事件番号平成24(行ウ)799
事件名所得税更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成27年10月8日
事案の概要本件は,アメリカ合衆国の法人であるP11(以下「P11社」という。)の関連会社に勤務する原告らが,それぞれ,P11社の株式報酬制度に基づき,所定の転換日に同社の普通株式(以下「P11株式」という。)に転換される「ストック・ユニット」の付与を受けた後,平成20年9月8日の転換日が到来したことにより,P11株式を取得(以下,同取得に係るP11株式を「本件各P11株式」という。)したことから,同年分の所得税の確定申告に際し,本件各P11株式に係る経済的利益(以下「本件各株式報酬」という。)について,社内規則に基づく株式の譲渡制限が解除された同月18日におけるP11株式の高値と安値の単純平均値に基づいて算定した金額を給与等の収入金額として申告したところ,各処分行政庁が,本件各株式報酬に係る給与等の収入金額は,本件各P11株式を取得できる権利が確定した同月8日におけるP11株式の終値に基づいて算定すべきであるとして,原告らに対し,同年分の所得税の各更正処分(原告P2については平成25年1月25日付け再更正処分。以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(原告P2については平成23年2月28日付け賦課決定処分。以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたことから,原告らが,本件各更正処分等は,本件各株式報酬に係る給与等の収入金額を不当に算定した違法な処分であると主張して,本件各更正処分のうち一定額を超える部分(なお,上記第1の各請求にある「総所得金額」は,課税総所得金額を指すものと解される。)及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,その経済的利益に係る給与等の収入すべき日は転換日であるとされた事例。
裁判要旨米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,ストック・ユニットが米国法人に対してその株式の支払を求めることのできる権利であり,当該権利は転換日が到来した以降は取り消されることがなくなり,従業員らは転換日以降その履行を求め得ることになったなど判示の事情の下では,証券会社等が不正防止等を目的として別途定めた有価証券取引制限期間内であったために従業員らの転換日における上記株式の他への譲渡が制限された状況にあったとしても,当該経済的利益については,転換日に収入の原因となる権利が確定したというべきであり,その給与等の収入すべき日は転換日である。
事件番号平成24(行ウ)799
事件名所得税更正処分等取消請求事件
裁判所東京地方裁判所
裁判年月日平成27年10月8日
事案の概要
本件は,アメリカ合衆国の法人であるP11(以下「P11社」という。)の関連会社に勤務する原告らが,それぞれ,P11社の株式報酬制度に基づき,所定の転換日に同社の普通株式(以下「P11株式」という。)に転換される「ストック・ユニット」の付与を受けた後,平成20年9月8日の転換日が到来したことにより,P11株式を取得(以下,同取得に係るP11株式を「本件各P11株式」という。)したことから,同年分の所得税の確定申告に際し,本件各P11株式に係る経済的利益(以下「本件各株式報酬」という。)について,社内規則に基づく株式の譲渡制限が解除された同月18日におけるP11株式の高値と安値の単純平均値に基づいて算定した金額を給与等の収入金額として申告したところ,各処分行政庁が,本件各株式報酬に係る給与等の収入金額は,本件各P11株式を取得できる権利が確定した同月8日におけるP11株式の終値に基づいて算定すべきであるとして,原告らに対し,同年分の所得税の各更正処分(原告P2については平成25年1月25日付け再更正処分。以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(原告P2については平成23年2月28日付け賦課決定処分。以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各更正処分等」という。)をしたことから,原告らが,本件各更正処分等は,本件各株式報酬に係る給与等の収入金額を不当に算定した違法な処分であると主張して,本件各更正処分のうち一定額を超える部分(なお,上記第1の各請求にある「総所得金額」は,課税総所得金額を指すものと解される。)及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
判示事項
米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,その経済的利益に係る給与等の収入すべき日は転換日であるとされた事例。
裁判要旨
米国法人の関連会社である日本の証券会社等の従業員らが,米国法人から報酬として付与されたいわゆるストック・ユニットの転換日の到来により,米国法人の株式を取得して経済的利益を受けた場合において,ストック・ユニットが米国法人に対してその株式の支払を求めることのできる権利であり,当該権利は転換日が到来した以降は取り消されることがなくなり,従業員らは転換日以降その履行を求め得ることになったなど判示の事情の下では,証券会社等が不正防止等を目的として別途定めた有価証券取引制限期間内であったために従業員らの転換日における上記株式の他への譲渡が制限された状況にあったとしても,当該経済的利益については,転換日に収入の原因となる権利が確定したというべきであり,その給与等の収入すべき日は転換日である。
このエントリーをはてなブックマークに追加