上記処分のうち,上記ロッカー1台及び上記ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた部分は,消防法5条の3第1項の要件を欠くとして,上記請求を一部認容した事例
2 消防法5条の3第1項に基づき,雑居ビルの5階通路部分に設置された木製本棚2台及び同本棚に収納された書籍等並びに7階塔屋部分に設置されたスチール製ロッカー2台のうちの1台及び同ロッカー2台に収納されていた冊子等の設置物を除去することを命じた処分が違法であり,上記処分が発せられたことを公示する標識によって,その信用が毀損されたとして,都に対してされた国家賠償請求につき,上記標識の貼付は,上記冊子等の除去を求める部分に限って国家賠償法上も違法であり,処分行政庁に過失があるが,上記標識のうち,適法な処分に係る公示はいずれにせよ行われるを得ないことからすれば,上記標識に,違法な処分に関する公示が含まれているからといって,適法な処分のみが公示された場合と比較して社会的評価が低下したとは認められず,損害賠償をもって慰謝しなければならないほどの損害が生じたとは認められないとして,上記請求を棄却した事例
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